海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 9276
感想 : 712
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778305

作品紹介・あらすじ

この男の生き様は美しい。
本屋大賞の話題作。読まずに語るな。

愛する家族、社員、そしてこの国の未来のために。
この奇跡のような英雄たちは、実在した。

敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。ホルムズ海峡を突破せよ! 戦後、国際石油カルテル「セブン・シスターズ」に蹂躙される日本。内外の敵に包囲され窮地に陥った鐡造は乾坤一擲の勝負に出る。それは大英帝国に経済封鎖されたイランにタンカーを派遣すること。世界が驚倒した「日章丸事件」の真実。

若き頃、小さな日本の海で海賊とよばれた男は、石油を武器に、世界と対峙する大きな野望を持っていた。
「ゼロ」から全てが始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 最高でした。
    あの出光興産の創業者である出光佐三の若き日々から亡くなるまでの物語(作中では国岡鐡造の国岡商店)。
    石油業界にこんな歴史があるなんて知らなかった。
    恐らくすべてノンフィクション。
    事実は小説よりも奇なりという言葉があるけど、どんな物語より劇的な人生だと思う。
    歴史や日本史に詳しくなくても、難しいところはサーっと流して問題ない笑
    充分すぎるほど楽しめた。ガソリンスタンド通る時に見る目変わる。
    出光佐三さんが同じ日本人で良かった。
    若い人こそ読むべき作品だと思う。

  • 学生時代の4年間、出光のガソリンスタンドでバイトしていた私にとって、多少出光佐三氏は知っていたのだが、これほど過酷な環境を生き抜き歴史が作られていたことはまったく知らなかった。
    当時控え室に出光佐三氏のお言葉が飾られていたのを思い出す。(内容までは覚えていないが)

    自伝的小説なのだがミステリーのように先が気になり、当時の状況と重なりあうと歴史書のバイブル的な様相も呈する。
    石油業界のこれまで、国岡商店(出光興産)のこれまでを今更ながら知ることが出来て大満足の一作。

  • 学校では教えてくれないような日本の歴史が勉強できる名作!中学くらいの日本史で教えてくれれば歴史に興味を持ったかも。
    今も続くイランとアメリカの関係は石油が大きく関わっていたとは。イランに同情してしまった。。
    しかし色々とイギリスの歴史って真っ黒だな!

  • 読み終わってしまうのが、惜しいという気持ち。
    子供の頃に耳にした「アポロ」や、意味が分からなかった「民族系企業」という言葉が理解出来て、ストーリーと自分の時代が少し重なり、深みを増した。
    それにしても、徳山製油所を10ヶ月程で完成させてしまった事はあまりにも無茶ではあるが、何か神ががったものを感じる。
    解説で触れてあったが、ストーリーは国岡商店側からの視点で書かれている。一方、相手側の見方も気にはなり何ゆえに国岡商店にその対応をしたのか、ただ潰したいと言うだけではない部分もあると思う。
    少しその所も触れられると、面白みが増すような気がする。

  • (上下巻合わせてのレビューです。)

    数年前、本屋大賞に選ばれて、ドラマにもなり、話題になった本。
    機会があってようやく読めました。
    上下巻あって、結構なボリュームかつ壮大な物語。

    ガソリンスタンドでよく見る出光の出光興産を創業した
    出光佐三氏をモデルとした物語。
    戦前に創業し、海外展開していたものの、
    敗戦により海外資産をすべて失い、
    またゼロから組織を発展させた出光氏の壮大な物語は、圧巻の一言。
    特に出光氏の価値観・哲学にブレがなく、読んでいて気持ちが良い。

    上巻は、GHQに戦犯扱いされてしまった主人公の戦いが、
    後半はイランからの石油輸入劇がクライマックスか。
    上巻は期待していたほどでもなかったかな…と思っていましたが、
    下巻に行くに従って、物語が壮大になっていって段々面白くなってきました。

    ただ、テーマが石油なんですよね。
    気候変動の面から、これからはどんどん戦犯扱いされていきそうな石油。
    そういう意味では、段々読まれなくなっていく本なのかな、とちょっと寂しさも感じた本でした。

    あと、イランの歴史をあんまり知らなかったのですが、
    (この本に書かれたことが真実であれば)
    今のアメリカと敵対しているイランを作り上げたのって、
    アメリカの自業自得のような気がしました。。
    改めて、正義の難しさを感じました。
    (それぞれの国に正義がある。)

    個人的には、「永遠の0」の方が好みですが、
    こちらも著者の対策であることは間違いないですね。

    ※永遠の0
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/406276413X

  • 友人に勧められて読んだ。当時の若者の行動力や精神力は自分とは比較できないほど遥か上をいってるなとつくづく思った(あと爺さんも)。周りの声に負けず、自分の信念に従って行動する強さを大切にしたいと思った。

  • 上下巻を一気に通読。
    出光が民族資本で、メジャーに対抗してきたということは知ってはいたが、まさかこれほどまでのドラマがあるとは知らなかった。
    社員は家族、人間尊重、定年も出勤簿もない。強烈なリーダーシップの経営者だからこそなせる技であり、その意味では普通の人には参考にならないのかもしれない。ただ、こういう会社があり、その会社が日本の戦中、戦後復興に大きな役割を果たしたことは日本人として知っておく必要はあろう。

  • 出光興産出光佐三の物語
    こういう日本人達がいたからこそ、日本は戦後あんなにも早く復興し、世界の1等国になれたのかと実感しました。小説なので、どのくらい創作が入っているか気になるところ。
    最近出光のガソリンスタンド見かけないな

  • 下巻読了。

    いやあ、国岡商店、やるじゃないですか!社長(店主)の鐵造さんだけでなく、社員の皆さんが輝いていますね。
    中でも“日章丸事件”のくだりは心が震えました。
    イギリスから搾取され続けたあげく、経済制裁されているイランの石油を買う為に、欧米の巨大石油業界を敵に回す覚悟で国岡商店のタンカー・日章丸をイランまで派遣するのですが、日章丸がイランのアバダンに入港したとき、そして英国海軍に襲われる危険をかいくぐって日本に帰港したときは、思わずガッツポーズをしたくなりました。
    日章丸の船長・新田さんを筆頭に、乗組員の皆さんの覚悟が恰好良すぎます。(実際、英国海軍が待ち伏せていたというのだから、いやはや、危なかったー・・)
    反骨精神を貫くあまり、敵が多く、大変な事ばかりだった国岡さんですが、その生き様は心を熱くしてくれるものがあります。
    映画も観てみたくなりました。

  • 圧巻。
    実話を基にした物語だという事実が、その男の熱い想いをさらに魅力的に彩った。

    ただ一方的に諸悪の根源のように描かれた官僚たちの施策について、巻末解説文執者が“彼らなりの正義”について触れてくれているところが、フェアーでなお良し。

    これぞただしい“解説”だ……と、本文以外のところにも好印象。この本は、文庫版で読むべき(笑)。

    ★4つ、9ポイント半。
    2017.01.12.新。

    ※映画も、観よう。

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著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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