パラドックス13 (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 398
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778275

感想・レビュー・書評

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  • SF作品に見えて実は都市型サバイバル小説だ。

    エリート警察官僚の兄と、落ちこぼれ熱血刑事である主人公の弟を中心に(ざっくり言えば)ブラックホールの爆発で生じた13秒間のタイムスリップの狭間の世界に取り残された人々の東京でのサバイバルを描く。

    この兄貴がとにかくすごい。
    警察で培ったたぐいまれなる危機管理能力と人心掌握術をもち、被災後わずか数時間で防災無線で生存者を呼び集め、荒廃した東京で政府の機密情報を探り当て、わずかな天候の変化から河川の氾濫を察知し、電動ドリルと針金だけでマンションのドアをいとも簡単に開錠し、インフル患者をまとめて看病しても感染せず、愛用の腕時計は瓦礫や洪水をくぐり抜けても電波時計よりも正確に時を刻み続ける。
    そりゃ弟がひねくれるのも当たり前という、スーパー兄貴だ。

    そんな彼だから、他の登場人物が、必死で元の生活に戻れることを目指してサバイバルするなか、彼だけは新しい世界で(みんなで)生きていくこと選択する(そして、顰蹙を買う)。天才の発想は、たとえ合理的であっても、一般大衆には受け入れられない、という端的な事実だ。

    結局、一般大衆の代表たる弟だけが、なんとなーく兄貴を理解したところで、物語は終わる。

    いわば知恵の兄貴と、本能の弟が、サバイバルのなかでうまいこと折り合いをつけていくストーリーだ。

    長いストーリーの割に、一気読みできるのは、さすがの東野圭吾といったところ。
    感動よりもエンターテイメントを楽しむ作品なので、そんなスーパー兄貴の活躍をにやにやしながら気軽に楽しむことが一番、な作品。

  • 久々に独立した長編の東野圭吾作品を読みました。
    最初に書かれたのは2009年頃の作品です。

    冒頭からSF感満載の導入で始まるのですが、
    舞台はまさにSFという感じです。
    世界が同時に13秒間タイムスリップする、
    という事象がまず設定され、
    そうなった場合の矛盾から生まれる事象の中に
    巻き込まれた13人の男女を描いていきます。

    その設定の細かいところなどを書いていくとキリがないですが、
    さすが東野圭吾さんと思わされる筆力で
    実際にそういうことがあるのかもしれない・・・
    というくらいには説得力のある設定でした。

    設定はSFであるものの、
    主たる題材はどちらかというとサバイバル要素が強く、
    絶体絶命都市というアイレムのゲームが昔あったのですが、
    それの大規模版という印象を受けました。
    (なにせこちらは世界規模)

    世界から13人を除いてすべての人が消えてしまった、
    という状況を想定すれば大筋イメージできると思います。
    あらゆるインフラ、サービスが停止、破壊されていく中で、
    地震、豪雨、津波、地盤沈下など天変地異が襲ってきます。
    そんな中でどうやって生き延びていくかという姿を
    13人の男女に焦点を合わせて描いていくわけです。

    サバイバルの中でのカルネアデスの板のような選択が
    繰り返し繰り返し題材を変えて登場人物を襲ってきます。
    その中には食料、性欲、病気、倫理など
    いろいろなテーマで厳しい判断を考えることとなります。
    このあたりが一番の読みどころだったかなと思います。

    大オチとなる、世界の謎の解明と収斂は
    かなり力技のような展開で終わりに向かっていきますが、
    きちんと終わってくれる点は嬉しかったです。
    (読者に投げっぱなしで終わる系は余り好きではないので)

    しかしこれを2009年頃に書いてたというのだから、
    そのタイミングに驚くばかりです。
    2011年3月に東野さんはどう思ったんだろうなぁ。
    自分の書いたことが現実になってしまったのか?
    と1mmくらいは思ったのかもしれません。
    そして震災前に書いたこの小説の描写が
    震災当時に見た光景を充分に描いているというのが
    また驚きです。

