海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 11712
感想 : 710
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778299

作品紹介・あらすじ

すべてのビジネスマンに捧ぐ。
本屋大賞の話題作、早くも文庫化!

ページをめくるごとに、溢れる涙。これはただの経済歴史小説ではない。

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。

石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。
「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。

感想・レビュー・書評

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  • 2013年本屋大賞受賞作品
    「永遠の0」が最高によかったので百田さんのこちらの大作も読んでみたく購読。

    上下巻ある為、下巻の方を読み終えてから感想を書こうと思っているのだが上巻だけでも内容が濃く主人公の国岡に強く惹かれている。

    上巻は国岡の出生から学生時代、就職時代、国岡商店の立ち上げ、苦難、開戦、終戦までの物語。

    国岡、国岡の店員達がこの先戦後の日本をどう生きていくのか?
    楽しみだし、自分の中での気付きや教訓みたいな物も期待している。

  • 「この物語に登場する男たちは実在した」
    のっけからテンションあがります。

    国岡商店の従業員がとにかく凄い。
    店主、国岡鐡造の凄さもよく分かったつもり。

    だけども、戦争、男尊女卑、権力など、時代背景によるさまざまな違和感を一旦飲み込んだ上巻でした。

    さあ、海賊の生き様を見届けさせていただきましょうか。

  • 父が愛読していた本でもあるため読んでみました。
    まず思ったのは、新たな技術の革新とともにその覇権を握ろうとすることから戦争が始まるのだときづけました。
    第二次世界大戦では石油が鍵になっていたとこの本を読むと知ることが出来ました。
    近年ではAIやインターネットにより技術によって争い事が起きるのではないかと読む度ヒヤヒヤしました。
    しかしその脅威の成れの果てに国に全てを委ねて統制しまくった結果全てのスピードが落ち恐ろしい事になると下の長い解説で身に染みて感じることが出来ました。

    日本では「組織」が作られる→トップが決まる→下部組織が作られその管理者が決まる→順次下部組織が作られる→最終的に大組織の完成
    小さいことを決めるにも上に伺う。巨大組織は非常に柔軟性のない組織になる
    自由主義経済の下では全てのものが政府の統括ではない。自由に販売をする
    →あらゆる物資が欠乏してる日本では統制及び配給もやむを得ない。しかし経済は生き物のように管理しようとしても、計算通りには動かない。市場が混乱すると、1番損をするのは消費者であり、最も得をするのは利権をもったものたちになる。→共産主義の経済を見ればわかる

    主人公の言葉に

    「エネルギーの出方が恐怖より愛で動く
    その愛のパフォーマンスで人を動かしてきた」

    という言葉があります。
    この一文だけで主人公の理念や人柄がにじみ出ていると思いました。

  • 震えます。何度も。
    「士魂商才」「店員は家族」「大地域小売」
    その信念・生き様を見て奮い立ちます。最高。
    下巻が楽しみです。

    ⚫︎日本の女として、凛とせよ。
    (空襲時の多津子への言葉)

    ⚫︎人間尊重、就業規則も出勤簿、馘首も定年もない。
    自分に子供ができないのも、店員たちをしっかり育てよとの天からの言葉だ。

    ⚫︎「一緒に乞食をしよう」
    ただ信念だけが言わせた言葉だった。信念を失えば身体が生き延びようと、死んだも同然。

    ⚫︎GHQも恐れない。サムライのような男。そして海賊と呼ばれた男。
    門司、下関の漁船の運搬船の燃料7割を賄った。
    石油特約店たちは暴れ回る国岡商店の伝馬船を見てそう呼んで怖れた。

    ⚫︎油のタンクに笑顔で潜る男たち。生き甲斐と喜びをもっていなければ、あんな表情はできない。

  • 今まで読んだ小説の中で1番面白い良かったです。
    組織で働く人に、「働くことへのモチベーション、やりがい、帰属意識」などについて問いかけてくれる内容です。本書を読んだ後、誰かのために尽くしていこうと思えるようになりました。
    また、戦前、戦中そして戦後の石油産業の勃興と大戦の史実が詳しく説明されており歴史を学ぶ楽しさを知ることができた一冊でした。本当に良かったです。

