妖怪アパートの幽雅な日常 9 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777001

作品紹介・あらすじ

高校最後の文化祭。男子学生喫茶で盛り上げるぜ! そんなある日、自分の悪口を書かれたノートに愕然とする夕士……いったい誰だよ?

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第9弾。

    主人公・稲葉夕士は高校3年生。
    そして秋の文化祭の季節。
    卒業が近づき、このシリーズも次の10巻で完結。
    この巻はもう、終わりに向けて突っ走ってる感じ?!
    もはや妖怪などはほとんど登場せず、学園青春ストーリーとなっていて、??な雰囲気だけど。
    とはいえ、全力で人生を楽しんでいる夕士の友達・田代など、
    「死んでるヒマなんかないわ!もったいない!!」
    と、文化祭を全力疾走している様子にスカッとする。

    夕士のクラス担任である千晶先生にまつわる話は、なんか苦手だったけど、千晶の過去や友人達との関係が分かって、今回はまぁまぁかな。

    最終巻、楽しみです。

  • うっかり油断すると、夕士は妖怪アパートなんてところ(家賃格安)に住んで、規格外だけど実のある人や妖怪たちと交流して、学校にはゆかいな仲間たちがいて、なんて恵まれた人生をおくっているのだろうと思ってしまう。

    いや、夕士は中学生の時に両親を亡くして親戚に引き取られ、自立するためにバイトしながらアパート暮らしで、将来の夢は公務員というささやかなもの。
    ここだけを見たら、青木先生ではないけれど「なんてかわいそうなのかしら」ってなる。

    他人の事情なんて、外から窺い知れるものだけではないのだ。
    それを、自分がちょっと上手くいかないからって「あんたはいいよなあ」とひがんで恨んで絡んでいくのは、傲慢だと私は思っている。
    自分が世の中で一番不幸と断じてしまえる傲慢。

    リア充の人を羨ましく思うのは自然なことだと思うけれど、物心全てが充実しかしていない薄っぺらい人なんていないんじゃないかなあ。
    少なくともこの作品に出て来る千晶先生は、金持ちでハンサムで超絶歌が上手いけれど、人一倍喪失の痛みを知っている。
    だから教師に向いているんだ。

    「富樫、人にはそれぞれの『その時』があるんだ。その時がいつ来るのか、人によって違う。その時が来れば、やりたいことや好きなことができる。お前にも『お前の時』が必ず来る。あせらなくてもいい。じっと待っていろ。(中略)ただし、前だけは向いておけよ。前を向いていないと、その時が来てもわからない。あざとく聞こえるかもしれんが、そういうものなんだよ」

    大人はうざいと子どもはいう。。
    でも何も言ってくれないと見捨てたと言って怒る。
    そんな理不尽をわかったうえで、うざい事を言ってくれる大人はありがたい。
    そう気づけたとき、子どもは大人になるのかもしれない。

  • 「お前になにがわかるんだよ」
    と言いたくなる人、言ってしまった人のことを私は否定したくない。

    と書くと青木みたいだなぁと思ってしまうのだが、そうではなく、上手く言葉には出来ないけど、蔑んでいる感じが嫌だと思ってしまう。

    実際、わからないでしょ?わかりたくもないと言ってしまうのは想像力の欠如であり、自分と同じタイプ(やりたいことがあるきらきらしてる人たち)以外を受け付けないということなのでは?と思った。

    そりゃやっていいことと悪いことはもちろんあるけども。なんかな、と思ってしまうのです。

    いや、妖怪アパートは大好きなんだけどね。
    続きも読むんだけどね。なんかな。

  • 高校最後の文化祭、男子学生服喫茶にクラブの発表、クラスの女子がおおはしゃぎの第9巻!
    長谷一味がおもしろかったな。巻を重ねるごとに長谷の物語が読みたくなります(笑)
    最後、気になる感じで終わりました。最終巻が楽しみです。

  • 妖怪ってでなくなったなぁ。。。。

  • 10巻で終わりというのは判っちゃってるので
    ラストスパートなんだなぁと身構えちゃったり。

    あちこちに素敵な言葉がばら撒かれてるのは相変わらず。
    今回はどちらかというと大人たちよりも
    田代ちゃんとか神谷先輩とか夕士と同年代の女子たちが
    カッコいい台詞をバンバン吐いてくれていた。

    ただなぁ…
    夕士の千晶先生への入れ込み具合が
    先生に対するそれのラインを明らかに超えていて
    (しかも周りの女子たちもはやし立てるもんだから)
    その辺が読んでいてちょっと気持ち悪かった(爆)。
    最初っからBLだって判っていて読む分には問題ないんだけど
    このシリーズってそうじゃないでしょ?
    長谷くんの夕士への執着(って大袈裟か)もそう。
    どうしても斜めに見てしまう自分がちょっとイヤ。

    そして今回もるり子さんの料理は美味しそうなのでした。

  • <あらすじ>

    高校最後の秋、文化祭の準備が始まった。

    学校の休み時間、大学進学を決めた有士のノートに悪口が書かれていた。

    友人に話を聞くと、学校の裏サイトとかメールで、クラスのほぼ全員に対して
    悪口が書かれていたことが発覚する。
    (有士は携帯を持ってなかったからノートに書かれた)

    犯人は同じクラスメイトの富樫だとすぐに判明。
    動機は何の目標もなく根暗な自分がイヤで、逆に夢があったり明るい人が
    憎くなったからだった。

    それを知った担任の千晶もその生徒のことを以前から気にしていた。
    進路相談で大学進学を突如辞めて何もしないと言っていたからだった。

    後日、千晶はHRで昔話をする。

    高校時代の友人で病気のヤツがいて、日に日に身体が弱っていったけど、
    毎日楽しく学校生活を送り、夢を語り、泣き言は一言も言わなかった。
    でもその友人は、病気が悪化して死んでしまった。
    後日、その友人の兄から彼が書いていた日記を見せてもらったら、
    『病気は嫌だ。どれだけ我慢したって終わらないんだ。もう耐えられない。
    僕を死なせてくれ!』  と書かれてあった。

    そして千晶は生徒の前で話を続ける。

    お前たちはこの友人に比べれば幸せなんだから文句を言うな、なんてことは言わない。
    でもお前たちにはまだ時間がある。あせらなくていい。まだ悩んでいてもいい。
    ただ、諦めるとか、投げ出すとか、それだけはしないでくれ!