    一気読みの一作でした。
    ぜひ、東野圭吾作品未読の方にも、既読の方にも
    読んでもらいたいと思える作品です。

  • かなり長編だったが、次に起こる展開が気になって読む手が止まらなかった。東野圭吾としてはめずらしい完全SF。
    タイムパラドックスで無人の東京に残された13人。大雨と地震に襲われ廃墟となりつつある極限状態をどう生き抜こうとするかを描く。極限状態で見えてくる人間の本質をうまく描写している。
    個人的には、兄誠哉の考え方は好きではないかな。特に生殖的な箇所は頭で理解できても、心理的に無理。そういう意味では、もっと冬樹と明日香の関係性をみたかった。この2人は現実世界でも生き残っているので、その後が気になるところ。
    実写化したら、さらにリアル感が出る作品。

  •  ひょんなことから世界が終わってしまった世界を生き抜く老若男女のお話。最初はストーリーの面白さで読めていたけれど、エンターテイメント性が強くてだんだん似たような展開が続いてきて、飽きてしまった。
     最後の元の世界に帰るところ、帰れた人間の話は面白かったけれど、結果はそうなるんだから、こんなに厚い本にしなくて、もう少し少人数で役割ある人間だけの作品だけでもよかったんじゃないか…。と考えてしまう。
     面白い作品を無理やり引き伸ばして、面白くなくなってしまう漫画のような作品に思いました。

  • (大好きな作家さんで)ほとんど全部の作品を読んでいますが、これはちょっと。。。本当に東野圭吾さんの本かなと思うくらい特に最初の方は違和感ありました(^^; 私は退屈に感じてしまいました。

  • 勢いがあって面白く読めた。これ、ラストシーンから36日後はどうなるのかな。
    その後の現象に巻き込まれる人もいると思うけど、それもどうなるのか。
    色々空想が膨らむね。

  • ハラハラドキドキの一気読み‼︎
    どうなるの?どうなるの?
    次々と困難が押し寄せてくる中で
    力を合わせて乗り越えたり
    衝突したり
    希望を失って諦めたくなったり
    思わぬ本性が見えたり
    ストーリーもさることながら、人間描写もすごい‼︎

    結末は
    んーーー
    あの人は助かってほしかったな…(/ _ ; )

  • 東野作品を全て読んだわけではないけれど、他の作品とは少し色の異なる作品。
    私は数学的矛盾の部分より、極限状態の人間や、倫理観が崩れ去った中での人の行動の描写が印象に残っています。善悪の基準が壊れた時、あなたはどうする?

    ただ、数学的矛盾に関してはガリレオシリーズほど論理的な説明が得られるわけではなく、社会倫理についても『虚ろな十字架』ほど書き込まれてもいない、という印象。
    また、加賀シリーズなどのミステリの要素はありません。

    私は一気読みでしたし好きな方ですが、
    好き嫌いが分かれる本かと思います。

  • 面白かった!!
    展開が気になって、一気に読んだ(≧∀≦*)

    パラドックスの中の人間模様にハラハラして、登場人物の背景がとっても気になりました。

    ぼんやりと、切り取られた世界にきた人は、全員アレなんじゃないか?とわかるんだけど、

    どうして、こうなったのか?の謎が一気にわかる所が面白かったです。

    最後の展開もワクワクしました。河瀬はせっかく辻褄合わせの世界から戻れたのにww
    兄貴残念。レイパーはざまぁ!と思いました。

  • P-13現象は「プリンセス・トヨトミ」のこの世から人が居なくなったシーンを想像した。その世界では家や財産などは役に立たず、人間の原点である生きていく力が重要となっていた。また、各々の立場や生きていた環境からも今後についての考え方に違いが生じるということを感じた。

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プロフィール

東野 圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。
1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。
テレビドラマ・映画化された作品が多い。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほか、映画化が決まっている作品に2018年11月16日公開予定『人魚の眠る家』、2019年公開予定の木村拓哉主演『マスカレード・ホテル』、同年公開予定に玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』。

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