ナイン・ドラゴンズ(上) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777889

作品紹介・あらすじ

南LAで食料品店を営む中国人が殺された。背後には、みかじめ料をとる香港マフィア三合会の存在が。追うボッシュの娘が誘拐される。

感想・レビュー・書評

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  • ハリー・ボッシュのシリーズ14作目。
    現代最高のハードボイルドといわれるシリーズです。

    ハリー・ボッシュはロス市警本部の刑事。根っからの警官です。
    今回は別れた女性エレノアとの間に生まれた娘に、危機が‥!

    かって暴動が起きたときに出向いた記憶のある酒店で、中国人の店主リーが殺されていた事件。
    みかじめ料をとっていた中国系の犯罪組織「三合会(トライアッド)」の関与が疑われます。
    アジア系ギャング対策班(AGU)の中国人刑事チューも登場。
    無意識に距離を置いていたボッシュは、「ベトナム帰りか」と偏見を指摘されて、気づかされたり。

    有力な容疑者を逮捕した矢先、娘のマデリンを誘拐したという脅迫画像が送られてきます。
    エレノア・ウィッシュは香港のカジノで生計を立てており、マデリンはもう13歳に。
    ロスに滞在したこともあり、ボッシュにとっては最愛の存在。
    香港に飛んだボッシュは‥!?

  •  ヒエロニムス・ボッシュ、通称ハリー・ボッシュの警察小説シリーズは、常にボッシュの内面と行動とを交互に描きつつ、そのたぐいまれなる刑事ボッシュの行動の原理・理由・動機・目的・性格などをおろそかにはせず丹念にいくつもの事件という表現を使いつつ描き続けているシリーズである。

     一作一作に外れがない、それぞれに常にツイストの利いた作品でありながら、長いスパンで見るとボッシュという苦難に満ちた道を辿る人生の孤独な魂と、その内に蹲る愛や友情の物語でもあり続けた。

     そのボッシュにあるとき娘がいるとわかる。しかもその娘が香港に別れた妻と一緒に生活していることを知ったのは、『暗く聖なる夜』の作中である。その娘が脅迫の種に使われ、ボッシュが公人としての刑事ではなく、私人としての父親というスタンスを優先し、休暇を取ってまで香港の娘を救いにゆく、何ともストレートで手に汗握るサスペンスな作品が、本書である。

     最近になって、じっくり事件と向き合い、自分と見つめ合うことの多いボッシュが、すべての音に耳を塞ぎ、目をつぶり、ただただ馬鹿になって娘の居場所を求めて疾走する物語は、むしろこのシリーズではとても珍しい。損得抜きのストレートな娘への愛情がこの小説を通常のボッシュ・シリーズとは異なる次元へ連れゆくために、行動の過激さに面食らうシーンも多いが、それでもこういう事態にボッシュならこう動くだろうなという想像の線上にストーリーが進んでいることも間違いない。

     常日頃、ボッシュという人間をいかに作者が丹念に描いてきたかを、こういう切羽詰った時空に動き回るボッシュの活劇の連続を見つめつつ、何となく思い知らされるこれは新たな体験であるとも言える。

     本書では『エンジェズ・フライト』の一場面で遭遇する中国店店主の殺人に幕を開けるのだが、他のシリーズ作品とも交錯しながら、ボッシュシリーズは過去作品までを新しい作品世界に接続して、一大コナリー・ワールドとして容赦ないLAの街を、アメリカを、アジアを、世界を描いてゆく。

     きめ細かい人物描写がいつも常に無駄に使われず、それぞれのドラマとして次々と発表される作品で展開し、生かされてゆく。本書では重要なキャラクターたちとボッシュとの、邂逅と離別が運命づけられており、シリーズのある種のクライマックスともなりそうだ。アクションの多さとタイムリミット作品であることから、娯楽色が少し強すぎるように思われるが、この転換点を受けての次回以降作品にどのような影が落とされ、どのような光が点されるものなのか、じっくり期待してゆきたいところである。

  • ボッシュシリーズは、色々読んでいるんですが、ランダムに読んでいるので、時系列的にもランダムです。
    そういう意味では、既にボッシュと共同生活を送っているマディが、どのようにしてボッシュの元にやってきたのかが明らかになります。

  • ハリー・ボッシュ・シリーズ。

    間違って「ブラック・ボックス」を読んでしまったため、飛ばしてしまった未読の2作品の内の1作品。

    そのため、ストーリー展開により衝撃を受けた、個人的に。
    いつの間にか娘と暮らしてるなと思ったが、そんな悲劇的な話の結果だったとは。

    でもどうなんだろう。
    長年ボッシュのファンには、この思春期まっさかりの娘がいきなり生活に入り込んでくる展開は容認できるものだったのだろうか。
    気になる。

    (下巻へ続く)

  • 最初の30ページ、事件現場の描写だけで凡百のミステリを軽く超える。

    正直、コナリーはそろそろ卒業かな思っていたが、見事に留年決定。

  • ハリー・ボッシュ・シリーズ第14作。
    酒屋を営む中国人が殺害された。まさか、まさかボッシュ自身を巻き込む大事件になるとは予想もつかない。

    下巻に続く。

  • マイクル・コナリーの21作目。今回は、大好きなハリー・ボッシュ・シリーズ。

    中国人銃殺事件を捜査していたハリー・ボッシュは、事件の背後に中国系犯罪組織の存在を突き止め、容疑者を拘束する。しかし、容疑者の解放を要求する中国系犯罪組織は、ボッシュを脅迫し、ボッシュの娘を拉致する…

    これまでのシリーズではボッシュの孤高の闘いが描かれて来たが、本作ではボッシュの元家族が表舞台に立つ点が、これまでとは少し異なるようだ。その分、少しソフトな面もあるのだが、面白さは相変わらずで、下巻の展開が非常に気になる。

  • 図書館の本 読了

    感想は下巻で

    Nine dragons by Michael Connelly

  • 殺人事件の立ち上がり迄は良かった。
    娘が誘拐されて以降のグダグダは相変わらず。
    基本的にハードボイルドって身内の感情が絡むと駄作になるのかな?
    思うにハメットもチャンドラーも事件に身内を絡めた事はなかったな。

  • 毎年、コナリーが読めて幸せ!もちろん面白い!どうなる?どうなる?下巻へ!

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著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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