海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.17
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本棚登録 : 7976
レビュー : 578
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778299

作品紹介・あらすじ

すべてのビジネスマンに捧ぐ。
本屋大賞の話題作、早くも文庫化!

ページをめくるごとに、溢れる涙。これはただの経済歴史小説ではない。

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。

石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。
「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。

感想・レビュー・書評

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  • 出光興産をモデルにし、後に映画化された小説。上巻は、終戦直後の国岡商店主・鐵造が、同業者団体からの圧力に屈せず、時にGHQに乗り込んでいき、石油販売に漕ぎつけるまでを最初に描き、後半は鐵造の生い立ちから、戦前の国岡商店設立、そして戦中の販路拡大と、大きな損失を被った終戦を描く。その時々での鐵造のゆるぎない姿勢に感銘を受けた。

  • 自分自身も含め、この生き様をする人間は身近にはいない。
    主人公の鐵造は非常に頭もきれるが、それ以上に強い信念のもと日本と社員を含めた家族への愛が伝わった。
    第二次世界大戦前後の時代背景も伝わり、学べる一冊です。

  • 百田氏の小説らしい、男前な(こんな一言でまとめてもいいものかと思うが)主人公が、ライバル企業や海外の大企業相手に、泥臭くも困難を乗り越えていく。その戦い、人を動かす熱き信念に読み手の心も震える。
    話の本筋とは異なるのだが、日本が坂道を転がり落ちるかのように、戦争へ向かっていき、窮地に陥り、敗戦に至る様―。今のコロナ禍にあって、日常が急変したことを思うと、本に書いてある日本の転落が過去のこと、ではなく、嫌な動きが始まっているようなうす気味悪さを感じた。

    それはそれとして、下巻も楽しみ。

  • 戦争期、直向きに戦い続ける日本の物語。
    右に倣えの時代にそぐわず、信念を貫く主人公・国岡から「商いの本質」を学べる。

    (上)はまだまだ序章、敗戦を経てこれから立ち上がる前までを綴られている。

  • ★本の概要・感想
    出光興産の創業者である出光佐三をモデルとし、その生涯をつづったノンフィクション小説。この本のカタルシスは万人が共感しやすく、本屋大賞になったのもうなずける。この物語は、主に以下の構成を繰り返す。
    「日本や国岡に困難が訪れる。国や大企業が利己的なせいだ。それら悪事に、国岡は立ち向かう。決して自分個人の利益ではなく、消費者のため、社員のため、家族のために困難を打ち破る。」
    というものだ。極めて日本的な価値観が現れている。「奉仕」「謙虚」「家族」を重んじる国民には強く響くエピソードが満載だ。

    上下巻とあるが、個人的には上巻の方が好きだ。上巻の方が主人公の国岡哲三がプレイヤーとして活躍するからだ。下巻になると、もう主人公は大企業の社長である。したがって、困難を打ち破る主役が、主人公ではなくその部下になる。皆、主人公の命に従い喜んで行う様が描かれるが、現実のところはどうなったのかなと。
     
    国際留学生協会のサイトにて、日本の源流を紹介するために、本書のモデル人物出光佐三が載っている。本書におけるおおまかなエピソードは、ここに書いてあるそのままの通りだ。
    http://www.ifsa.jp/index.php?Gidemitsusazo

    ★本の面白かった点、かっこいいシーン
    本書の面白いシーンは大きく二分できる。一つは、「不可能や困難を乗り越える」。もう一つは「人間の義理人情が深く発揮されるシーン」だ。

    前者で特に面白いのは、満洲の鉄道において、自分で独自に開発した油が、メジャーの油を打ち破るシーンだろう。満洲は本州より気温が低く、凝固点がより低い油が必要になることに独自に気づく。鐵造自身は、商人であって油制作の技術者ではなかったが、独自に調合と実験を行い、画期的な油の開発を制作する。その油が大資本のメジャー産の油よりも品質が高く...。

