砂の王国(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 150
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062776875

作品紹介・あらすじ

新興宗教団体「大地の会」は虚像の上に作られたものだったが、会員たちの熱狂は創設者たちの思惑を超えていく。衝撃と慟哭の結末!

感想・レビュー・書評

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  • 結末はなんとなく予想できましたが、面白かったです。仲村と吉江の行動は意外でした。

  • 展開と結末が予想できるのに、最後まで面白かった。
    いや、結末が予想できちゃうから、いつ崩壊が始まるのかハラハラするのかな。
    龍斎のキャラクターがとてもよい。一見、山崎の足を引っ張っているようだが、時折周りが見えなくなっている山崎を引き戻すようなセリフを吐いたり、物書きとしての矜持を見せたり。
    ゼロから何かを始める時の方が楽しく、たくさんのものを手に入れて守るものが多くなるほどに苦しくなる。足るを知るとはこういうことなのかもしれない。

  • おそらく最後は地に堕ちるのだろうと思っていたが、その過程と着地は思い描いたものとは違っていた。意思を持った集団は、集めた人間にもコントロールできないということか。最後は宗教の怖さを思い知った気がする。

  • 再読なのに終わりをすっかり忘れていた。そうだった。恐怖の始まりとともに、この作品の面白さはピークを迎えるのだった。
    どこで間違えてしまったんだろう。そのリフレインは今のわたしに深く響く。やはり最高傑作だ。

  • 上巻は、ジェットコースターが最上部までゆっくり上がっていく序章にすぎなかったのね.....。下巻は、もう上がったり下がったりの急展開。野外レイヴの章くらいまでは、スーパーオーガナイザーのモンタローとか、アズールスカイのパコとか「誰やねん」と笑っていられたが、冗談みたいに組織が大きくなってきてからはもう笑えず、四面楚歌になっていく主人公に、かける言葉も見つからず...。ラストにかけての『逃走中』みたいな描写はやりすぎな感じはしたが、なんにせよ、私の予想した展開よりスケールは大きかった。面白かった!

  • 最後の終わり方が絶妙に好き。上巻のはじめの頃のような、ちょっとしたコミカルさが復活している。著者は元コピーライター、さすが。

    宗教が題材というのも興味深い。まさに新興宗教団体に属す人が読んだらどう思うんだろうか?
    途中に出てくる専門用語、ホットリーディングとかは占いに限らず、世の中をうまく生きる為に結構使われる方法な気がする。レイヴのところ辺りは中だるみな感じもしたが、一気に読める面白い本だったと思う。

  •  教祖仲村は山崎に告白した時の反応が違っていたら、彼を追い詰める選択はしなかったんだろうか。結局山崎がホームレスであろうと成功していようと他者を信じられない性格だったからこその結果であるとも言える。読書中からずっと救いのない話だった。
     同じ千円でもホームレスと金持ちでは金額の重みが違うように、お金の価値は払う人間が決めている。値段があってないような芸術作品と新興宗教の教祖が作った焼き物とでは、その価値にどれほどの違いがあるのだろうか。買い手が欲しいのは物体そのものではなく、満足感と承認欲求であれば他人が糾弾するものではない。まぁ、本書では山崎(木島)が作っていたから問題になったので別の話ではあるが。

  • 細かなホームレス描写や宗教団体の中身は読み応えがありました。その辺が長くて心理描写がまとまって来るので飽きるとこもありました。
    不思議と思うのは主人公が勢いよく何かをしている時はノンストップで読めました。
    いろいろ考えたり上手く行ってない時はページが進まず、モヤモヤしました。
    中身は違えど、似たような人生って感じだなと思いました。

  • 面白かった。でも、この終わり方だと、続編を期待してしまう。
    ハマって、それが正しいと思った人は強いね。ある意味怖いけど。

  • 人は誰かに救いを求めたい。
    誰かに自分を肯定してもらいたい。
    優しく包んでもらいたい。
    救いを求めたかったのは、誰なのか。
    新興宗教を立ち上げた男なのか──
    それとも教祖だったのか──
    救いの声は、誰から発せられるのだろうか。

  • 木島、山崎の心の黒い箱が作った大地の会
    目の届かないところで巨大化し、手に終えなくなっていく描写は心が押し潰されそうだった。

    誰も信じず、信じられず自分のなかでもがき苦しむ彼にとっての救いが再び訪れるであろう場所が路上生活というのが皮肉がきいていてよい

    何事も実現させる前の構想段階がいちばん幸せなのかなと

    続きもよみたい

  • 大手の証券マンから一転、職を失い、妻には出ていかれ、あげくネットカフェで寝泊まりする仲間に裏切られ、全財産は3円。
    そんなどん底からの再起を図るため、山崎は宗教組織を立ちあげることにする。
    見目麗しい謎のホームレス仲間の仲村、口のうまい占い師の龍斎を仲間に引き入れ"大地の会"を創設、順調に会員を増やすことにも成功したが……


    わたしやあなたが明日ホームレスにならないと言いきれるだろうか。誰しもがありうるかもしれない明日、のその先の展開がすごい。
    主に上巻はどん底から這い上がるサクセスストーリー、下巻は膨れ上がったものの末路。
    どちらも描写が細かく、まるで自分がそこにいるかのような感覚だった。

