盤上のアルファ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777063

作品紹介・あらすじ

小説現代長編新人賞受賞作。真田信繁、33歳。家なし、職なし、目標・プロ棋士。とてつもなく迷惑な男が巻き起こす熱い感動の物語!

感想・レビュー・書評

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  • 私だって「存在のすべてを」を読みたい。
    塩田さん読んで待ちます、2作目
    2010年小説現代長編新人賞受賞
    2011年将棋ペンクラブ大賞受賞

    不遇な少年時代を送ったアマ棋士。三十三歳にして、アルバイト解雇され無職となる。
    知り合った新聞社の文化部担当記者の家に転がり込み、プロ棋士になるため最後の挑戦を始める。
    最近は、藤井聡太さんの活躍が心地良くて、ネットでニュースになるとつい読んでしまう。将棋のルールはわからなくても、将棋界というところが魅力的なんだろうと思う。
    「3月のライオン」
    「りゅうおうのおしごと」
    「少年⭐︎周波数」
    いずれも美形高校生の将棋界のお話しで、いずれも楽しく読める。
    プロ棋士となるにはこんな破天荒な人材もいるのかなと思う。将棋界のプロになる行程等も多少わかる。ラストにまさかの人間関係も加えられて、ほぼデビュー作のようですけど、よしよしです。

  • ええ感じの会話!ノリツッコミありの!
    これぞ関西って感じには、親近感が!
    しかし、将棋は、ほぼ知らんに等しい。駒の進め方ぐらいしか知らん。

    作者の塩田さんは、元将棋担当記者みたいなんで、リアリティがある。更に神戸新聞みたいなんで、関西弁もリアリティあり!

    文化部に左遷された不貞腐れた新聞記者(秋葉)と将棋の夢に敗れホームレス寸前の人(真田)の話。
    2人の交わりを通じて、将棋のプロを再度目指す。(アマチュアから、プロへとか色々制度があるんやな)

    将棋に賭ける熱い思い(真田)また、今まで、興味なかった将棋への思い(秋葉原の2人の交わりは面白かった。

    しかし、秋葉さん〜可哀想〜〜
    ええように利用されて…やっぱり、女の人って怖い〜
    まぁ、美人さんに揺れてしまう秋葉さんに非はないとは言わんけど…
    利用しただけなら、秋葉さん報われんから、ちゃんとプロ棋士になって活躍してや〜

  • 盤上のアルファ

    エンタメ性 ★★★★★
    主人公魅力 ★★★★★
    ハッピーエンド ★★★★★

    【引用】
    「希望が一番大きく見えるのは、達成したときではなく、その目的に向かって苦しんでいるときである。」

    【購読動機】
    「罪の声」塩田氏のデビュー作品だからです。罪の声のイメージで読むと展開、作風が大きく異なります。
    最初は違和感がありましたが、読了後には、笑いありのエンタメとして楽しめました。

    【主人公】
    独身、33歳の二人が主人公です。
    ①新聞記者 
    社会部から文化部へ異動、いえ左遷された男性。仕事は出来ます。人間関係が苦手です。
    ②アルバイト
    喫茶店アルバイト。しかし、そこもリニューアルでクビに。さらに、家賃滞納で住むところなし。
    趣味がひとつだけ、将棋です。

    【出会い】
    二人は、ともに行きつけの小料理屋で出会います。
    将棋、囲碁の世界を敬うことのできない記者。
    一方、幼き頃から将棋だけが心の支えのアルバイト。
    そんな二人が対立し、喧嘩に、、、。
    女将が仲介し、事なきを得て、二人の物語が始まります。

    【タイトル】
    盤上は、将棋盤を指します。
    アルファは、オオカミの群れのトップを指します。

    オオカミの群れは、雄雌のそれぞれのトップのみが子孫を残すが許されます。
    それ以外は、群れを離れ、別の世界で生きなければなりません。
    そう、生存競争が厳しい世界です。

    このオオカミの世界と棋士世界を重ねることで、物語に力強さが宿ります。

    【エンタメ作品として】
    読書の秋。少し、笑いと涙がバランスよく欲しいなあ、、、の読者の方にオススメです。

    読みおえて、主人公ふたりに、「まだまだ若いよ!、これからだよ!」と声がけしたくなる作品です。


  • 警察担当を外され将棋担当へと左遷された記者・秋葉は、何故か飲み屋で出会った野卑でがさつな男・真田と同居することに。プータローの真田は、プロ棋士を目指すという。果たして真田の奨励会へのチャレンジは成功するのか?

