海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 543
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778299

作品紹介・あらすじ

すべてのビジネスマンに捧ぐ。
本屋大賞の話題作、早くも文庫化!

ページをめくるごとに、溢れる涙。これはただの経済歴史小説ではない。

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。

石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。
「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。

感想・レビュー・書評

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  • 60歳の男の人が主人公なのにこのドキドキ感ギラギラ感は何?
    国岡鐡造、底知れない男。
    石油の重要性に誰よりも早く気づいた鐡造は石油に情熱を注ぐ。
    そして、自分の利の為ではなく、消費者に石油を安く提供する為に様々なものと戦っていく。
    再現ドラマのように淡々と話は進んでいきとても読みやすい。
    難しい用語も特に出てこないのでよかった。
    満州事変のあたりが苦手でちょっと躓いたが、思わぬ人と再会でき目が醒めた。

    「石油の一滴は血の一滴」この言葉が頭から離れない。
    資源豊かなアメリカと戦争して勝てると思っていたのだろうか。
    石油がほとんどなくなった時に戦争をやめていれば、原爆投下はなかったのに。
    国岡のような男がもっとたくさんいたならとも思うけど、あの時代では誰がいても無理だったかな…
    戦後の国岡はどうなっていくのだろうか。下に期待。

  • ★本の概要・感想
    出光興産の創業者である出光佐三をモデルとし、その生涯をつづったノンフィクション小説。この本のカタルシスは万人が共感しやすく、本屋大賞になったのもうなずける。この物語は、主に以下の構成を繰り返す。
    「日本や国岡に困難が訪れる。国や大企業が利己的なせいだ。それら悪事に、国岡は立ち向かう。決して自分個人の利益ではなく、消費者のため、社員のため、家族のために困難を打ち破る。」
    というものだ。極めて日本的な価値観が現れている。「奉仕」「謙虚」「家族」を重んじる国民には強く響くエピソードが満載だ。

    上下巻とあるが、個人的には上巻の方が好きだ。上巻の方が主人公の国岡哲三がプレイヤーとして活躍するからだ。下巻になると、もう主人公は大企業の社長である。したがって、困難を打ち破る主役が、主人公ではなくその部下になる。皆、主人公の命に従い喜んで行う様が描かれるが、現実のところはどうなったのかなと。
     
    国際留学生協会のサイトにて、日本の源流を紹介するために、本書のモデル人物出光佐三が載っている。本書におけるおおまかなエピソードは、ここに書いてあるそのままの通りだ。
    http://www.ifsa.jp/index.php?Gidemitsusazo

    ★本の面白かった点、かっこいいシーン
    本書の面白いシーンは大きく二分できる。一つは、「不可能や困難を乗り越える」。もう一つは「人間の義理人情が深く発揮されるシーン」だ。

    前者で特に面白いのは、満洲の鉄道において、自分で独自に開発した油が、メジャーの油を打ち破るシーンだろう。満洲は本州より気温が低く、凝固点がより低い油が必要になることに独自に気づく。鐵造自身は、商人であって油制作の技術者ではなかったが、独自に調合と実験を行い、画期的な油の開発を制作する。その油が大資本のメジャー産の油よりも品質が高く...。

    門外漢であっても、あきらめずに試行錯誤することの重要性。強大な敵が相手であっても、考えに考え続け、誰もきづけなかった問題点に気づけることができれば、勝機はある。

    ★本イマイチな点、それってどうなのって思うこと
    *主人公の国岡は物語の中である種、作者から絶対的な存在として扱われ続ける
    ・百田氏の信条や価値観が好きでない人は読んでいて面白くない。この作品の主人公の国岡は、常に肯定的に描かれ続ける。この物語における規律・」正義を判定する役と言ってもいい。ウシジマくんにおける牛嶋のように、どんな選択や意思決定も「良い」ものとして描かれるのだ
    ・そのため、ややバランス感が欠けているような気はする。現実は、ある一人の行動が全て正しく、社会的に良い、ということはあり得ない
    ・この全肯定的な書き方は、百田氏にとって主人公のモデルの出光佐三が英雄となっているからあろう


    ★学んだことをどうアクションに生かすか
    *義理人情ってやっぱり大切だよね。目先の金、自分の利益じゃなくて、社会のため、友人のために頑張れる人がかっこいいよね
    *昔は、会ったこともない人と結婚していたんだなぁ。それが常識としてまかり通っていた。そして、そんな出会いで結婚したとしても、相手を愛することもできていた、という(もちろん、相手を愛せない夫婦もいたのだろうが)。恋愛よりも、子孫を残すことを重要視していた時代だよな。今よりは。今は何でも個人の感情、価値観が重要視されるから。そういう意味では、結婚や恋愛に対して、受け入れる器が小さくなってしまったかもしれないなぁ
    *失敗を恐れてはいけないが、こう成功者の通りに進むと思ってはダメだろう。現実、多くの企業は、身の丈にあわない投資や新規事業の展開によってつぶれることとなる。挑戦や人間尊重の精神は大事にしたい。だが、実際に自分が経営をするとなれば、無茶ばかりはできない

  • しゃんと背中を伸ばして生きていこう!