    わたしは無宗教な人間だけど、宗教ってものは面白いなあと思う。人は救われたくて、誰かに赦されたくて宗教に縋るんだろうか。
    それが例えまやかしであっても、本人が幸せなら正解だろうか。それとも、まやかしで人を幸せにするのは罪だろうか。

  • わくわくしながら読み始め、中だるみを経て、またわくわく。。が突然の終わり。。ツライ(´ω`)どうなるんだよぉお

  • 序盤のこれからのし上がっていくんだという高揚感から打って変わって、どんどん転落していく展開にページを捲るのをやめたくなりました。
    読み終えた後はしばらく頭がぼうっとします。

  • どタイプの小説
    映画化してもいい気がするが
    監督によっては、どっちにでも転がりうる作品だと思った。

  • 世間に蔑まれた木島が、今度は世間に復讐していく。思いが強い分緻密な計画性や大衆心理を利用するのは圧巻。最後は彼らしさが出る人間味が出ているところが私的には少しホッとした。

  • 最後もうちょい続きを読みたかった
    面白かった。ホームレスの暮らし、宗教を立てる過程がリアルで新鮮だった。
    仲村が自分の真実を話した時ゾッとした
    人間世界は怖いと思った
    新興宗教を作るなんて自分も信じていない道に全力を注いでも幸せにはなれないんだな

  •  とりあえず、コレを書かなくては。「衝撃と慟哭の結末」ではなくて、再度の再生を予感される作品だった。ホームレスから立ち上がって行く物語は、もちろん、絶対、読ませる。前半の様々な描写、もうワクワクしっぱなしだった。でもさ、「たぶんこんな終わり方だろうな」。予想どおり。残念。

  • ホームレス、どん底の生活や宗教にはまっていく人々をリアルに詳細に描いた物語。引き込まれる展開ながら、ラストがスッキリしない、読後感がダークな作品。

  • ★購入済み★

  • 2022.11.14
    本当に面白かった……
    夢に出るくらいのめり込んで読んでしまった。

    ただこの終わり方は考えすぎて眠れなくなりそうだから星ー1(´・ω・`)
    想像膨らむから楽しいけど、スッキリ終わる方が好み。

    わたしの中での中村はディズニーのターザンみたいなイメージ。
    みんなの中の大城せんせはどんな感じだろ

    Kindle Unlimitedで読んだけど、文庫買おかな
    お気に入りの作品になった。

  • 宗教団体を立ち上げ、順調に会員を増やす木津。

    下巻では拡大する団体、軋む人間関係、教祖ナカムラの招待などが明らかになる。

    最後はちょっと意外な終わり方かな。

    面白い小説であることは間違いなかった。

  • 宗教、

  • 後半も、この先どうなるのか気になって、どんどん読みたくなる。

  • めっちゃ面白かったけど最後がなあ〜
    メッセージ性強すぎ

  • インチキ宗教がドンドンと大きくなっていき……つくりだした自分すら手に負えなくなっていく。
    某宗教団体も、インチキがバレる恐怖や集団心理から宗教にそぐわない人を『ポア』したくなったのだろうか。そんなことを考えてしまうくらい、やっかいな信者への苛立ちに同調したり、宗教団体の法治国家と異なる異様な雰囲気に飲まれてしまう。
    最初は破滅するほどの金はとらないつもりだったし、他者排斥はしない、法律は守る、という考えだったし、最後までその傾向だった宗教をつくった人の手を離れ、宗教団体が危ない方向に向かっていくリアルさが、どんどんとせまってきて、読む手が止まらなかった。
    最後のオチが、え?終わり?どうなったの?結局主人公の妻は?とか、色々と考えてしまう読後感。
    感動も驚きもすっきりもないが、これからどうなるんだろうとドキドキとするサスペンス系の面白さがある。
    主人公視点で進むが、主人公とともに宗教をたちあげた2人の思いや動き局主人公が把握できていないから、実際のところ、彼らは何を思いどう行動していたのかは不明だし、そもそも主人公自身が、精神に異常をきたしている可能性が示唆され、主人公視点の主人公自身の言動も疑う余地があり、読者に想像と解釈の余地がある物語。それもそれで個人的には好き。

  • ホームレスに転落した男が、圧倒的美形のホームレスの男と占い師の三人で、どん底からのし上がるために宗教団体を創り上げる。思惑通り巨大な組織へとなっていく団体だが……。
    最初の数ページだけ、少し読みにくいかなと思ったけど杞憂だった。面白くて読み進める読み進める。
    いやいや〜と思いつつも妙にリアルで面白かった。人の業はどこまでも深ぁい。

  • 元ホームレスが宗教団体を作って金稼ぎをするけど、その狂気に呑まれていく話

  • 本書は今年に入り再読した。面白いものは二度読んでも面白い。ホームレスが宗教ビジネスで運命を引っくり返すストーリーもさることながら、人を集めるマーケティング手法に説得力がある。新興宗教の運営が上手くいったにも関わらず、主人公が行き詰まるのもストレス耐性のない現代人を諷刺しているように感じた。
    https://sessendo.blogspot.com/2022/02/blog-post_26.html

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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