妖怪アパートの幽雅な日常 10 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1194
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778244

作品紹介・あらすじ

高校卒業を目前に長谷の祖父が亡くなった。その後に残された執念が恐ろしい形となって二人の目の前に現れる……涙の最終巻(泣)!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第10弾、そして完結。

    とてもとても濃い内容だった。
    全10巻を読んでる途中では、ちょっと飽きたり、説教臭いなー、とか、突っ込みどころ満載だったり、
    色々あったけど…

    この最終巻は、主人公・稲葉夕士の親友である長谷の祖父が亡くなり、長谷の姉が奇妙な病にかかる。
    これは普通の病ではない、と感じた夕士。
    そして、このシリーズ最大の山場に突入していくのだが…
    ここからは目頭が熱くなる場面も多く、夢中で頁をめくる!

    そして大きく成長した夕士の言葉。
    「運命は、いつだって、ある日突然だ。
    俺は、それを受け入れよう。
    何が起きても、俺を支えてくれる人たちやモノたち がいるから。
    みんなに感謝しながら、
    俺は、これからも前を向いて歩き続けてゆく。」


    このシリーズを読んで思ったこと。
    人は一人では生きていけない。
    悩んだとき、迷ったとき、苦しいとき。
    そんな時は、周りの人達に頼ろう。
    頼っていいんだ!
    いっぱい迷惑をかけてもいいんじゃない?
    感謝の気持ちを忘れないでね。

  • 作者の思いが詰まった最終巻。
    濃い内容だったなあ。
    早く自立することを目指していた夕士が、たくさんのことを経験して、選んだその後が少しだけ描かれてます。
    落ち込んだ時に読むと、明日からまた頑張ろうと思える作品です。
    落ち込んだ時もどんな時も前向きに。

  • 遂に完結!

    夕士と長谷の絆、夕士の決意とフールの決意、クリとシロ…
    とてもよい最終巻だったと思います。

    アパートに来て、さまざまな人、妖怪に出会い、修行をし、いろんなことを吸収し、前を向いて歩き続け、どんどん成長していった夕士。
    ほんとにすごいやつだなぁ!

    しんどいなぁとか、心が折れそうだと思った時、夕士や妖アパに出てくる面々に元気をもらいに、本を開こうと思います。

  • 初めは早く自立して大人になることが目標だった主人公の夕士くんがアパートで出会った幽霊、妖怪、その他のもの達や学校、アルバイト、そして親友の長谷くん、様々な人との出会い、交流を通して、世界の広さを知り、自分の人生を切り開いてゆく姿が凛々しい作品でした。最終巻にして人生の方向転換を余儀なく迫られる夕士くんでしたが、悩んで、考えて、ときには相談して、熟慮の末に誰かがヒントをくれたりして、そうやって人生は思いもよらぬ展開をむかえたりするのだな、と思いました。周囲のペースに流されることなく、自分のペースで人生を楽しみたい、強くそう思いました。
    シリーズ全体の印象としては教科書のような作品だと感じました。なぜなら、主人公の夕士くんを中心にそれぞれのキャラクターの思考過程がしっかり描かれ、世の中の捉え方が明確に提示されているからです。よって、なんだか説教臭いな、と感じる読者もいるかもしれません。しかし、語り口が若者言葉で内面のセルフツッコミなど、ある程度重みのあるテーマも軽く読める形になっています。また、現代の子どもや大人に対してかなり鋭い指摘も多々あります。ただし、昔の子ども、大人を賛美しているわけではありません。昔と比べ年代問わず、不安定な人間が増えている一方で古から変わらない精神力を持つ妖怪たちの相反する構図が現代の読者に強く訴えかけるメッセージがあると思います。最後に、この作品には妖怪や幽霊、魔導書といったオカルト、心霊的要素が多々登場しますが、あくまでも話の中心は進路、友情、学校生活、といったYA世代の子どもたちの等身大の姿です。彼らの悩みに寄り添う数少ない現代社会の大人、そして妖怪アパートの住人。この作品を通して少しでも子どもたちが活き活きと、そして子どもを見守る大人の姿勢がより良い方向へと進歩するのではないか、と期待せずにはいられません。

  • 高校を卒業したら、公務員にでもなって堅実な社会人になるのが夢だった(というか、亡くなった両親に対する親孝行だと思っていた)夕士が、人生をもっと楽しんでもいいのではないか、自分の可能性を小さくすることはないのではないかと思い、大学進学を決め、高校最後のお正月。
    親友長谷と一緒に妖怪アパートでにぎやかかつ厳かにお正月を迎えたとき、長谷のお祖父さんがなくなり、お姉さんが奇病倒れる。

