- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062776882
作品紹介・あらすじ
男たちはなぜ、だまされたのか――
肉体と結婚をちらつかせて男たちから1億円以上もだまし取り、
3人の男を練炭で殺害したとして死刑判決を受けた木嶋佳苗被告。
100日に及んだ裁判では、彼女のファッションまでもが話題となり、
自身のセックスについて赤裸々に語ったことで、日本中が騒然となった。
「稀代の婚活詐欺師」「平成の毒婦」と呼ばれた木嶋被告とは、どんな人物なのか。
決して美人とはいえない容姿で、何人もの男を手玉に取れた理由とは。
裁判の傍聴に加え、故郷・北海道別海町や事件関係者への徹底した取材を通して
木嶋被告の内面に迫った渾身の一冊!
「佳苗のことを考えていると、色んな風に考えが広がる。女と男のことを考える。女目線、男目線の違いを考える。私たちは、男に何を求めているのか。なぜ、男たちは佳苗に苛立つのか。ある種の女たちは佳苗に惹かれ、ある種の女たちは、佳苗を憎むのか」――本書より
感想・レビュー・書評
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木嶋佳苗と上田美由紀。同時期に同様の容姿をした女性による連続不審死事件が2件。当時ニュースバリューとしては圧倒的に木嶋佳苗が凌駕し世間では消費し尽くしされていた。木嶋佳苗が完全に「外」を意識していることに対し、上田美由紀の意識は「内」にしか向いておらず世間の反応などどうでもいい風だったのは東京と鳥取という地理的な問題もあったのだろうか。正反対にも見える稀代の毒婦と称された2人の共通点は「筆まめ」であり字が美しいということ。モテとは?美醜とは?の観念を揺るがせた事件として記憶にいつまでも刻まれそうだ。
ほぼ同時期に死刑判決が下された2人だが、上田美由紀は昨年刑が執行され、木嶋佳苗は3度目の獄中結婚式でまた世間を騒がせている。佳苗劇場の上演はまだまだ終わらない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
木嶋佳苗死刑囚がどのような人間なのか?それを知りたいと思い手に取った。
一番恐ろしいことはやはり理解出来ない犯罪者ではないか?と感じた。 -
木嶋佳苗を正確に描けているかは、分からない。彼女の事を人殺しのモンスターとしてではなく、女性としての矜持や哲学をもつ、社会的性の象徴かの如く描いている。たしかに、男性は女性から性的な報酬を得るために、自らを時に誇張し経済的な施しをする。女性だって、男性からの経済的報酬を得るために、化粧をし、魅力があるように振る舞うのだ。双方が結果的に、少し騙されたまま目的のものを得たからと言ってそれはなにか問題だろうか。そうした事を考えさせられる。もちろん、木嶋佳苗は催眠薬を用い、練炭殺人をしたのだから、その点は言語道断。しかし、結婚詐欺だけで考えれば、これは随分と男女の利害を象徴するような犯罪なのだろう。木嶋佳苗をタレントのように描くのは誤りだが、事件そのものから、考えさせられる内容だ。
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私も、以前このニュースが気になったことを覚えていて今更ながら読んでみた。
女性経験がないから騙される、、、そんな単純なものだけではないと思う。
きっと彼女には才能があったのだろう。マメに料理をすること、相手を気遣い喜ぶことを言う。それが、彼女にとっては仕事のようなもので、そのことに対しての対価をもらってなにが悪い。それが才能で天職のようなものだったのかもしれない。 -
木嶋裁判の傍聴記というより傍聴感想文。
女性視点という点で価値があると思う。
木嶋の犯罪における本質的な問題は、
「売春はいけない」「殺人はいけない」という認識(公理)を持ち合わせていないゆえの罪悪感の欠如にある。
また、人は「なぜ売春はいけないのか?」「なぜ殺人はいけないのか?」が説明できない。 -
面白かった。「ケアは支配の手段」という言葉が本編後の対談で出てくるが、正しく「優しさ」を武器に犯行を重ねる木嶋佳苗。女性すらも思い込んでいる「女性像」を嘲笑うかのように。「常識」を揺さぶってくれる面白い1冊です。
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思いっきり女性目線で書かれた本書。
男目線の日本社会、男目線の評価において、著者の木嶋佳苗の描き方は同じ女として好ましかった。
ただし、分析というほどではなく、著者自身もどう始末をつけていいかわからなかったようで消化不良。
「援交世代から思想が生まれると思っていた。生んだのは木嶋佳苗だったのね」
本書で紹介されている上野千鶴子の言葉が印象的だった。
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元祖、頂き女子とも言える木嶋佳苗の裁判傍聴記録。
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母と子と常識の名において父に刃向かうもの
相手によって自分を使い分け、翻弄し
その精を吸い尽くす
もっとも先鋭化したフェミニズムの戦果に
同性の嫉妬が集まるのも無理はない
陶酔の味で誰もを虜にする怪物の思想
この本の筆者も、それに取り込まれてしまったようだ
とはいえ結局のところ
その女は、あとのない男の足元を見る結婚詐欺師にすぎず
しかもそのことをけして認めようとしない
つまり、男の中で悪者にされることに耐え切れない
そういうタイプのか弱い偽善を
抱えたものなのだった -
不謹慎だが面白かった。
正直、この作者はあまり好きではない。「女は」という主語で語りたがるところが。一緒にしないで、意見があるなら「私は」で語ってと思う。
しかし今回は、作者の「女はこう」という視点からみた切り口に納得させられる。たぶん、この作者と木嶋佳苗は、同じグループに属する女なのだろう。
そして男はバカだ。木嶋佳苗に騙される男たちがこんなにいた、という事実に茫然とする。木嶋佳苗は、簡単に騙される男をあざ笑って気持ちよかったのだろうな。
そして事件とは別に、「木嶋佳苗からみる、ブスがもてる方法」のマニュアルにもなります。上品になれ、胃袋をつかめ、卑屈になるな、もったいぶるな!と。
「早く体の相性を確かめて、電撃結婚したい」と言われたら、結婚願望ある男は鼻ふくらますもんなのね。不細工でもアラフィフにとってアラサーは女神なんだなあ。
ブログも読んだけど、木嶋はすごくプライドが高い。「私は名器だ」と言い切られたとたん、売春は惨めなものでなく、男への施しとなる。これぞ女の武器だろう。自分が優位にたつやり方をわかってる。
裁判中に唯一、怒りを見せたのが、田舎者呼ばわりされたときだったというのが興味深い。できるなら直接、本人にインタビューして欲しかったな。