  • 胸熱♪
    年表を読んでるみたぃだが しっかり物語にもなっていて モデルになった出光佐三 の事をもっと知りたくなった。

    「黄金の奴隷たるなかれ」今の世の中にこそ、そぅあるべきだと思う。

    そのまま 下巻へ

  • 上・下巻、完読。

     序章の前にある一文。「この物語に登場する男たちは存在した」シンプルなメッセージが素敵すぎる。

     目まぐるしい時代背景の詳細な描写、主人公(国岡)が手がける事業展開のスピードに追いついていくのが大変だった。正直、読むことに挫折しかけた。しかし、下巻は感動と涙で溢れかえった。読み続けて良かったと思った。

    感想の詳細は下巻へ


  • 60歳の男の人が主人公なのにこのドキドキ感ギラギラ感は何?
    国岡鐡造、底知れない男。
    石油の重要性に誰よりも早く気づいた鐡造は石油に情熱を注ぐ。
    そして、自分の利の為ではなく、消費者に石油を安く提供する為に様々なものと戦っていく。
    再現ドラマのように淡々と話は進んでいきとても読みやすい。
    難しい用語も特に出てこないのでよかった。
    満州事変のあたりが苦手でちょっと躓いたが、思わぬ人と再会でき目が醒めた。

    「石油の一滴は血の一滴」この言葉が頭から離れない。
    資源豊かなアメリカと戦争して勝てると思っていたのだろうか。
    石油がほとんどなくなった時に戦争をやめていれば、原爆投下はなかったのに。
    国岡のような男がもっとたくさんいたならとも思うけど、あの時代では誰がいても無理だったかな…
    戦後の国岡はどうなっていくのだろうか。下に期待。

  • 石油を武器に、敗戦した日本の再起を図った国岡鐵造の物語。

    歴史小説が得意ではないなかったが、アツい男の姿に惹かれてとても面白く、下巻が気になった。

  • 石油の一滴は血の一滴!
    日本敗戦の背景に石油が大きく関わっていたとは考えたこともなかった。
    百田さんの作品なので史実に則った作品なんだと思う。日本は負けるべくして戦争に負けた。軍部の過ちが多かったのは事実だが、日本が戦争という渦に飲み込まれ抗えなくなったのも致し難く感じた。

    この作品を読んで、正直、自分は国岡商店で働きたくないかな〜と思った。完全なブラック企業だし!でも、戦後を生きてきた人達はそこに楽しみを見つけられたのかもしれないですね。会社の利益より国の利益を優先!恐れ入ります。

  • (上下巻合わせてのレビューです。)

    数年前、本屋大賞に選ばれて、ドラマにもなり、話題になった本。
    機会があってようやく読めました。
    上下巻あって、結構なボリュームかつ壮大な物語。

    ガソリンスタンドでよく見る出光の出光興産を創業した
    出光佐三氏をモデルとした物語。
    戦前に創業し、海外展開していたものの、
    敗戦により海外資産をすべて失い、
    またゼロから組織を発展させた出光氏の壮大な物語は、圧巻の一言。
    特に出光氏の価値観・哲学にブレがなく、読んでいて気持ちが良い。

    上巻は、GHQに戦犯扱いされてしまった主人公の戦いが、
    後半はイランからの石油輸入劇がクライマックスか。
    上巻は期待していたほどでもなかったかな…と思っていましたが、
    下巻に行くに従って、物語が壮大になっていって段々面白くなってきました。

    ただ、テーマが石油なんですよね。
    気候変動の面から、これからはどんどん戦犯扱いされていきそうな石油。
    そういう意味では、段々読まれなくなっていく本なのかな、とちょっと寂しさも感じた本でした。