    本作、コミカルでキレがある。どんでん返しもある。著者のデビュー作とのことだが、これまで読んだ著者の作品(シリアスもの)とはテイストが大分違うな。この路線もいいと思うけどな。

    著者が元神戸新聞の将棋担当記者なだけに、将棋対局の手に汗握るシーンは迫力満点だった。ピエロを演じてしまった秋葉、ちょっと哀れだなあ。

  • 前半はやや重く、中盤以降のテンポアップから終盤までの流れはとても良い。これがデビュー作とは恐れ入りました。続編があるようなので手に取ってみたい。真田、秋葉、静、加織のその後がどうなるのか、興味津々!

  • 苦悩する男の絵から表紙買い。題名から囲碁将棋の話と推測したが、将棋の話。正直駒の動かし方位しか知らないし、「3月のライオン」でしか知識がなかった。
    もっと事件性がある展開と思っていたが純粋に将棋に打ち込む話。
    30過ぎの男がプロになるべく挑む姿勢は熱く、後がなく追いつめられた状態が切羽詰まりハラハラさせられる。反面、ユーモアを感じるシーンもあり重たくなりすぎない。
    「ヒカルの碁」に出てきた、試験を受けるおじさんを主役にしてクローズアップしたような感じ。
    そして周りの女達。強かだなあ。と言うのが強烈な印象。世間の女性もこんなのかなぁ。怖いというか、やはり強いのだ。麗、加織、静。
    秋葉、真田の戦いを表とすると、女性達の生きざまも裏テーマと平行して語られている。生きていくための強さを感じた。

  • 作者のデビュー作ですが先が気になり一気に読めました。特に序盤でのドイヤ姫路での、シリアスな展開から一気にギャク路線になるところに驚きましたが嫌いじゃないです。作者のギャクをもっと読みたい気持ちで他の作品を手に取りそうです。特に二人の主人公の関西弁の掛け合いがとても楽しいです。更に二人をつなぐ三角関係となる女将、静がいい味だしてます。
    プロ将棋の過酷な世界を垣間見るようだが、プロ棋士による解説には物語になるような事は少ないとも書いており、個人差があるのかと。作者がこの作品を執筆していた頃は神戸新聞の棋士記者だというので驚きと納得感があります。
    終盤のプロ棋士編入試験の緊迫はとても読み応えがかるが、勝負直後に挿入される三角関係の結末については気持ちの準備ができておらず、試験の余韻を打ち消すほどの威力がありびっくりしました。そういえば伏線割とありましたね。

  • こちらもこの前TSUTAYAで買った。丁度この本の続編が本屋の棚に並んでいたのを見て、こちらから読んでみようかと思ったところ。
    オオカミ犬が出て来る話を読み終えたばかりだったが、この本でも冒頭オオカミが出て来た。群れのボスをアルファというらしく、そこからのタイトルだと知れるが、不思議な符合にちょっと驚く。

    つい最近、藤井七段と師匠の杉本七段のW昇級(ならず、だったが)が話題になったが、藤井くんのお陰で将棋のこともよくニュースになるようになった。
    この物語もこの前からNHK-BSでドラマが始まり、読んでいても玉木宏や上地雄輔の顔がちらつくが、まあまあいい頃合いのキャスティングと思う。

    しかし、何ともけったいな話やな~。
    堅いお話と思いきや、結構はっちゃけていて、3人が同居するというのはいくら関西でもありえへんと思うのだが、まあ、そんなノリの話だな。
    深みはなく、設定の面白さだけで引っ張った感じだが、それでもまあまあ面白く、閑な3連休でちゃっちゃと読み終えた。

