盤上のアルファ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777063

作品紹介・あらすじ

小説現代長編新人賞受賞作。真田信繁、33歳。家なし、職なし、目標・プロ棋士。とてつもなく迷惑な男が巻き起こす熱い感動の物語!

感想・レビュー・書評

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  • ええ感じの会話!ノリツッコミありの!
    これぞ関西って感じには、親近感が!
    しかし、将棋は、ほぼ知らんに等しい。駒の進め方ぐらいしか知らん。

    作者の塩田さんは、元将棋担当記者みたいなんで、リアリティがある。更に神戸新聞みたいなんで、関西弁もリアリティあり!

    文化部に左遷された不貞腐れた新聞記者(秋葉)と将棋の夢に敗れホームレス寸前の人(真田)の話。
    2人の交わりを通じて、将棋のプロを再度目指す。(アマチュアから、プロへとか色々制度があるんやな)

    将棋に賭ける熱い思い(真田)また、今まで、興味なかった将棋への思い(秋葉原の2人の交わりは面白かった。

    しかし、秋葉さん〜可哀想〜〜
    ええように利用されて…やっぱり、女の人って怖い〜
    まぁ、美人さんに揺れてしまう秋葉さんに非はないとは言わんけど…
    利用しただけなら、秋葉さん報われんから、ちゃんとプロ棋士になって活躍してや〜

  • 盤上のアルファ

    エンタメ性 ★★★★★
    主人公魅力 ★★★★★
    ハッピーエンド ★★★★★

    【引用】
    「希望が一番大きく見えるのは、達成したときではなく、その目的に向かって苦しんでいるときである。」

    【購読動機】
    「罪の声」塩田氏のデビュー作品だからです。罪の声のイメージで読むと展開、作風が大きく異なります。
    最初は違和感がありましたが、読了後には、笑いありのエンタメとして楽しめました。

    【主人公】
    独身、33歳の二人が主人公です。
    ①新聞記者 
    社会部から文化部へ異動、いえ左遷された男性。仕事は出来ます。人間関係が苦手です。
    ②アルバイト
    喫茶店アルバイト。しかし、そこもリニューアルでクビに。さらに、家賃滞納で住むところなし。
    趣味がひとつだけ、将棋です。

    【出会い】
    二人は、ともに行きつけの小料理屋で出会います。
    将棋、囲碁の世界を敬うことのできない記者。
    一方、幼き頃から将棋だけが心の支えのアルバイト。
    そんな二人が対立し、喧嘩に、、、。
    女将が仲介し、事なきを得て、二人の物語が始まります。

    【タイトル】
    盤上は、将棋盤を指します。
    アルファは、オオカミの群れのトップを指します。

    オオカミの群れは、雄雌のそれぞれのトップのみが子孫を残すが許されます。
    それ以外は、群れを離れ、別の世界で生きなければなりません。
    そう、生存競争が厳しい世界です。

    このオオカミの世界と棋士世界を重ねることで、物語に力強さが宿ります。

    【エンタメ作品として】
    読書の秋。少し、笑いと涙がバランスよく欲しいなあ、、、の読者の方にオススメです。

    読みおえて、主人公ふたりに、「まだまだ若いよ!、これからだよ!」と声がけしたくなる作品です。


  • 警察担当を外され将棋担当へと左遷された記者・秋葉は、何故か飲み屋で出会った野卑でがさつな男・真田と同居することに。プータローの真田は、プロ棋士を目指すという。果たして真田の奨励会へのチャレンジは成功するのか?

    本作、コミカルでキレがある。どんでん返しもある。著者のデビュー作とのことだが、これまで読んだ著者の作品(シリアスもの)とはテイストが大分違うな。この路線もいいと思うけどな。

    著者が元神戸新聞の将棋担当記者なだけに、将棋対局の手に汗握るシーンは迫力満点だった。ピエロを演じてしまった秋葉、ちょっと哀れだなあ。

  • 前半はやや重く、中盤以降のテンポアップから終盤までの流れはとても良い。これがデビュー作とは恐れ入りました。続編があるようなので手に取ってみたい。真田、秋葉、静、加織のその後がどうなるのか、興味津々!

