麒麟の翼 (講談社文庫)

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感想 : 407
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777667

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたが見てきたのは死体であって人間ではありません。私は、死んでいく人たちを見てきました。何度も。死を間近に迎えたとき、人間は本当の心を取り戻します。プライドや意地といったものを捨て、自分の最後の願いと向き合うんです。彼らが発するメッセージを受け止めるのは生きている者の義務です。」

    本作とは逸れるが、僕は医療従事者で、人の死を数多く目の当たりにしてきました。

    「生きている者の義務を全うする」

    ハッとさせられました。
    何よりも大切なことを学ばせていただきました。

  • 1つの過ちが、その時の判断が、
    若者とその家族の運命を狂わせていく。

    正義感、現実、罪の意識、被害者…
    起こる事件はいつも一瞬で、痛くて、痛くて…つらい。

    父親の心中を考えると、胸が潰れそうになる。
    息子への愛と、自身の信念が、ぶつかる音が痛い。
    立派な父親だなと思う…。

    何度も書いているが、東野圭吾さんはこういう家族であれ友達であれ、繊細で、悲しいストーリーを生み出す天才だと思う。

  • 本当に小さな疑問も突き詰めると大きな真実につながるとわかった。鶴が黄色からだった理由が好きだった。
    過ちを認めることよりも、誤魔化すことの方が簡単だけど、認められる人になりたい。

  • 加賀恭一郎シリーズ第9弾。
    青柳武明は、何者かによって殺される。その直後、武明が管理職を務める工場の元作業員が、現場付近で交通事故に遭う。状況証拠からは断定できなかったが、捜査を進める中で明らかになった「労災事故の隠蔽」が事件と関連づけられ、警察内では解決と処理されそうになる。
    しかし、加賀恭一郎は府に落ちない部分を徹底的に調べ、全く違う結論に辿り着く。

    今作も楽しませてもらいました。

  • 映画を見てから、ようやく積読消化。

    真実に向き合え、勇気を持て。
    加賀恭一郎の、最後の教師への言葉が刺さる。

    自分を守り誤った選択をしながらも
    ささやかに行動をしていた息子を、父はどんな思いで見ていたのだろう。
    思春期に親と素直に向き合えないのはよくあることだが、過ちを一緒に背負おうとする覚悟を持った父の魅力に、もっと早く気付けたならなぁ…

  • 加賀恭一郎シリーズ。
    松宮とのバディ感が出ていて、刑事小説としてもおもしろかった。
    以前映画版を見たことがあるんだけど、あまり覚えていなくてね。
    ガッキーがヒロインだったということと、被害者役が中井貴一さんで、父の思い、愛が・・・というような内容だった記憶だけど、細かいところはほぼ覚えていなくて、犯人も忘れていたくらいだった。

    日本橋・麒麟の像の下で刺された状態で倒れていて、その後死亡した青柳。
    青柳の財布を持っていた冬樹が、現場近くで車にはねられ、意識不明、その後死亡。
    それでも事件の真相を諦めない加賀恭一郎と、松宮。

    冬樹の恋人・香織。
    青柳の家族、息子の悠人。
    青柳の会社で労災隠しがあったことが判明し、被害者と遺族に対する世論も変わってしまう。
    多くの人の思いが交錯するが、さすが東野圭吾、さすが加賀恭一郎。最後にはすべてつながった。こういうミステリー大好き。

    この本の主題は、「過ちを犯したとしても、きちんと謝罪してやり直すことの大切さ」。
    子供の頃、アメリカのワシントンの話(木を折ってしまったことを、素直に認めて謝ったこと)を何度も何度も聞かせられたっけなぁ。子供の時、この話を聞くたびに「そんなことで褒められて立派だと言われるの?当たり前のことなのに」と思っていた。
    でも、年をとるにつれ、自分の間違いを認めることはどんどん難しくなっていく。子供の時できていたことが、できなくなる。子供の時より賢くなったはずなのに、知識と経験が悪い方に働き、ごまかし、逃げ切りを期待する気持ちが芽生えることもある。
    大人になって改めて、この主題の重大さを痛感した。

    加賀が、悠人の顧問に言った言葉。
    過ちを犯しても、ごまかせばなんとかなると教えたことの罪深さ。
    その結果として、くりかえされた悲劇。
    嘘に嘘をかさねてどんどん重い罪をかさねていくって、ミステリーではよくある動機だけど、この本ではその犯人が若者ということもあり、稚拙ゆえの悲しさがあった。

  • さすが東野圭吾といった感じで続きが気になってどんどん読み進めることができました。
    この話を読むとやっぱり加賀恭一郎シリーズは家族、特に父子がテーマの話なのかなと思います。読後感としては切なかった…。物語終盤には加賀恭一郎が元教師であるからこそ生まれる言葉を聞くことができます。自分の周りには教師を目指す人も多いのでそういった方にも読んでもらいたいと思いました。

  • この展開はちょっとズルいぞ。だが、登場人物の設定が絶妙...。信じること、祈ること...。一人でできることなんてちっぽけだ。ただ、再生する、やり直すためのエネルギーを持ち合わせているのも一人の人間なのだと。
    父親という存在は偉大だなぁ...。亡き父の在りし日を回想...。

  • 加賀恭一郎シリーズ第9作目。設定は、前作の「新参者」の続編。今回も日本橋署の所轄の刑事で、今度は7作目の「赤い指」で組んだ警視庁捜査1課の従兄弟の刑事と再度組む。
    自らの足と推理で捜査1課の捜査方針とは違う方向の捜査になっても、従兄弟刑事をうまく使って捜査1課の捜査方向に持っていく。捜査1課の上役も加賀刑事の捜査だと推察していても、知らない振りして従兄弟刑事の報告に耳を傾けていく。もう加賀恭一郎の名刑事振りは捜査1課の中でも知れ渡っているようなのに、表立っては先頭に立たないで事件を解決に導くのが気持ちいい。
    日本橋の橋の上にある“麒麟の翼”の像、この前で男が死んだ。別の場所で刺されれて、この前で息絶えた。何故刺されてから歩いてこの場所まで来たのか?時を置かずして犯人と思われる青年が逃げる途中で交通事故に遭い死亡する。青年は死んだ被害者が製造本部長を務める会社で労災事故に合い、そして労災隠しで派遣切りにあっていた。そして被害者の所持品を持っていた。
    加賀刑事は被害者の足取りを追いかける。何故刺された現場から麒麟の翼像まで歩いて来たのか?日本橋へは何をしに来たのか?前作「新参者」で歩いた日本橋署管轄の街は知り尽くしている。
    被害者の高校生の息子の3年前の中学水泳部の後輩部員の水深事故が絡んんできて、殺人事件の真相は思わぬ方向にいく。
    加賀恭一郎のイメージは「新参者」で確立し、「麒麟の翼」で進化した。切ない事件の真相も加賀刑事の信念と人情味溢れる人間性で救われる。

  • 子を想う親の気持ち、正しい方へ導く親の行い。
    読んでいて胸が熱くなりました。
    そして相変わらずの加賀さんの洞察眼。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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