  • 将棋の緊迫感はほとんどない。
    大阪人らしい会話のやり取りが面白い。


  • 文字通り将棋しかない人生の少年が、奨励会という修羅場で力尽き、退会後も将棋が忘れられず、修練を積んで三段リーグ編入試験へと臨むストーリー。まさにいま映画化されたばかりのしょったん、こと瀬川晶司の生き様が思い起こされる。

    挫折なしに三段リーグを突破してプロ棋士になるのももちろん険しい道だが、ドロップ・アウトして、一度社会に出てから再び将棋の世界に挑戦するというのは更に想像を絶する厳しさだ。
    そこを敢えて進もうとする根性、気概にはやはり心打たれるものがある。

    この本はどうやら続編があるらしい。真剣師である林が主人公ということらしいので、そっちもぜひ読んでみたいなぁ、と。

  • 盤上のアルファ / 塩田武士

    「秋葉、人事っちゅうのは何で決まるか知ってるか?」
    「好き嫌いや。おまえは嫌われてる。」

    「この寒い中、裸1つで追い出そうっていうんですか?
    僕の格好見てください。タンクトップですよ。
    死んだらどうするんですか?」
    「灰になるだけや。」
    「しびれるわぁ」

    かくして、嫌われ者の記者とタンクトップは出会うこととなった。
    将棋に命を懸けた男が巻き起こす、男臭く熱い真剣勝負の物語。

    「キリストとおまえの共通点ゆうたら、髭ぐらいのもんやろ」
    「あと、薄着やな」
    「どうでもええわ」

    ゆかりある神戸の風景に
    関西弁のツッコミが効いていて
    どんどん物語に引き込まれました。
    気づけば、戦う男に魅せられて
    思わずこめかみが熱くなることも。

    何をしても三日坊主な私には、
    彼のような生き様がうらやましいとともに、とても眩しかったです。
    秋葉もきっとこんな気持ちだったんだろうな、と思いました。

    ー 希望が一番大きく見えるのは、
    達成したときではなく、その目的に向かって苦しんでいるときである。ー

    人間、もがき続けてなんぼや!と言われたようで
    とても胸に刺さる言葉でした。

    何より最後の1ページの情景が美しかった。
    鮮やかな読後感を味わえたのはきっと、私だけではないと思います。

  • 読みやすくてスラスラ読んでしまった。
    ハチャメチャな将棋指し(プロじゃないからこう呼ぶしかないね)真田と、反発しながらも次第に親友になっていく新聞記者の秋津。社会部から外されて文化部に異動して腐っていたのに、真田と同居を始めることでその熱さに取り込まれて、再び記者として書きたいという気持ちを取り戻していくストーリー。ドラマも良かったです。

  • 社会部の県警担当から文化部の将棋担当へと異動を命じられた男。無職で住所不定のプロ棋士を目指す男。このふたりが嫌われ者である理由は「彼は性格が悪かった」。2回この文が出てきて笑いました。

    将棋のことはほとんどわからないのに、胸が熱くなるシーンがあります。例えるなら、『シコふんじゃった。』で竹中直人が勝利を収めるのを観たときと同じような感覚。映画館で拍手が起きたことを覚えています。本作でも思わず立ち上がって拍手したくなりました。

    将棋担当になったことは左遷以外の何物でもなかったわけですが、でも確かに、事件事故だけでは紙面は埋まらない。あらゆる面をつぶさに読みたい気持ちにさせられます。

  • 面白い。33歳のおっさん2人を主人公にした青春ど真ん中もの。人物描写が上手いし、軽妙な関西弁のでのやり取りがテンポ良くて黒川博行を彷彿とさせる。この作家はなかなか凄い。三段リーグに復帰してからの続きが読みたい!

