新装版 ハゲタカ(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.15
  • (114)
  • (151)
  • (64)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 1179
感想 : 80
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062776530

作品紹介・あらすじ

企業再生が軌道に乗り始めた頃、鷲津は元銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松平貴子と出会う。日本に戻った鷲津の真意は?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 感想
    太陽製菓の創業家の横暴ぶりを見ていると潰れるべくして潰れる会社という気がした。

    最後、鷲津は思っていた復讐を成し遂げるが、そこに勝者はいなかった。。。バブルの波に翻弄されたのは債権を回収された側だけでなく、した側にも寂寥感の残る結果とは皮肉なものだ。

    あらすじ
    鷲津は以前より目をつけていた同族会社で、会社の私物化が甚だしい太陽製菓の買収および企業再生を進めようとしていた。

    一方、貴子は元総理まで使ってなんとか父親をホテル経営から引きずり下ろし、ミカドホテルの再建を手掛けようとしていた。

    外資の思わぬ横槍が入り、すったもんだの末に何とか太陽製菓の買収に成功する。

    次に狙うのは、足助銀行。同銀行が破綻したのをキッカケに国は、地銀の破綻及び再生を指示。鷲津率いるホライゾン・キャピタルは足助銀行を手に入れようと画策する。

    鷲津の思い通りに事が運び日光を手に入れたホライゾン・キャピタルだったが、国からのまったがかかり、当初の日光の観光地化計画を諦める。

    鷲津がずっと追ってきたのは自分の父親をハメた相手だった。当時の三葉銀行の芝野が犯人だと思っていたが、実はその上司の飯島が仕組んだことだった。鷲津は三葉銀行のプライベートバンクの存在を世間に明らかにし、社会的な制裁を与えるが燃え尽きる。

  • いやぁ、面白かった!1日で一気読み!
    難しいのに凄く面白い!

    次の展開が気になって気になって、本を閉じられない。

    企業買収も、人間関係も、何もかも目を離せない展開。

    太陽製菓もミカドホテルも、ボブスタンレーとの対決も、花井の割腹自殺も、全ての繋がりが凄い!

    なんて凄い本なんだ!!

    あと二冊借りているが、楽しみで仕方ない(*^^*)

  • 結局、本作は最初から最後まで、鷲津の用意周到な復讐劇だった。そして、鷲津の温情でミカドホテルグループの再建の目処もつき、鷲津の復讐もなったにしては、空しさの残るラストだった。

    冷酷に振る舞いつつも、あくまでルールを守って戦おうとする鷲津の側に正義がある(一方、なあなあな馴れ合いが横行し、誰も責任を取らず問題が先送りされる日本的ビジネス慣行には理がない)、そう感じさせる作品だった。

    「ルールも紳士協定もそしてフェアも、この国では有名無実のきれい事だった。欲しい獲物を獲るためには、ハゲタカもハイエナも、そしてゴールデンイーグルもみな手段を選んではいけない。法整備の何たるかが理解できず、そしてルールは破るものだという文化を持ったこの国では、何が起きても不思議ではなかった。」

    途中、太陽製菓の乗っ取り・再建のくだりでは、放漫経営で会社を破綻させながらも贅沢三昧を続け、しかも経営責任を一切取らず保身を要求をし続ける経営者一族の厚顔無恥には、さすがに読んでいてムカついた。

    腹黒い輩が泥試合を演じるドロドロした作品と思って敬遠していたが、筋が一本通っていて、読み応え十分な作品だった。続編も読み進めたい。

  • 満足の行く面白さだった。

    金融、債権や企業買収など色々な展開があり、勉強にもなった。
    前半のチームワークで盛り上がるところも良かったし、後半の鷲津個人として感情剥き出しのところも良かった。

