薔薇を拒む (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 282
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778343

作品紹介・あらすじ

陸の孤島で起きた殺人をめぐり、屋敷に関わる者たちが疑心に陥る。悪意すら美しく描かれる新感覚ミステリー。著者講談社文庫初登場!

感想・レビュー・書評

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  • 事情があって施設で育った博人は、同じような境遇で育った樋野と共に山奥の洋館で働き始める。
    他に居場所があるわけでもない二人は、少しずつだが洋館での暮らしに馴染んでいく。
    意外にも博人は、ゆったりと自分だけの時間を過ごすことが出来る生活を楽しんでいた。
    少しでも長く、この洋館での暮らしを続けたいと願うほどに。

    やがて博人と樋野は洋館に住む令嬢・小夜に恋をする。
    それぞれ心に傷を持つ博人と樋野。
    大切だからこそ近づくことをためらってしまう博人。
    大切だからこそ壊してしまいたいという破壊衝動をかかえている樋野。
    同じように傷を隠したまま生きてきた小夜には、二人はどんなふうに映っていたのだろうか。
    彼らが洋館に雇われた理由もすべて知ったうえで、彼らを受け入れていた彼女は哀れだ。
    けれど、結局のところそれも自己満足でしかない。
    館に住む人それぞれが本当の気持ちを隠し、表面上を取り繕っていたために少しずつ歪んでいく世界。
    人は誰でも身勝手な部分を持っている。
    だが、それをあからさまにしないのは第三者の目があるからだ。
    ストッパーとなるべき存在がいないとき、人の欲望はどす黒いものへと変化していくのかもしれない。
    博人は結局幸せになったのだろう。
    それが真の幸せと呼べるものかどうかは別として。

  • 心に闇を持つ少年が山奥の館で過ごす数ヶ月。
    近藤さんの本は読みやすいし、ぐいぐい引き込まれて一気に読んでしまった。山奥の館、湖畔、美しい少女、そして殺人事件…物語の中に流れる耽美な世界観が好きだ。
    事件の結末(犯人とか…)についてはあっさりとしていたが、その後の展開にゾクッときた。

  • ラスト1行に辿り着くまでに挫折しました。今作は何が面白いのかよく分かりません。

  • デビュー作「凍える島」が好きで、近藤史恵にはまった人間ですから、嬉々として買った。ちなみに「ガーデン」も好きだし、「桜姫」も、「青葉のころは…」も大好きである。
    この話は、ミステリーでは、ない。と思う。しかし、こういう痛々しい青春群像劇はやはり、このひと特有の崩れない退廃的な世界観がここちよく、満足して読了した。
    うつくしい少女、血のつながらない母、少女に焦がれるもと「殺人者」たる少年二人。閉ざされた館。
    こういうのがもっともっと読みたいのよー。とぼやいてみる。世間の需要に逆らっている気がするけど。もとめてるのですよ…。

  • 薔薇を拒む
    近藤史恵さん。

    最後まで、
    どうなるのか?わからず、
    読み進められた。

    おもしろかった。

  • だれにも邪魔されず、静かに本をめくる時間。好奇や同情の視線を向ける人に怯えることもなく、静かに庭の木々を手入れし、夜は心地よい疲れの中、たったひとりのベッドで眠る。それはぼくがはじめて手に入れた砂金のような幸福だった。施設の中で大勢の子供たちと一緒にもみくちゃになっていたときが、不幸せだったというつもりはない。十分な食事と眠る場所を与えられ、学校にも行かせてもらっていた。だが、この屋敷にきてぼくは知ってしまった。人は食事や寝る場所があれば生きていけるわっけではないのだ。そして、ぼくには水や空気と同じくらい静けさとひとりの時間が必要だった。

  • サクサクと読みやすいミステリー。両親のいない2人の美少年が「大学へ行くための学費と生活費を出す」という条件と引き換えに住み込んだ家。そこには美しい母子と数人の使用人がいた。続けて起こる殺人事件(未遂も)、なぜ2人の美少年が選ばれ、この家に呼ばれたのか。図書室まである館で起こる謎だらけの事件。ドラマ化したらきっと美しい映像になりそう。

  • 生い立ち、育った環境で形成された性格って変えることは出来ないのかな?

  • なんというか…なんだか不思議な話だった…



    身寄りがなく施設育ちの博人は施設に所長から「3年間住み込みで働けばその後の生活費と大学のお金は出してくれる人がいる」という話に乗り、山奥の陸の孤島の別荘へ向かった。屋敷には雇い主の妻と娘の小夜、それから数人の使用人がおり、博人は同い年の樋野と一緒に仕事に励んだ。 
    しかし、そんな穏やかな日々にある事件が舞い込む。そして、それと同時に博人と樋野と小夜の関係も少しずつ変化が起こってきて…


    なんとも言えない。完全に弱者な博人と樋野。人にはあまり大きな声で言えない秘密がある2人は、完全に弱者だしそれを弄ぶ権利はないはずだよね。まぁ、あの家族が少し歪んでいるってことなのかな?


    しかし、博人もまた同じような人種だったのかなぁ。最後、ちょっと読めた気もしたけどゾッとした。誰も幸せになれないってこういうことかーとも思ったわ。


    2020.1.22 読了

  • 少年少女時代とは、瑞々しくて繊細でどこか非現実的なもの。事件の顛末はどうということはなかったが、博人も結局は己が青春と心中したようなもんだ。一番手にしたかった薔薇を自ら拒んだこの結末。真の愛なのか、或いは復讐か…?何れにしろ、あまりに哀し過ぎる。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。以来、細やかな心理描写を軸にした質の高いミステリ作品を発表し続ける。2008年『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞。その他の著書に『ねむりねずみ』『散りしかたみに』『桜姫』『二人道成寺』『ダークルーム』『モップの精は旅に出る』『さいごの毛布』『スティグマータ』『シャルロットの憂鬱』など多数。

「2021年 『みかんとひよどり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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