    あと、イランの歴史をあんまり知らなかったのですが、
    (この本に書かれたことが真実であれば)
    今のアメリカと敵対しているイランを作り上げたのって、
    アメリカの自業自得のような気がしました。。
    改めて、正義の難しさを感じました。
    (それぞれの国に正義がある。)

    個人的には、「永遠の0」の方が好みですが、
    こちらも著者の対策であることは間違いないですね。

    ※永遠の0
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/406276413X

  • 何かを成し遂げる人、て人材にも恵まれてるよね。
    優れたリーダーに人が集まるのは当然やろし、
    凄い人材が現れて惜しげもなく財産や労働力を差し出してくれたのは、この人に魅力があるからなんだろうけど、その魅力をもっと掘り下げて欲しかった。
    誰よりも長い時間働く、とか社員が徴兵中も給料を払い続けた、とか戦後の混乱期に社員を馘首しなかった、とかそれはそれはすごいけど、人を動かす力ってそんなものではないでしょう。
    だって、雇主の為に巨大なタンクの底にハシゴで降りて桶で油を汲み出そう、て思えるか普通?戦争から帰ってきて腹ペコでガリガリやのに。すごいよね。
    そこまで決心させる何か、をもうちょっと描いて欲しかった。

  • 「人が大切」とは企業理念でよく聞くものの勤怠管理・定年・馘首がないなど、究極まで徹底されていることがすごい。フィクションではないかと疑ってしまう。今の時代ではひょっとしたら置き去られてしまうかもしれない大切なことをいくつか示唆してくれている気がします。

    サンキュー、読んでいる間ずっと気持ちよかったわ。勧めてくれてありがとう!

  • 主人公が、めちゃくちゃかっこいいです!
    男のロマン溢れる作品で、熱量がすごいです。
    非常に読みやすく、グイグイ入ってきます。
    ぜひぜひ、読んでみてください❕




    ちなみに、「出光」の社長さんの話だとは、知らなかったです。
    やっぱり偉くなる人は、魅力がありますねー。

  • 出光興産をモデルにし、後に映画化された小説。上巻は、終戦直後の国岡商店主・鐵造が、同業者団体からの圧力に屈せず、時にGHQに乗り込んでいき、石油販売に漕ぎつけるまでを最初に描き、後半は鐵造の生い立ちから、戦前の国岡商店設立、そして戦中の販路拡大と、大きな損失を被った終戦を描く。その時々での鐵造のゆるぎない姿勢に感銘を受けた。

  • ★本の概要・感想
    出光興産の創業者である出光佐三をモデルとし、その生涯をつづったノンフィクション小説。この本のカタルシスは万人が共感しやすく、本屋大賞になったのもうなずける。この物語は、主に以下の構成を繰り返す。
    「日本や国岡に困難が訪れる。国や大企業が利己的なせいだ。それら悪事に、国岡は立ち向かう。決して自分個人の利益ではなく、消費者のため、社員のため、家族のために困難を打ち破る。」
    というものだ。極めて日本的な価値観が現れている。「奉仕」「謙虚」「家族」を重んじる国民には強く響くエピソードが満載だ。

    上下巻とあるが、個人的には上巻の方が好きだ。上巻の方が主人公の国岡哲三がプレイヤーとして活躍するからだ。下巻になると、もう主人公は大企業の社長である。したがって、困難を打ち破る主役が、主人公ではなくその部下になる。皆、主人公の命に従い喜んで行う様が描かれるが、現実のところはどうなったのかなと。
     
    国際留学生協会のサイトにて、日本の源流を紹介するために、本書のモデル人物出光佐三が載っている。本書におけるおおまかなエピソードは、ここに書いてあるそのままの通りだ。
    http://www.ifsa.jp/index.php?Gidemitsusazo

    ★本の面白かった点、かっこいいシーン
    本書の面白いシーンは大きく二分できる。一つは、「不可能や困難を乗り越える」。もう一つは「人間の義理人情が深く発揮されるシーン」だ。