  • 「出光」をモデルに、石油を武器として大正~昭和の激動期を生き抜いたある男の一代記。

    表紙を開けると、通常なら「本書にある人名・組織名はフィクションであり・・・」等と書かれている部分に、「この物語に登場する男たちは実在した。」とある。か、かっこええ・・・。

    その男、天下国家の大所に立ち、目先の益に拘泥しなかった。陸軍にもGHQにも、自分を疎み押しつぶそうとする同業者にも凜として屈することがなかった。社員を文字通り「家族」と考え、心底その幸福を考えた(社員への信頼ゆえ、勤怠表も定年制度もなかったという)。

    本当にこういう男がリーダーだったら、頑張って働いちゃうかもなあ。

    それにしても、いい男・いい話すぎる。

    一代で強大な組織を作り上げるには、きれいごとでは済まないだろう。どの程度までがフィクションなのかは分からないが、小説だし紙数もあるので、きれいなところだけつまんだんじゃないのかな。

    あと、他の登場人物・組織がほぼ実名で出て来るが、出光関係だけは仮名なのはなぜなんだろう?

    個々の描写はともかく、「石油を軸にして近代史を見る」視点は面白い。第二次大戦やオイルショックの背景や構図なども明解になる。

    この本を読んだ折も折、出光・昭和シェルの経営統合の話題がニュースになった。シェルと言えば、この本にも敵役として出て来る「セブン・シスターズ」の一角を源流とする。主人公「国岡鐡造」は、草場の蔭で何を思うだろうか。

  • 鈴木商店破綻や日章丸事件など、時代背景がリアルなノンフィクション作品。終戦後の荒廃した時から、メイン商材である油を扱えなくなって窮地に追い込まれても、何が何でも国岡商店を残して、店員の首を切らない。国岡商店が絶対に諦めないことが、日本全体の為になると考えて利益度外視で業務を遂行していく。店主の理念に惚れた店員たちが一致団結する姿は感動的でした。

  • ストーリーはいい話だ。主人公も魅力がある。でも何か物足りない。
    まるでプロジェクトXを見ているよう。頑張ってるな、よくできた人だな…と素直に思えるし雑学情報も得られる。
    しかし小説を読む醍醐味が感じられない。

  • 20191031

  • 山崎豊子『不毛地帯』を思い出した。やはり石油にまつわる起業には伝説となる話が多いのか。まあ、どこの会社でもそれなりに創業者の伝説はあるだろうけど。
    国岡氏が理想とした企業の姿はどこまで実現できるのか。

  • 信念のある人は強い。
    それを再認識させられた本でした。

    国岡鐵造しかり、日田重太郎しかり、こうした強い信念を裏打ちしているものは何なのか、信念のない私としては知りたいところです。

    個人的に上巻のクライマックスは満鉄向けの機械油性能比較のところ。
    優れているはずの自分の油が満鉄の規格に合わないならば、規格を見直すよう満鉄に求めたり、アメリカのスタンダード石油と勝負したり、やはり強い信念の持ち主でないとできない所業だよなぁ。

  • 明治から昭和にかけて石油会社の奮闘劇を描いている。主人公国岡鐵造は何があっても諦めない。一度決めたことはやり遂げる。という芯の通り過ぎた男で、そんな彼だからこそ付いてくる部下も強靭で芯のできた人間である。どんな大きな圧力に対しても真っ向から勝負して行く姿は日本男児という言葉がぴったりで、こんな人が実在したんだと思うと、読んでいて武者震いが起きる。利益を顧みず、黄金の奴隷勿れという彼のモットーが彼を突き動かし、またその姿を見た人たちが心を打たれ彼に協力をし始める。昭和の初期はGHQや政府との対決はとてもかっこいい。
    頑張れ国岡と言いたくなるような作品。

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著者プロフィール

百田 尚樹(ひゃくた なおき)
1956年生まれ、大阪府出身の放送作家・小説家。『探偵!ナイトスクープ』の放送作家として活躍。
50歳の時にはじめて執筆した『永遠の0(ゼロ)』で作家デビュー。ヒット作となり、映画化されている。
ボクシング青春小説『ボックス!』が第30回吉川英治文学新人賞候補、第6回本屋大賞の5位に選出され、映画化もされた。『海賊とよばれた男』で2013年本屋大賞大賞受賞。コミック化、映画化された。

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