    千晶のHRでの話の後、悪口メールや書き込みは止まった。

    そして文化祭も無事に終わり、期末試験が近づく中、
    富樫は千晶に大学進学はしないが、予備校に行きながらいろんなバイトをする。
    と報告した。
    千晶もその報告を聞いて、やりたいことができるその時まで待っていろ。
    ただ必ず前だけは見ていろよ。と教えた。


    また1年がおわる。。。

  • 表紙もユーシ君もまわりのオトナ達もすごく好き、
    るり子さんの料理の描写なんて本当に大好き!
    なんだけど。。。
    なんか所々ハナにつく微妙な上から目線に引っかかる 笑
    あと、ロレックスがダサいんでしたっけw
    明らかにユーシ君が言うわけなさそうなセリフ。
    ユーシ君じゃなくて作者がそう思ってるんですよね。
    ユーシ君が本当にそう思ってるなら
    ロレックスの何を知ってるのか聞きたい 笑

    次回最終巻。
    すごい批判したけど、
    それでも終わるのが寂しいです。。。
    ユーシ君たちの限りない成長に期待でいっぱいです。

  • ようやく9巻。
    でるのまってたー。
    8巻まではとんとんとんってでてた気がするんだが・・・・。
    表紙がいつも通りでよかった。
    マンガイラスト好きだけど、文庫の表紙はこっちの方が好き。

    あいもかわらず、まっすぐなメッセージがバンバン伝わってきます。
    そこがいいとこでもあるし、ちょっと鼻白むとこでもある。
    素直に読みたいんだけど、ちょっとひっかかってしまう自分が哀しい。
    アパートの住人や千晶センセイのひとことひとことは、
    ホンっとその通りで、いやーいいことゆーねーっと思うんだけど、
    例えば長谷の学校の文化祭にきている女の子たちをバッサリと切って捨ててる描写とか、そーゆーなんていえばいいのかなあ、
    自分たちとは違うものに対する容赦なさ、とゆーか、
    いや、分かるんだよ、感覚的には分かるんだけど、
    どーも飲み込めない部分がどーしても、ある。
    うーん、こりゃー富樫根性かなあ?
    いかんいかん。
    田代ちゃんの前向きさを見習わねばっ!

    アパートでのみんなの宴会シーンはメッチャ好きなんだなー。
    おいしい、ほんっとーーーーっにおいしそうなご馳走の数々。
    いやーるり子さん、マジ、家に来て欲しいっす!!
    つーか、香月先生、なんておいしそうな描写なのかしらっ。
    秋の恵みいっぱいの食卓にしろ、色鮮やかなお弁当にしろ
    豪勢なクリスマスディナーにしろ、もう目の前に現れちゃって現れちゃって、食べられないのが悲しすぎるわあ。
    うう、いいなあ。
    あ、そして相変わらずクリちゃんがかわいい。


    しっかし千晶先生の白ラン・・・・・。
    いやーマジそのイラスト売ってください、田代さま。
    にしても、BL萌え全開だが、いいのだろうか?まあ、私は好きなんで、
    きっと田代ちゃんたちの会話に乗れる自信がメッチャあるのだが、
    作品としてこのノリはおっけーなのか?
    彼女たちのノリのまんま現実世界で生まれている作品の数々があるであろうことは
    簡単に予想できるんだが、それは本を出す方も分かってやってるって
    ことでいいんだろうか?
    うーん。ま、どっちでもいいんだが、
    そーゆーの受け付けない人にはイヤかもなあ。
    でも自分たちの依頼を受けてくれた千晶先生のためにも
    問題は絶対起こさない!!っと文化祭を乗り切った彼女たちはカッコイイよ。

    さて、たしかこれは10巻完結なんだよな?
    メッチャなんかありそうなとこで終わったがなんなんだろう??
    長谷の身になにが?
    いやー10巻たのしみ楽しみ。
    あ、そーいや外伝もあるんだよな、なんか題名にラスベガスってついてたが、
    すると、千晶先生の若かりし頃の冒険(?)譚って奴なのかしら。
    いやーこっちも楽しみ楽しみ

  • 進路に悩んで暴走する富樫の気持ちわからんでもないなぁ。
    明確にここまでしたら確実ってラインがない受験勉強のストレスもそうだけど、やりたいことが見つからない自分とやりたいことが決まってそれに向かって頑張ってるクラスメイトとの差でどんどん追い詰められていくんだよね。
    いやぁ、田代ちゃんみたいなポジティブに生きられたらいいけどなぁ。
    本当にうらやましいあの前向きさ。キラキラしとるわ~。
    富樫もいつか分からないけどやりたいことが見つかるよ、頑張れ。

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著者プロフィール

和歌山県生まれ。本シリーズの第1作目で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。「ファンム・アレース」シリーズ(講談社)「大江戸妖怪かわら版」シリーズ(理論社)など、YA(ヤングアダルト)小説の作家。

「2023年 『妖怪アパートの幽雅な日常(26)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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