ジェントルマン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 322
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778756

作品紹介・あらすじ

眉目秀麗、文武両道にして完璧な優しさを持つ青年、漱太郎。しかしある嵐の日、同級生の夢生はその悪魔のような本性を垣間見る――。天性のエゴイストの善悪も弁えぬ振る舞いに魅入られた夢生は、漱太郎の罪を知るただ一人の存在として、彼を愛し守り抜くと誓う。切なくも残酷な究極のピカレスク恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 漱太郎の数々の卑劣な行為は女として到底受け入れがたく、嫌悪感だけが残った。彼を愛する男、夢生も翻弄され終には破綻してしまう。そして彼らに深くかかわる二人の女は一見脇役であるように思えたが、終盤クライマックスでその存在の凄みを知ることになる。哀しくて残酷で、滑稽で、まぎれもない悪夢なのだけど、沈美的で永遠の夢のようでもあって。。どちらかというと嫌な読後感の類。ただ、ここまで登場人物たちに感情移入できたのは、やはり作者の持つ魅力なんだと思う。例えば「人の行動に伏線なんかない。衝動しかないんだ。あと、運命しか…」こんな風にさらっと主人公に言わせる詠美節。相変わらず、洗練された文体は読み手の心と脳を大いに刺激してくれる。

  • 美しく妖しかった。
    最初の写真の話がもうインパクトあるので、山田さん自らが挿絵をつけたような感じがした。
    倫理観も良心もないのに、表面上完璧に見えるなんて怖すぎる。怪物。
    殺したことは誤算だったのか、もしくは殺した結果殺されることまで含めて希望通りだったのか、どうだろう。
    いつかもう一度読もう。

    • komoroさん
      確かに気になりますね。僕もいつかもう一度読んでみます。
      確かに気になりますね。僕もいつかもう一度読んでみます。
      2016/02/21
  • 大好きな山田詠美。
    美しい文章。美しすぎて、溜め息が出る。

    なのに、こんな終わり方はいやだ。
    私は、このお話に出てくる人がきらい。圭子のことも、夢生のことも、路美のことも。
    漱太郎のことは、もっときらい。

    いやだ、いやだと思いつつ、私は多分、この本が好きだ。
    好きよりも嫌いの方が、人を強く惹き付けるのかもね。


    「欲しがれば欲しがるほど逃げて行くものが、この世の中にはたくさんある。」
    本当にその通りで。
    欲しがるのを辞めれたら、もっと簡単になるのに。
    私が欲しくて欲しくてたまらないものは、いつの間にか遠くに行ってて、もう絶対に手に入らない。

  • 完璧な漱太郎の本性を唯一知るユメ。そしてユメの漱太郎への究極愛。同性愛、レイプとハードな中に純愛がしっかり全編に感じられる。
    シゲの恋に落ちた感情や、ユメの漱太郎への「自分だけに優しい人がいい」「そして、自分だけに冷たい人がいい」思い。
    ラストの圭子の大事にしてきた思いも…。
    誰にも言えない想い。切ない。

    • 9nanokaさん
      このお話、とっても気になっていました。
      ユメ…いい名前です(^^)
      過激な内容なんですね。
      自分だけに冷たい人がいい、の気持ちはわかる...
      このお話、とっても気になっていました。
      ユメ…いい名前です(^^)
      過激な内容なんですね。
      自分だけに冷たい人がいい、の気持ちはわかるようなわからないような…です。komoroさんはどう思われましたか?
      2014/10/13
    • komoroさん
      ユメは男ですよ。
      自分だけに冷たい人がいい。これは恋愛上級者か恋愛屈折者じゃないかな。
      でも、Mっ気ある場合も…。(笑)
      ユメは男ですよ。
      自分だけに冷たい人がいい。これは恋愛上級者か恋愛屈折者じゃないかな。
      でも、Mっ気ある場合も…。(笑)
      2014/10/16
    • 9nanokaさん
      ユメは男の人でしたか。
      同性愛はユメのことなんですね。
      Mっ気なら私にもあるかもしれません笑。
      ユメは男の人でしたか。
      同性愛はユメのことなんですね。
      Mっ気なら私にもあるかもしれません笑。
      2014/10/16
  • モラトリアム期の少年少女の描写が巧みな著者でも、それを持ち越しすぎた大人となると。愛は惜しみなく奪う、映画のサブタイトルが浮かんだ。愛は惜しみなく奪うものか与うものか。

  • レイプする朔太郎にも、それに加担する夢生にも理解ができなかった。
    夢生の朔太郎に抱く想いも、理解できるようなできないような。
    シゲと貴恵子のオルゴール聞いて幸せな時間過ごしてるのがほのぼのした。
    最後は衝撃だった。
    胸糞悪い内容もあるのに、ページめくる手が止まらなかった。やっぱり山田詠美さんはすごい人だな。でも再読はしないと思う。

  • 言葉を失うほど焦がれている相手を、殺すことで、永遠に結ばれると信じて疑わない夢生こそ罪の意識がなく、傲慢だ。
    自分ではない他の男を抱いたという事実に腹を立てたのか。それにしてもラストの夢生の行動がとても飛躍しすぎている気がして、冷めてしまった。血の海が小説の最後にふさわしいとは思えなかったからだ。

    主人公の誰にも感情移入ができなかったけれど、夢生や漱太郎の名前はしばらく頭から消えないだろう。そこがやはり山田詠美の凄いところだなと思う。

  • 山田詠美は初読です。これまで下らない恋愛ジャンルの御方でしょ、と意味不明に毛嫌いしてた事を土下座してお詫びします。最凶に面白い。構成文章力ともに素晴らしい。ただラストが予想通りだったことだけが残念。自分の中には絶対に見つけられない(と信じたい)歪んだ愛の形が濃縮されている。最初はその物珍しさに魅了されただけであった筈なのに、読み進めてゆくうちに自分でも見に覚えのある単純な恋愛感情こそが主人公の行動理念だと思えてくる。うへぇ、と胸糞悪くなるけどわかるんだ。自分が大好きな人の一番でありたいの。

  • 残酷なまでに美しい悪魔のような男と、その悪魔に魅せられて愛し従属した男の話。震えました。あの衝撃のラストは彼らにとったらメリーバッドエンドなのだろうか。漱太郎もユメなら仕方ないねって笑いそうな気もする。笑って犯した罪を告白する漱太郎と、それを許して受け入れるユメはある意味共犯者であり、そこで二人は唯一無二の相手として分かり合える、それは遥かに肉体関係を持つ事よりも深く結ばれている事なのだ。 殆どプラトニックでありながら、どんな関係よりも狂っていて歪んでいて背徳的。 これでおまえ、俺の奴隷だな、ユメ?という漱太郎の言葉が淫美な悪魔の囁きのようで恐ろしい(けど個人的に大好き)。

  • なんか途中からありきたりになっちゃって、奇をてらったのが逆に既視感、みたいな。飽きちゃった。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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