    門外漢であっても、あきらめずに試行錯誤することの重要性。強大な敵が相手であっても、考えに考え続け、誰もきづけなかった問題点に気づけることができれば、勝機はある。

    ★本イマイチな点、それってどうなのって思うこと
    *主人公の国岡は物語の中である種、作者から絶対的な存在として扱われ続ける
    ・百田氏の信条や価値観が好きでない人は読んでいて面白くない。この作品の主人公の国岡は、常に肯定的に描かれ続ける。この物語における規律・」正義を判定する役と言ってもいい。ウシジマくんにおける牛嶋のように、どんな選択や意思決定も「良い」ものとして描かれるのだ
    ・そのため、ややバランス感が欠けているような気はする。現実は、ある一人の行動が全て正しく、社会的に良い、ということはあり得ない
    ・この全肯定的な書き方は、百田氏にとって主人公のモデルの出光佐三が英雄となっているからあろう


    ★学んだことをどうアクションに生かすか
    *義理人情ってやっぱり大切だよね。目先の金、自分の利益じゃなくて、社会のため、友人のために頑張れる人がかっこいいよね
    *昔は、会ったこともない人と結婚していたんだなぁ。それが常識としてまかり通っていた。そして、そんな出会いで結婚したとしても、相手を愛することもできていた、という(もちろん、相手を愛せない夫婦もいたのだろうが)。恋愛よりも、子孫を残すことを重要視していた時代だよな。今よりは。今は何でも個人の感情、価値観が重要視されるから。そういう意味では、結婚や恋愛に対して、受け入れる器が小さくなってしまったかもしれないなぁ
    *失敗を恐れてはいけないが、こう成功者の通りに進むと思ってはダメだろう。現実、多くの企業は、身の丈にあわない投資や新規事業の展開によってつぶれることとなる。挑戦や人間尊重の精神は大事にしたい。だが、実際に自分が経営をするとなれば、無茶ばかりはできない

  • 忘れてはいけないこと、すぐ忘れがちなんだけど、忘れないようにするのは難しいので何度も思い出すようにしたい。読書しよう。

  • 日本のために海外で仕事をすることにモチベートさせる本。海外赴任前などに読むとモチベーションが上がると思う。

  • 実在の石油王!
    なんとも素晴らしい男。百田さんやるねー!

  • 終戦をむかえた翌々日。国岡商店の店主、国岡鐵造は動揺している社員に言った。

    ただちに建設にかかれ

    しかし、その道は、死に勝る苦しみと覚悟せよ

    と。悲嘆でもなく、また、薄っぺらな明るい未来が待っている的な言葉でもなく、具体的に、前を向かせるために、そして覚悟を決めさせるために。その場にいたら震えが起こるような言葉だと感じる。

    活動の大部分を海外においていた石油販売会社である国岡商店であるため、敗戦は、その資産がすべて無くなることを意味していた。重役は社員の人員整理を提案したが、国岡は、残るのは借金だけだが、一番素晴らしい財産、千名にものぼる社員が残っている。人間尊重の社是を発揮するのはいまであり、一人も首を切ってはならないといった。

    国岡商店の支店長には、支店の商いのいっさいの権限が与えられていた。任せたとなれば、一切の権限を与えなければならないというのが国岡の信念だった。それだけの教育をしてきたのだ。いちいち本社にお伺いを立ててくるような店員では使い物にならないと考えていた。

    組織を作るときに重要なことは、まず末端の仕事をする人間がどれだけ必要であるかを決めることだ。そしてその上に最小限の統括をする人間をおくだけでいい。

    国岡商店は、イランの石油の輸入に動く。当時、イランの石油取引はイギリスとの所有権の問題でもめており、イギリスから右翼、イランの石油は買うなと言われていた。それでも、国岡は、メジャーに日本の石油を牛耳られているのではいけない、真の自由化のために日本のためにイランから石油を運ぶのだと。それはイギリスからタンカーが攻撃を受ける可能性もある危険な航海だった。輸入には、保険会社、銀行、航海士など多くの人間の命懸けの協力が不可欠だったが、関わった人はみんな、国岡の信念に心を動かされ、また、日本のことを思って重大な決断をしたのだった。また、そは、イギリスに石油の利益を搾取され貧困にあえぐイランに対し、きぼうを与えることでもあった。そして、それは、イランとの国交回復に繋がったのだ。一企業の命懸けの行動が戦争状態だった両国に再び外交関係を構築させたというのは驚くべき快挙であった。

