パラドックス13 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 6404
レビュー : 499
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778275

作品紹介・あらすじ

禁断のエンターテインメント、ついに解禁!
--これからの13秒間は、何も起こしてはならない。

13時13分13秒、街から人が消えた。無人の東京に残されたのは境遇も年齢も異なる13人の男女。なぜ彼らが選ばれたのか。大雨と地震に襲われる瓦礫の山と化した街。そして生き抜こうとする人達の共通項が見えてくる。

世界が変われば善悪も変わる。
殺人すらも善となる。
極限の状態で見えてくる人間の真理とは。
--この世界の謎を解く鍵は、数学的矛盾<パラドックス>にある。

感想・レビュー・書評

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  • 久々に独立した長編の東野圭吾作品を読みました。
    最初に書かれたのは2009年頃の作品です。

    冒頭からSF感満載の導入で始まるのですが、
    舞台はまさにSFという感じです。
    世界が同時に13秒間タイムスリップする、
    という事象がまず設定され、
    そうなった場合の矛盾から生まれる事象の中に
    巻き込まれた13人の男女を描いていきます。

    その設定の細かいところなどを書いていくとキリがないですが、
    さすが東野圭吾さんと思わされる筆力で
    実際にそういうことがあるのかもしれない・・・
    というくらいには説得力のある設定でした。

    設定はSFであるものの、
    主たる題材はどちらかというとサバイバル要素が強く、
    絶体絶命都市というアイレムのゲームが昔あったのですが、
    それの大規模版という印象を受けました。
    (なにせこちらは世界規模)

    世界から13人を除いてすべての人が消えてしまった、
    という状況を想定すれば大筋イメージできると思います。
    あらゆるインフラ、サービスが停止、破壊されていく中で、
    地震、豪雨、津波、地盤沈下など天変地異が襲ってきます。
    そんな中でどうやって生き延びていくかという姿を
    13人の男女に焦点を合わせて描いていくわけです。

    サバイバルの中でのカルネアデスの板のような選択が
    繰り返し繰り返し題材を変えて登場人物を襲ってきます。
    その中には食料、性欲、病気、倫理など
    いろいろなテーマで厳しい判断を考えることとなります。
    このあたりが一番の読みどころだったかなと思います。

    大オチとなる、世界の謎の解明と収斂は
    かなり力技のような展開で終わりに向かっていきますが、
    きちんと終わってくれる点は嬉しかったです。
    (読者に投げっぱなしで終わる系は余り好きではないので)

    しかしこれを2009年頃に書いてたというのだから、
    そのタイミングに驚くばかりです。
    2011年3月に東野さんはどう思ったんだろうなぁ。
    自分の書いたことが現実になってしまったのか?
    と1mmくらいは思ったのかもしれません。
    そして震災前に書いたこの小説の描写が
    震災当時に見た光景を充分に描いているというのが
    また驚きです。

    一気読みの一作でした。
    ぜひ、東野圭吾作品未読の方にも、既読の方にも
    読んでもらいたいと思える作品です。

  • もっと有名になってもいいと思う東野圭吾作品1位。
    東野圭吾作品といえば、リアリティのあるミステリーだが、本書はまさかのSFサバイバル。が、SFながらふわっとしたまま終わらず、しっかりと納得のできる結末が準備されているなど、東野圭吾の良さも残っている作品。
    こんなに駆け抜けるように読み終えた小説は久しぶり。
    ゲームとか漫画が好きな人は絶対好き。

  • 結末が気になってあっとゆーまに読了。
    東野さんらしい物語といえますな。

  • SF作品に見えて実は都市型サバイバル小説だ。

    エリート警察官僚の兄と、落ちこぼれ熱血刑事である主人公の弟を中心に(ざっくり言えば)ブラックホールの爆発で生じた13秒間のタイムスリップの狭間の世界に取り残された人々の東京でのサバイバルを描く。

    この兄貴がとにかくすごい。
    警察で培ったたぐいまれなる危機管理能力と人心掌握術をもち、被災後わずか数時間で防災無線で生存者を呼び集め、荒廃した東京で政府の機密情報を探り当て、わずかな天候の変化から河川の氾濫を察知し、電動ドリルと針金だけでマンションのドアをいとも簡単に開錠し、インフル患者をまとめて看病しても感染せず、愛用の腕時計は瓦礫や洪水をくぐり抜けても電波時計よりも正確に時を刻み続ける。
    そりゃ弟がひねくれるのも当たり前という、スーパー兄貴だ。