    前者で特に面白いのは、満洲の鉄道において、自分で独自に開発した油が、メジャーの油を打ち破るシーンだろう。満洲は本州より気温が低く、凝固点がより低い油が必要になることに独自に気づく。鐵造自身は、商人であって油制作の技術者ではなかったが、独自に調合と実験を行い、画期的な油の開発を制作する。その油が大資本のメジャー産の油よりも品質が高く...。

    門外漢であっても、あきらめずに試行錯誤することの重要性。強大な敵が相手であっても、考えに考え続け、誰もきづけなかった問題点に気づけることができれば、勝機はある。

    ★本イマイチな点、それってどうなのって思うこと
    *主人公の国岡は物語の中である種、作者から絶対的な存在として扱われ続ける
    ・百田氏の信条や価値観が好きでない人は読んでいて面白くない。この作品の主人公の国岡は、常に肯定的に描かれ続ける。この物語における規律・」正義を判定する役と言ってもいい。ウシジマくんにおける牛嶋のように、どんな選択や意思決定も「良い」ものとして描かれるのだ
    ・そのため、ややバランス感が欠けているような気はする。現実は、ある一人の行動が全て正しく、社会的に良い、ということはあり得ない
    ・この全肯定的な書き方は、百田氏にとって主人公のモデルの出光佐三が英雄となっているからあろう


    ★学んだことをどうアクションに生かすか
    *義理人情ってやっぱり大切だよね。目先の金、自分の利益じゃなくて、社会のため、友人のために頑張れる人がかっこいいよね
    *昔は、会ったこともない人と結婚していたんだなぁ。それが常識としてまかり通っていた。そして、そんな出会いで結婚したとしても、相手を愛することもできていた、という(もちろん、相手を愛せない夫婦もいたのだろうが)。恋愛よりも、子孫を残すことを重要視していた時代だよな。今よりは。今は何でも個人の感情、価値観が重要視されるから。そういう意味では、結婚や恋愛に対して、受け入れる器が小さくなってしまったかもしれないなぁ
    *失敗を恐れてはいけないが、こう成功者の通りに進むと思ってはダメだろう。現実、多くの企業は、身の丈にあわない投資や新規事業の展開によってつぶれることとなる。挑戦や人間尊重の精神は大事にしたい。だが、実際に自分が経営をするとなれば、無茶ばかりはできない

  • 信念を貫くことの難しさと偉大さを感じた。
    このような人がいたから今の日本があると思う。
    当たり前を作ってくれてありがとうございます。

    【黄金の奴隷たるなかれ】

  • もっと早く知っていたら❗️
    出光でガソリン入れたのに....(笑)
    偉人のマネはできませんが同じ日本人として誇らしく思います☺️

  • 「錨をあげよ」を読んでから、本を読むことが楽しくなり、池井戸潤のルーズヴェルトゲームや不祥事から経済小説が好きになった。
    「錨をあげよ」の作者である百田尚樹の経済小説に興味を持ってこの本を買った。国岡鐵三の生き様が心に来た。
    「自分も頑張ろう」と少しだけ勇気をもらえた。
    下巻が楽しみ。下巻を読んだら、また感想を書こうと思う。

  • 上巻読了。

    石油会社「国岡商店」の店主・国岡鐡造の生涯を描いた物語。出光興産の創業者がモデルとの事です。
    とにかく国岡鐡造という人は、バイタリティーに溢れ、社員(店員)を“家族”“財産”として大切に扱う、人として素晴らしいトップなのですが、理想が過ぎて損ばかりしていますし、同業者に嫌われて何度も邪魔をされているので、無駄に苦労している感じでお気の毒です。
    “常に大ピンチ”な国岡商店が、度重なる困難にどう立ち向かい、乗り越えていくのか、下巻の展開が楽しみです。
    あと、「永遠の0」の宮部さんが、チラっと登場したのが何とも嬉しいサービス(?)でした。

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著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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