- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062776790
作品紹介・あらすじ
僕は顔を変え、身分を変え、ただ彼女の幸福だけを願う。巨大な陰謀の裏には、誰にも知られることのないひとつの小さな物語があった。
感想・レビュー・書評
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悪と仮面のルール 中村文則著
1.初めての中村文則さんの著書
中村文則さん自身の後書きを読んだことにより、
⭐️5個となりました。
「人を殺めるとはどんなことなのか?
それが、この著書でもテーマとなっている。」
創造性 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
陰湿さ ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
テーマ一貫性 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
2.物語
主人公は戦後生き残り財閥の息子です。
大切な人を危険から守るために、彼は人を殺めます。
そう、自身の父親を殺めます。
彼自身は、みずから行方不明になったうえで、別人の人生を歩むこととします。
そう、整形まで行って、、、。
彼の唯一の願いは、当時守った大切な人の今の消息を知ることです。
ここから、物語の展開が早まります。
3.著書より
「人間を殺すことはこの世界にある決定的な第一線を踏み外すことだ。」
「生物は基本的には同種を殺めない。」
「殺人を正当化し、理性で包むのはまやかしである。」
ラストシーンでようやく、ようやく、少しだけ光が見える、そんな小説です。
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★3.5
不幸と幸福について、当たり前のことをつらつらと難しい言葉で語ってる小説。幸福は閉鎖のうえで成り立つ。人を殺めることは自分を傷つけ、とことん堕ちてしまうが、それを抱え、真っ直ぐ生きようとする主人公がかっこいい。殺人は犯罪だけど、それを真に理解しながら、生きていく姿に胸を打たれた。純愛要素も入っており、憂鬱にならずに読み切れた。難しいな。 -
「邪」の家系に育ち、初恋の少女・香織を守るために実父を殺した少年・文宏。顔を変え、自分の人生を捨てたかのような生き方をしてきた文宏が再び動き出す…
うむむ…どうなんだろ…
恋愛小説なんだろな~
人に潜む悪意と集団心理と正義(と信じるもの)がからまりあって、もっと社会的な意味も持たせながら、「でもやっぱり世界を動かすのは愛だろ~愛」って感じかな。
人が人を殺すこと…
それによって生じる精神的な閉塞感と壊れゆく心
イマドキの戦争はゲームの世界のように画面の中
でも実際に血を流しているのは生身の人間
エライ人たちは自分で血を流さない
人々は画面で見た戦争をリアルに感じない
悪は無関心から生まれる -
日常では何かと辛いことや苦しいことの方へ目が行きがちですが、ささやかでも暖かな温度を感じる瞬間があって、それの積み重ねで人は生きていけるのだと思わせてくれた大切な作品です。
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面白すぎる。面白すぎて読み終わるのが悲しくなるくらい。 思春期に感じた純粋なもの。大人になったばかりの虚無感。 無意識から支配されることの恐怖。 様々な心理描写に引き込まれ、感情移入しまくり。 頭クタクタになりそうだが、読みたくてしょうがなくなる。スゲー一冊。 本の中の香織に恋してしまった。笑
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悪の連鎖に思惑通り呑み込まれないために新しい悪・ルール違反を重ねる主人公だけど、悪も正義もそれはある側面の話というのを体現しているように思った。
もちろんそれが人を殺めたりすることの肯定に繋がるというのでは決してないんだけど、それはじゃあどうしてそうなのか、が秀逸に描かれてるし書かれてる。
ずっと陰鬱と死が渦巻いてるのに、作者が書く言葉・文章の上手さが、プールで息継ぎをするみたいな、息苦しさからのある種の救いみたいに思えた。
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ノワール小説。面白かった。
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半分くらいまでがどきどきしてどんどん読めた。
わりと良い話の展開で終わったのが意外だった。
でも登場人物に感情しやすかった。
★3.5 -
読者初心者にはむずかしかった。R帝国を読んでおもしろくてこちらも読んでみたがまだはやかった。いつか読めるようになるといいな。
著者プロフィール
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