  • 塩田武士のデビュー作とは知りませんでした。人との出会いの大切さを思いました。捨てる神あれば拾う神あり。ラストの展開に驚くとともに救われた気持ちになりました。

  • 将棋の世界の内部までうまく描いている。最後まで一気に読めたが、すこしエンタテイメントに寄り過ぎているかなと思う。もう少し奥深い心理描写があったほうが読みごたえがあったか。

  • 将棋がわかっていればさらに楽しかったのに。性格の悪い二人が主人公なのに、その二人が魅力的。回想のアルファのシーンがいい…。

    神戸新報県警担当記者の秋葉隼介は、文化部に左遷され、将棋担当を命じられる。そんな秋葉の家に、やけ酒の席で大喧嘩をした真田信繁が転がり込んでくる。真田は背水の陣でプロ棋士を志す。

  • ーーー真田信繁三十三歳。家なし、職なし、目標・プロ棋士。とてつもなく迷惑な男が巻き起こすかつてなく熱い感動の物語。

    ハードカバーのときから気になってたのが文庫化してたので即買い。

    男なら誰もが一度は憧れたであろう、実力が全ての勝負の世界。
    その一つであるプロ棋士への道を一度は失いながらも背水の陣で食らいつく真田がすごく魅力的に描かれている。
    不器用で不細工で不精髭な男を、いつの間にか真剣に応援してしまう。

    ここで終わりはあまりに酷だろう、と思っていたら3月に続編が出たみたい。読みてえなあ!




    頭を上げた男の目に、野性の光があった。

  • 新聞記者・秋葉隼介.警察担当から社会部へ左遷され将棋担当を命じられる.そんな秋葉の家に突然転がり込んできたプータローの真田信繁はプロ棋士を目指していた.真田の情熱に触発され,いつしか秋葉は生き甲斐を取り戻していく.面白い.これぞドラマといった感じ.二人の出会いのシーンは久々にお腹を抱えて笑ってしまった.将棋を知らない人でも全然大丈夫.涙と笑いの感動物語を是非お試しあれ.

  • 盛り上がった所で冷や水をぶっかけられた感じ。最後の展開は好みではない。

  • 将棋が好きなので、それなりに。もう少し将棋の描写も欲しかったかも。

  • 新聞記者秋葉とプロの将棋士を目指す真田の話。腐っていた秋葉が熱くなっていく様が大変良く何故か秋葉を応援したくなる。けどこの仕打ちは流石に可哀想で肩入れした分言葉が出ない。あー将棋の小説や漫画を読むたび将棋を知ってたらもっと深く読めるのにと後悔する。

  • 将棋を題材にした小説ということで読んでみました。

    まぁ、面白かったんだけど、一言で書くなら「女は怖い」ですね。全部そこに持って行かれた。

  • 関西弁の会話のやりとりがテンポよく、一気読み。
    著者の経験も反映されているのか、将棋独特の世界がわかりやすく表現され面白かった。

    とはいえ、いろいろな場面でスムーズすぎるところが逆に引っかかりも。現実ではとてもこうはいかないだろうなぁ。

  • 将棋に興味がないけれど、面白く読めた。

  • 33歳・独身男たちの、崖っぷちで熱い将棋物語
    将棋しかない無職の真田は、将棋に嫌気を指す新聞記者の秋葉と出会い頭に喧嘩。それを機に、秋葉の家へ転がり込む。騒がしい同居生活を送りながら、真田はプロ棋士を目指して3ヶ月後の試験対局に挑む。

  • 続編的な 著書の盤上に散る の方を先に読んでいたが この作品の方が文章のリズムや展開等も良く出来ている感じ

  • 事件記者から将棋の観戦記者に左遷された主人公。すっかりやる気を無くすのだがひょんなきっかけでアマからプロになるための過酷な試験に挑戦しようとする男に会い、彼の不器用な生き様、人生を賭けた勝負、将棋の面白さに次第に気づいていく。前回読んだのと関連作品なのだが、こちらの方が内容も濃く、面白かった。ストーリーを完結させるためのキャラ描写というより、文字の中で生き生きと描写されてるのがよかった。

  • 真田がずるい程に魅力的に描かれている。『じゃりん子チエ』のテツの映像がちらついて仕方ない。

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著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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