遠き落日(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062776950

作品紹介・あらすじ

自堕落にして借金魔。しかし、その一方で、寝食を忘れるほど研究に没頭し、貧農の倅という出自の壁、火傷によって不自由となった左手のハンディ、日本人に対する西洋人の蔑視を撥ね除けた。偉人伝の陰で長く封印されていた野口英世の生身の姿を、見事に甦らせた傑作伝記長編。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 野口英夫は、伝記で読んだような人じゃない!
    いつもパトロンに無心し、借りたらすぐさま飲み食いと遊郭で使い果たす。何度も何度も。

    あと外国語マスターへの執念は凄まじい。

    一気読みできます。

  • 人生における幸福とは?成功とは?生きる意味とは?色々と考えさせられる生き様。噂には聞いていたが、想像以上に依存・寄生した考え・行動に、読みながらゲンナリ。石川啄木や、「罪と罰」のラスコーリニコフを想起。
    ただ、上巻ではまだ20代なので、30代以降どうやって生きていくのか、下巻をしっかり読み進めたい。

  • 偉人の伝記を読むのは初めてで、千円札の人としか知らなかった野口英世を知ることができた。
    偉人だからと言って立ち振る舞いまでもが完璧な人なんていないと元々思っていたが、想像を超えて私生活は酷いとしか言いようのない人だった。

  • 若い頃、猪苗代湖旅行のついでに、野口英世記念館に立ち寄って観たビデオ(生涯を紹介)に感動して、氏のことをもっと知りたくなり、この本を読んでみた。

    金銭感覚のあまりのだらしなさというか、人格の破綻具合にドン引きするとともに、一般常識とかを持ち合わせていると、それが固定観念のようなものになって、偉業を成し遂げる邪魔になってしまうのかなとも思った。
    突き破る力は常人には真似できないところがあると、ただただ驚愕。

    失楽園を読んだ後だったので、渡辺淳一ってこういう話も書けるのか~(失礼!私のほうが固定観念に縛られてました)と意外に思ってしまった。話の展開に引き込まれ、一気に読んだ。
    子供向けの本には、こういう一面はかけないのでしょうね…

  • 野口英世の放蕩ぶりはそのWikipediaから最低やと思ってたけど、強烈なまでの信念の強さを知った。努力なんて生易しいものじゃない。生まれと左手の不遇を補うに余りある、誰もが瞠目する勉強量とスタミナ。一流になる人は違う。モチベーションを掻き立てられた。

  • 請求記号:913.6-WAT
    [上下巻]
    https://opac.iuhw.ac.jp/Akasaka/opac/Holding_list?rgtn=2M020299

    <コメント>
    野口英世の生涯を描いたもので、米国留学中に読んで感銘を受けた。

    <BOOKデータ>
    [上]
    自堕落にして借金魔。しかし、その一方で、寝食を忘れるほど研究に没頭し、貧農の倅という出自の壁、幼少期の火傷によって負った左手のハンディ、日本人に対する西洋人の蔑視を撥ね除けた。偉人伝の陰で長く封印されていた野口英世の生身の姿を、見事に蘇らせた傑作伝記長編。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。
    [下]
    日本では将来が望めない。無鉄砲に、単身渡米した野口英世。そんな彼に実力重視の米国は肌に合い、やがて新進気鋭の学者として世界中の注目を浴びる。日本への凱旋、老母との涙の再会。まさに立志伝中の人となるも、提唱した理論が揺らぎ、黄熱病の研究で再証明を試みるが—。野口の栄光と最期を描いた傑作伝記。

  • 長らく積読状態であったこの本を読む。以前、劇場で観た同名の映画は野口英世の母シカをメインに描いていたという記憶であるが、本書は英世自身を中心に描く。子どもの時に読んだ英世の伝記では描かれていなかった英世の浪費癖、放蕩、自己顕示欲などには驚きとともに、私がこれまで持っていた英世像に変容を迫られた。しかし、それでも憎めない英世がそこにいて、これから彼がどんな活躍をするのか、下巻に進むのが楽しみである。それにしても、自らの財産を形に取るまで物心ともに英世を支え続けた血脇守之助など、明治人の大きさには圧倒される。

  • B913.6-ワタ-1・B913.6-ワタ-2

    300704285
    300704277

    千円札肖像画の偉人といえば、ご存じ、野口英世ですね。私が小学生の時、学校の図書館から初めて借りて読んだ本が野口英世の伝記でした。偉い人だなぁ~と大きな感銘を受けました。大人になり、多少世間ズレした私が読んだ、この『遠き落日(上・下)』に描かれた野口英世は、私の知っている野口英世とは別人のようでした。涙なくしては読めません。読み終えて、野口英世がますます愛おしくなったのはいうまでもありません。偉人の裏側を知る好著です。是非、一読をお勧めします。

  • 英世のKYがすごい。でも偉人と言われる人に有りがちでもある。天才ではなく努力家であるが、性格は破綻、のパターンかな。

  • 面白かった。小学校の頃に読んだ野口英世の伝記とはちがったエピソードも多く、驚きがあった。

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著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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