盤上のアルファ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777063

感想・レビュー・書評

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  • 盤上のアルファ

    エンタメ性 ★★★★★
    主人公魅力 ★★★★★
    ハッピーエンド ★★★★★

    【引用】
    「希望が一番大きく見えるのは、達成したときではなく、その目的に向かって苦しんでいるときである。」

    【購読動機】
    「罪の声」塩田氏のデビュー作品だからです。罪の声のイメージで読むと展開、作風が大きく異なります。
    最初は違和感がありましたが、読了後には、笑いありのエンタメとして楽しめました。

    【主人公】
    独身、33歳の二人が主人公です。
    ①新聞記者 
    社会部から文化部へ異動、いえ左遷された男性。仕事は出来ます。人間関係が苦手です。
    ②アルバイト
    喫茶店アルバイト。しかし、そこもリニューアルでクビに。さらに、家賃滞納で住むところなし。
    趣味がひとつだけ、将棋です。

    【出会い】
    二人は、ともに行きつけの小料理屋で出会います。
    将棋、囲碁の世界を敬うことのできない記者。
    一方、幼き頃から将棋だけが心の支えのアルバイト。
    そんな二人が対立し、喧嘩に、、、。
    女将が仲介し、事なきを得て、二人の物語が始まります。

    【タイトル】
    盤上は、将棋盤を指します。
    アルファは、オオカミの群れのトップを指します。

    オオカミの群れは、雄雌のそれぞれのトップのみが子孫を残すが許されます。
    それ以外は、群れを離れ、別の世界で生きなければなりません。
    そう、生存競争が厳しい世界です。

    このオオカミの世界と棋士世界を重ねることで、物語に力強さが宿ります。

    【エンタメ作品として】
    読書の秋。少し、笑いと涙がバランスよく欲しいなあ、、、の読者の方にオススメです。

    読みおえて、主人公ふたりに、「まだまだ若いよ!、これからだよ!」と声がけしたくなる作品です。


  • ーーー真田信繁三十三歳。家なし、職なし、目標・プロ棋士。とてつもなく迷惑な男が巻き起こすかつてなく熱い感動の物語。

    ハードカバーのときから気になってたのが文庫化してたので即買い。

    男なら誰もが一度は憧れたであろう、実力が全ての勝負の世界。
    その一つであるプロ棋士への道を一度は失いながらも背水の陣で食らいつく真田がすごく魅力的に描かれている。
    不器用で不細工で不精髭な男を、いつの間にか真剣に応援してしまう。

    ここで終わりはあまりに酷だろう、と思っていたら3月に続編が出たみたい。読みてえなあ!




    頭を上げた男の目に、野性の光があった。

  • 33歳・独身男たちの、崖っぷちで熱い将棋物語
    将棋しかない無職の真田は、将棋に嫌気を指す新聞記者の秋葉と出会い頭に喧嘩。それを機に、秋葉の家へ転がり込む。騒がしい同居生活を送りながら、真田はプロ棋士を目指して3ヶ月後の試験対局に挑む。

  • 唐突な膝カックンに、思わせぶりな内股透かし。会話の妙で引き込まれて、気付いた頃には勝負の綾に絡め取られる。
    面白かったなー

  • これは面白かった!
    ユーモアあり、涙あり。
    局面を再現して欲しいですね。
    将棋を指していた頃を思い出しました。

  • 将棋が題材の本作。だけど、主人公は棋士ではなく記者という点がちょっと興味深いです。本作がデビュー作とのことで著者自身の体験を生かした内容らしく(出典はあとがき)、それ故のこの設定なんでしょうか。

    ただ、真田のふるまいからは、真剣師・小池重明を想起させられます(昔テレビ番組でちょっと見た程度の知識ですが)。自分の体験と小池重明のエピソードをアレンジしてミックスしたのが本作なのでしょうか。

    荒唐無稽、傍若無人な真田の存在やその行為は、ともすればリアリティの欠如につながりかねないのですが(静と一緒にいきなり秋葉の家に居候しはじめるところとか)、本作はそれより面白さが勝っていました。

    どん底にいる仲の悪い二人のおっさんが、一人は将棋を理解するようになり、もう一人はプロの世界に向けて一歩一歩進んでいく様子。そして徐々に理解しあう二人の姿が、王道ながらも共感しやすい内容でした。

    なにより、以前読んだ「拳に聞け!」もそうでしたが、キャラクター同士の軽妙なやり取りが面白いです。この要素があるだけで、個人的には題材が何であっても塩田作品を楽しめると思っています。

  • 将棋の詳しい手などは知識がないが、知識がなくとも楽しめる青春小説だ。キャラ1人1人の個性がたっていて、物語にのめり込める。主人公の1人の新聞記者の仕事や業界の一端も垣間見れる。コントの関西弁のやりとりも魅力です。読後感もさわやか。デビュー作としてはかなりレベルが高い。

著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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