    人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命だ。
    ヨーロッパは物を中心とした世界だが、日本は人を中心とした世界だ。

    国岡の残した重たい含蓄のある言葉であり、国岡しか事実に裏付けされた言葉として発することができないことばである。

    全二巻

  • 4.5
    出光興産創業者出光佐三の話。石油を武器に世界・政府と戦う生涯を描いた伝記小説。国岡商店の国岡鐵造が主人公。人を大事にし、信念の人。数々の感動させられるエピソードがあり、とても面白い。戦後の混乱期と明治~昭和初期の話。国岡商店の社員は、佐三に魅せられ教育されてか、国内外他社と比較しても彼らが恐れをなすほど大きく稼ぎだす姿が印象的。
    戦争に負けて2日後、社員を集め壇上から「愚痴はやめよ。愚痴は泣き言である。亡国の声である。婦女子の言であり、断じて男子のとらざるところである。日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからといって大国民の誇りを失ってはならない。すべてを失おうとも、日本人がいる限り、この国は必ずや立ち上がる日が来る。世界は再び驚倒するであろう。しかし―その道は、死に勝る苦しみと覚悟せよ」自分も含め会社をどうしたらよいか不安な状況の中、奮い立たせる言葉がすごい。時代背景もあると思うが、女性蔑視の部分はあったよう。
    「ひとりの馘首もならん」1911年創業以来、一度の馘首もない。店員は家族と同然である旨を、戦争後の混乱期にも守り通した。「国岡商店の全ての事業はなくなり借金ばかり。しかしながら、何よりも素晴らしい財産がある。1000名にも上る店員達。人間尊重の精神が今こそ発揮されるとき」人間尊重は鐵造の強い信念であり、首も定年も就業規則も出勤簿もない独特の社風を生み出した。
    その後の重役会でも、「社歴が浅い社員だけでも辞めてもらって」という重役に対して、「君たちは家が苦しくなったら、幼い家族を切り捨てるのか。君たちは、店員たちを海外に送り出したときのことを忘れたのか。彼らは国岡商店が骨を拾ってくれると思えばこそ、笑って旅立ってくれたのではないか。そんな店員たちを店が危ないからといって切り捨てるなどぼくにはできん。ぼくは店員たちとともに乞食をする」重役の気持ちは十分に分かり方策もなかったが、信念だけが言わせたもの。その後、家族にも失うかもしれない話をした。
    日本はオランダ領であったボルネオとスマトラの油田を手に入れるため、石油のために大東亜戦争を始めた。
    「黄金の奴隷たる勿れ」仕事は金のためではなく、人のため社会のためにやるものだ。戦後初期のラジオ修理で娯楽提供、油タンクの底浚いの事業など。
    鐵造が貫いた3つの柱「勤勉」「質素」「人のために尽くす」。神戸高商の内池廉吉教授の講演会での商人論に感銘を受けた。「経済と産業が発展する中で、従来の問屋がいくつも介在するシステムでは追い付かなくなり、今後は生産者と消費者を結びつける役割を持つ商人の存在がいっそう大きくなる」。「士魂商才:武士の心をもって、商いせよ」
    当時日本石油の特約店は販売エリアが決まっていたが、漁船と運搬船の燃料を海上で売ったことで「海賊」と呼ばれた。
    佐三の魅力に気付き、創業時から自身の生活も厭わず援助し続けた日田重太郎もすごい。一緒に乞食をしようと言いつつ経営には口を出さず、ただ信じたところがすごく、それに報い、死んだあとの配慮もした佐三。

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著者プロフィール

作家

「2018年 『クラシック 天才たちの到達点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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