    お姉さんの病に不審なものを感じた夕士は、フールに調べさせる。
    すると、お姉さんはお祖父さんの強い念に取りつかれていることがわかる。
    霊と違って念は簡単に祓うことができない。
    親友長谷のため、長谷の家族のため、夕士は全力で長谷を守る。
    ところが…

    最終巻なので、後日談がつきます。
    大人の私はなくてもかまわないと思うけれど、1巻から読み続けた子どもには必要な最終章。
    悩んだり、行き詰ったことはたくさんあっても、その時その時に最善を尽せば、きっと未来は開けてくる。
    読んだ子どもたちは、自分の未来にも明るく立ち向かっていけるのではないでしょうか。
    ラノベですが、いい作品でした。

  • 終わっちゃったよぉぉぉ(´;ω;`) でも、面白かった!すごい、まさかまさかの展開で続きがわからない感じが面白い! 最後、ハッピーエンドだし♡ この後、みんながどう成長して行くのかが楽しみなのになー

  • この10巻に至る2~3巻は停滞気味かな~と思っていたが、10巻になり、一気に物語が加速した。夕士の英雄的行動、でもそれをたたえるのではなく、英雄的行動の対象となった長谷や周りの人々の苦悩にフォーカスを当てているのが新鮮で受け入れやすかった。そうだよなぁー、助けられた方が苦しい、ってこと、あるよなぁー、と。

    そして、このシリーズを貫いてきた「人生は長く、世界は果てしなく広い。力を抜いていこう」のテーマは根底にありつつ、「運命はいつだって、ある日突然だ。俺はそれを受け入れよう」で締めくくり、多少ご都合主義的と思える(笑)登場人物たちのその後が描かれて、大団円。フールも戻ってきて...クリとシロも成仏し、生まれ変わり...何度も目頭が熱くなるような展開がちりばめられている。

    解説の人が書いていた「夕士のように生きたかったんだ!」という感想に激しく肯定。本当にね。「自分の心を開き」「突然の運命を受け入れ」「前に進めば」夕士のような世界が広がるんだな、と信じられる読後感だった。

    番外編のラスベガス編を読むのも楽しみ♪

  • シリーズを通して読んで改めて1巻が優れていると確信。
    1巻以外は読み返す事はないだろう。

  • 大好きな妖アパシリーズが終わってしまった。。
    このシリーズはほんとにいろいろ学ばさせて頂きました。
    笑ったり、泣いたり、感慨深いものがあったりと、考えさせられることもありました。
    ほんと大好きなシリーズです!!
    なにかに悩んでしまったら、壁にぶつかってしまったら、どうぞ読んでみてください。
    アパートの住人たちが、何かのヒントを与えてくれるかもしれません。

    あたしもお気に入りのシリーズとして、落ち込んだり、悩んだときには読もうと思います。

  • 千晶との遣り取りの場面がないとこうも安心して読めるのは何故なんだろう(爆)。

    概ね大団円で終わった感じ、かな。
    相変わらず素敵な言葉があちこちに転がってる。
    今回は長谷との友情に焦点が行ってた(故にBL臭が薄い/爆)ので
    変に勘ぐることなく素直に言葉が入ってきた。
    カテゴリ的には児童文学らしいけど
    児童よりはもう少し歳いった後に読んだ方が
    大人たちの言葉ひとつひとつが滲みて来るんじゃなかろうか。

    ちょっときついことを言わせてもらうと
    『10代の頃は時間がたっぷりあるんだよ
    だからいろんな体験をして大いに迷っていいんだよ』
    というのは共感できるのだが
    10年後の夕士を見てると
    いろいろ体験してこれだ!って決意したというよりも
    古本屋や龍さんや周りの大人たちに手を引いてもらって
    流されるままに小説家になった
    という風にしか見えなくて、そこが残念な気がした。
    体験を糧にして自分の意思で決めることと
    流れを抵抗もなく受け入れるということは
    結果は同じだとしても大きな差があると思うんだけど。個人的には。
    あとは千晶の割の喰い方には納得いかねぇ(爆)。
    足が折れてちょっと引きずるけど元気ですくらいでいいのでは?

    10年の空白を語る量があれだけじゃ足らんぞ(笑)。
    そう考えるとラスベガス外伝読みたいけど
    『妻はくノ一蛇の巻』みたいになっちゃったら…と思うと萎える(爆)。

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著者プロフィール

和歌山県生まれ。本シリーズの第1作目で産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞。「ファンム・アレース」シリーズ(講談社)「大江戸妖怪かわら版」シリーズ(理論社)など、YA(ヤングアダルト)小説の作家。

「2023年 『妖怪アパートの幽雅な日常(26)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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