    そんな彼だから、他の登場人物が、必死で元の生活に戻れることを目指してサバイバルするなか、彼だけは新しい世界で(みんなで)生きていくこと選択する(そして、顰蹙を買う)。天才の発想は、たとえ合理的であっても、一般大衆には受け入れられない、という端的な事実だ。

    結局、一般大衆の代表たる弟だけが、なんとなーく兄貴を理解したところで、物語は終わる。

    いわば知恵の兄貴と、本能の弟が、サバイバルのなかでうまいこと折り合いをつけていくストーリーだ。

    長いストーリーの割に、一気読みできるのは、さすがの東野圭吾といったところ。
    感動よりもエンターテイメントを楽しむ作品なので、そんなスーパー兄貴の活躍をにやにやしながら気軽に楽しむことが一番、な作品。

  • かなり長編だったが、次に起こる展開が気になって読む手が止まらなかった。東野圭吾としてはめずらしい完全SF。
    タイムパラドックスで無人の東京に残された13人。大雨と地震に襲われ廃墟となりつつある極限状態をどう生き抜こうとするかを描く。極限状態で見えてくる人間の本質をうまく描写している。
    個人的には、兄誠哉の考え方は好きではないかな。特に生殖的な箇所は頭で理解できても、心理的に無理。そういう意味では、もっと冬樹と明日香の関係性をみたかった。この2人は現実世界でも生き残っているので、その後が気になるところ。
    実写化したら、さらにリアル感が出る作品。

  •  ひょんなことから世界が終わってしまった世界を生き抜く老若男女のお話。最初はストーリーの面白さで読めていたけれど、エンターテイメント性が強くてだんだん似たような展開が続いてきて、飽きてしまった。
     最後の元の世界に帰るところ、帰れた人間の話は面白かったけれど、結果はそうなるんだから、こんなに厚い本にしなくて、もう少し少人数で役割ある人間だけの作品だけでもよかったんじゃないか…。と考えてしまう。
     面白い作品を無理やり引き伸ばして、面白くなくなってしまう漫画のような作品に思いました。

  •  13巻かと思ったらタイトルやった思い出。

  • 東野圭吾ワールド全開の、今作はミステリーではなくSF小説だった。
    13秒間の時空が歪む瞬間に命を落とした13人の者が、タイムパラドックスに巻き込まれ、別の世界へと巻き込まれる。
    その世界は13人以外の全ての人々が消えた世界で、その者たちを排除するかのように天変地異や地殻変動が起こる。
    再び起こるタイムパラドックスまで、果たして13人は生き残るのことはできるのかーーー。

    兄の誠哉と弟の冬樹との関係や、生き残った人々のなかで生まれる感情、倫理観、また、生への執着など、すっかり自分もその世界観にのめり込んでしまった。

    生きることを問い直したい今だからこそ、大切な人たちにぜひとも読んでもらいたいと思える一冊。

  • 東野作品ぽくないsfもの。パラレルワールドラブストーリーみたいな。ストーリーがしっかりしてること、あと理論がしっかりと説明されてるところが東野圭吾っぽい。面白い

  • 約550ページというかなりの量でしたが、次々とハプニングが発生してスピーディーに展開していったり、登場人物達の極限の状況にいる心理描写が、グイグイと世界観に引き込まれたりするので、あっという間でした。

    SFの設定ですが、残された人達がどう生き残るのか、サバイバル術が多く盛り込まれていました。最初多く登場人物がいるため、それぞれの人物像が区別できるかなと不安でしたが、みんな個性的な人だらけで、読み進めるうちにその不安が消えていきました。

    パラドックス13の謎も理論がしっかりとしていたためか、しっくりと納得した自分がいました。不意に思ったのは、アニメ映画「hello world」でした。その作品に登場する展開がなんとなく似ている印象があったので、この作品を観た・読んだ方には、しっくりくるのではないかと思いました。

    こういった類の作品だと最後は、みんなで生き抜いていこうという結末でフェードアウトしがちですが、上手い結末を迎えたので、最後まで楽しめました。

    サバイバル劇ということで、小説では地震や津波、浸水がこれでもかと繰り返し発生します。
    現実ではこういった最悪すぎる展開はありえないと思いますが、様々なサバイバル術が登場し、参考になりました。
    一番は、リーダーの存在かと思いました。しっかりとした考えや冷静な判断が今後に左右することを考えさせられました。その判断が良いか悪いか別にして、いかにチームワークが大切なのか学ばせていただきました。

    直面する死やウィルス、性など難しい問題に登場人物達は、どう判断していくのか。難しいテーマながらも色々自分自身に問われた作品でした。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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