  • 苦悩する男の絵から表紙買い。題名から囲碁将棋の話と推測したが、将棋の話。正直駒の動かし方位しか知らないし、「3月のライオン」でしか知識がなかった。
    もっと事件性がある展開と思っていたが純粋に将棋に打ち込む話。
    30過ぎの男がプロになるべく挑む姿勢は熱く、後がなく追いつめられた状態が切羽詰まりハラハラさせられる。反面、ユーモアを感じるシーンもあり重たくなりすぎない。
    「ヒカルの碁」に出てきた、試験を受けるおじさんを主役にしてクローズアップしたような感じ。
    そして周りの女達。強かだなあ。と言うのが強烈な印象。世間の女性もこんなのかなぁ。怖いというか、やはり強いのだ。麗、加織、静。
    秋葉、真田の戦いを表とすると、女性達の生きざまも裏テーマと平行して語られている。生きていくための強さを感じた。

  • 作者のデビュー作ですが先が気になり一気に読めました。特に序盤でのドイヤ姫路での、シリアスな展開から一気にギャク路線になるところに驚きましたが嫌いじゃないです。作者のギャクをもっと読みたい気持ちで他の作品を手に取りそうです。特に二人の主人公の関西弁の掛け合いがとても楽しいです。更に二人をつなぐ三角関係となる女将、静がいい味だしてます。
    プロ将棋の過酷な世界を垣間見るようだが、プロ棋士による解説には物語になるような事は少ないとも書いており、個人差があるのかと。作者がこの作品を執筆していた頃は神戸新聞の棋士記者だというので驚きと納得感があります。
    終盤のプロ棋士編入試験の緊迫はとても読み応えがかるが、勝負直後に挿入される三角関係の結末については気持ちの準備ができておらず、試験の余韻を打ち消すほどの威力がありびっくりしました。そういえば伏線割とありましたね。

  • 将棋の緊迫感はほとんどない。
    大阪人らしい会話のやり取りが面白い。


  • 文字通り将棋しかない人生の少年が、奨励会という修羅場で力尽き、退会後も将棋が忘れられず、修練を積んで三段リーグ編入試験へと臨むストーリー。まさにいま映画化されたばかりのしょったん、こと瀬川晶司の生き様が思い起こされる。

    挫折なしに三段リーグを突破してプロ棋士になるのももちろん険しい道だが、ドロップ・アウトして、一度社会に出てから再び将棋の世界に挑戦するというのは更に想像を絶する厳しさだ。
    そこを敢えて進もうとする根性、気概にはやはり心打たれるものがある。

    この本はどうやら続編があるらしい。真剣師である林が主人公ということらしいので、そっちもぜひ読んでみたいなぁ、と。

  • こちらもこの前TSUTAYAで買った。丁度この本の続編が本屋の棚に並んでいたのを見て、こちらから読んでみようかと思ったところ。
    オオカミ犬が出て来る話を読み終えたばかりだったが、この本でも冒頭オオカミが出て来た。群れのボスをアルファというらしく、そこからのタイトルだと知れるが、不思議な符合にちょっと驚く。

    つい最近、藤井七段と師匠の杉本七段のW昇級(ならず、だったが)が話題になったが、藤井くんのお陰で将棋のこともよくニュースになるようになった。
    この物語もこの前からNHK-BSでドラマが始まり、読んでいても玉木宏や上地雄輔の顔がちらつくが、まあまあいい頃合いのキャスティングと思う。

    しかし、何ともけったいな話やな~。
    堅いお話と思いきや、結構はっちゃけていて、3人が同居するというのはいくら関西でもありえへんと思うのだが、まあ、そんなノリの話だな。
    深みはなく、設定の面白さだけで引っ張った感じだが、それでもまあまあ面白く、閑な3連休でちゃっちゃと読み終えた。

  • 盤上のアルファ / 塩田武士

    「秋葉、人事っちゅうのは何で決まるか知ってるか?」
    「好き嫌いや。おまえは嫌われてる。」

    「この寒い中、裸1つで追い出そうっていうんですか?
    僕の格好見てください。タンクトップですよ。
    死んだらどうするんですか?」
    「灰になるだけや。」
    「しびれるわぁ」

    かくして、嫌われ者の記者とタンクトップは出会うこととなった。
    将棋に命を懸けた男が巻き起こす、男臭く熱い真剣勝負の物語。

    「キリストとおまえの共通点ゆうたら、髭ぐらいのもんやろ」
    「あと、薄着やな」
    「どうでもええわ」

    ゆかりある神戸の風景に
    関西弁のツッコミが効いていて
    どんどん物語に引き込まれました。
    気づけば、戦う男に魅せられて
    思わずこめかみが熱くなることも。

    何をしても三日坊主な私には、
    彼のような生き様がうらやましいとともに、とても眩しかったです。
    秋葉もきっとこんな気持ちだったんだろうな、と思いました。

    ー 希望が一番大きく見えるのは、
    達成したときではなく、その目的に向かって苦しんでいるときである。ー

    人間、もがき続けてなんぼや!と言われたようで
    とても胸に刺さる言葉でした。

    何より最後の1ページの情景が美しかった。
    鮮やかな読後感を味わえたのはきっと、私だけではないと思います。

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著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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