    続編も期待

  • 久しぶりに寝る間も惜しんで一気に読み倒し、現在ハゲタカⅡの下巻を読んでいます。急に経済小説の面白さにはまってしまい、これから読み漁りそう。

    ハゲタカシリーズはドラマ化され、多くの方がレビューされているので、備忘録として以下記録したいと思います。

    堺憲一氏によると、日本では企業や経済を扱った小説を経済小説といい、ジャンルが確立されているそうです。
    【第一世代】1960年代前後に登場するパイオニア世代
    城山三郎氏、山崎豊子氏はこの世代
    【第二世代】高度成長が終焉し、安定成長期に入った70年代中盤期以降
    高杉良氏、堺屋太一氏など
    【第三世代】80年代以降に登場。バブル時代の時期
    【第四世代】90年代半ば以降に登場
    真山仁氏、黒木亮氏、幸田真音氏、橘玲氏、池井戸潤氏、牛島信氏
    【ニュートレンド世代】90年代後半から2000年以降に登場
    という潮流があるらしいです。
    ※上記情報は堺憲一氏の大学研究室HPに詳細に整理されています。

    個人的には社会経済がグローバル化し国際政治社会を背景にしたダイナミクスを感じる第四世代の小説が好みです。ただ、この時代に出てくる海外といえば主に米国、そして中国。

    現在はこの時代から20年も過ぎており長く続いた産業革命から情報産業革命への過渡期にいます。世界における日本の立ち位置や役割も変化し、グローバル化の進展はあらゆる面で急速に進んでいます。また日本は成熟社会に突入し、人口減少、少子高齢化、地域格差、過疎化が進んでいます。

    一読者としてはこうした社会の変化を背景に、今後どのような社会課題に焦点を当てた経済小説が出てくるか楽しみです。

  • T図書館
    2部 プレパッケージ
    3部 バイアウト
    真山氏と俳優の大森氏の対談で、100人以上の取材で執筆したと話されていた

    上巻はドラマと似た点があり覚えていたが、下巻は違う部分が多かった
    理解しながら読むのは時間がかかった
    そのかいあって非常に面白かった
    瀕死の企業に外資系が群がっていくさま
    切れ者同士の高尚な会話
    数字や法律の頭脳戦の争いに熱中できた

    この本は簡単に言うと、外資系が日本の債権に群がってバイアウトしていくよという話だ
    なぜ鷲津がピアニストなのかと違和感があった
    私が考えるに裏テーマは感情論
    ホライズンでの鷲津は、感情を一切持ち込まず冷血にシビアに采配していく切れ者
    頭脳明晰を持ち合わせ狙った獲物を逃さない
    一方ピアニスト自体、作曲者の意図を伝えるメッセンジャーでありプレイヤー
    感情を持ち合わせている
    最後の最後にくすぶっていた感情を出し、全部父の敵のためだったと相手にとどめを刺した(リークした)
    表は冷酷に、本心では父の恨みを晴らすために感情的に動いていた男だった
    ひた隠しにして最後は感情を爆発させる
    見事なふり幅だった
    また続きを読みたい

  • 大学生の時に一度読んだが、その時は企業売買の知識がなさすぎて読み込めなかったけど、久しぶりに読んだらすごい面白く読めた。最後が少し唐突な感じもあるけど、続編がたくさん出ているので、続きを読みたい。

  • うーん、面白かったけど、
    なんか中途半端な終わり方のような。
    鷲津が見た目はイマイチなのに
    (仕事はすごくできるんだろうけど)
    美人からモテモテで、
    他の女性にも色目使う感じが
    イラッときてしまった。

    女性視点からは一途な男の人がいいと思うけど、
    男性視点からは島耕作とかルパンみたいに
    いろんな女性にモテるのがいいんだろうな。

  • ちょっとまだこの面白さを理解しきれないレベルにあると自覚。またいつか読み返すか。総じて小難しかったが、最後に主人公がどういうパッションで動いてたのかがわかったので読み直したい。がちょっと長いからまたの機会にでも。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764803

全80件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

真山仁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
真山 仁
池井戸 潤
池井戸 潤
宮部みゆき
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×