人類資金7 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779043

作品紹介・あらすじ

本庄が命と引き替えに手に入れた“爆弾”を託された真舟と美由紀は関西最大の広域暴力団と組み、世界の株式市場を相手に壮絶な仕手戦を仕掛ける。期限はわずか三週間。そして石は暢人の命と『M資金』の未来を背負い、ただ一人ある舞台へと――。人間への信頼を高らかに謳い上げる一大巨編、ついに完結!

感想・レビュー・書評

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  • 7作中の最終巻。合流した真舟、石、美由紀は関西のやくざの手を借りて、大掛かりな仕手戦を仕掛ける。あまり株に詳しくないけど、それを邪魔するハロルド、さらにその窮地を救うべく立ち上がった暢人の父・暢彦。今まで、敵と思われて来た人達も、真舟の熱い思いに、力を貸す。そして、窮地に立たされていた石の故郷・カペラ共和国を救うために、石は最後のステージに1人で向かう。一方、真舟と美由紀は暢人の奪還へ。物語が始まった時は、胡散臭い詐欺師だった真舟の変わりように目が離せない。自分の命を投げ打ってまで、「M資金」を守ろうとした真舟にみんな惚れると思う。久しぶりに重厚な物語を読ませてもらった。

  • 大作を読み終わった!まあ、よくもここまでスケールのデカイ話を紡げるよなあ、福井さん、て感じ。
    ローレライにせよ、この話にせよ、エピローグが彼は上手い!

  • 最終巻はまさに一気に読ませる、超大作の完結。
    まさに福井ワールドながら、したたかに生きるMたちに微笑ましい思いを抱いた読後感です。

  • 最終巻読了。壮大なストーリーでした。
    まず、お久しぶりです、渥美さん(笑)
    そして、3週間待ってくれって、こういう事だったのかと!主人公の真舟は、詐欺師
    ですもんねえ。ドンパチより、口(頭脳)で何とかするわけです。
    しかし、どのキャラも均等に丁寧に描かれていたせいで、誰にも感情移入できなかった、というか。暢人や石があんまり活躍しなかったのが少し残念。
    (二人って立ち位置的にはミネバだったのかな?)
    何故だか、鵠沼のファンになってました。
    ともかく、これだけの作品を書き上げる福井さんの頭の中は、どうなっているのだろうと、あらためて作者の素晴らしさを実感しました。
    わたしにとっての「M」は間違いなく福井晴敏さんです。

    • hs19501112さん
      「人類資金」、面白かったですね。最終巻が待たされ過ぎて辛かったですが・・・。



      えっと・・・読んでる作家さんが似ていて、レビュー...
      「人類資金」、面白かったですね。最終巻が待たされ過ぎて辛かったですが・・・。



      えっと・・・読んでる作家さんが似ていて、レビューにも共感できて・・・ということで、フォローさせていただきました。
      2016/09/05
  • この最終巻がでるまで、長かった。2014年の初夏刊行予定のはずが。。。
    その分、話も長くなっているようですね。
    最後に持って行くまでになかなか苦心した様に思える。ディテールにこだわった感じがする。

    仕手戦を仕掛ける場所と移動手段については、なるほど福井さんらしいと思ってしまった。

    この巻で「M」は暢人から真船に替わり、仕手戦を仕掛ける真船も「神」になった(神が降りてきて憑いた)。
    ”「神」は至る所にいて、人ごとに違う”というところは、いかにも日本的。
    「人類資金」という「神」が世界に浸透するには、やはり長い時間が必要だ。

  • 長かった物語もようやく完結。偽善的とか理想論とか色々意見もあろうが、個人的に思っていることと方向性が近いので、違和感なく読めたし、この巻自体は結構良かった。SDGsも本来こういう話なんだよね。

  • おもしろいけど、長すぎる。
    色々省いてコンパクトにまとめた方がよかったのかも?

  • 他でもチョコチョコ書いたけど、全体的に長い。冗長。
    回想とか心理描写とかモノローグとかがそれぞれ長くて多い。
    薄めの文庫本6冊を経ての分厚い7冊目、しかも6冊目までのあらすじ入り。時間のない方は最終巻だけ手に取ればよろしいかと。。。

    本筋の話に戻すと、拝金的な資本主義へのアンチテーゼとしての資本共生主義だとか、その辺の話は、まぁ頷けるところもあり。ありがちだけど。
    詐欺師が出てきて、防衛省、闇の秘密結社的組織、ロシアンマフィア、世界を牛耳るユダヤ系財閥、ジャパニーズヤクザなどなど、登場人物もオンパレード過ぎではなかろうか。涙。

    福井晴敏に期待してたのはこういうんじゃない。

  • 1-6巻計1,300頁超が半年間で刊行、その後一年半を空け約700頁の最終巻。堂々の完結。ひと月内でまとめて読んでよかった。

  • 資本主義の次を考えさせられた。共感する所が多い。共産主義が失敗した中、次は資本共生主義。資本共有主義でも良いかも。スマートフォンがこの物語を実践しているように感じる。無電農村に電化と共に今導入されているのはスマホ。東電の友人がブロックチェーンを使って搾取の無い仕組みをアジアの貧国で作っている。私も、日本食をキーワードにアセアン全域をカバーした搾取のないクローズドネットワークの構築をしようと思う。

  • 最終巻は約700ページの長編。ローゼンバーグの刺客・ハロルド一派との攻防、セキの国連総会でのスピーチ。人類資金に関するディスクロージャーが主題。真舟も、美由紀や暢人が無事に切り抜ける大団円と言えよう。反社会的勢力を利用してローゼンバーグ財団に挑む描写は違和感あり。最後に2020年の東京オリンピック後の世界"資本共生主義"が浸透しつつある世界を描きながら、ヤクザ酒田組長がM資金をネタに起業している描写に心がざわつく。

  • M資金を巡る壮大なストーリーが見事に終結する最終巻。絶対絶命だと思わされた前巻から見事に大逆転を図っていく展開がとてもワクワクさせられたし面白かった。真船がとてもかっこよく、爽快感もたっぷり。久しぶりに面白い長編を読んだ。

  • 人類に投資するM資金。資本主義のルールを無効にする為の闘い。

  • 筆者に溢れるパッション、問題意識があることは分かる。しかし、もし筆者が途上国にPDAを配ることで世界を救えると本当に信じていたら、その結果としてカペラ共和国で起こった出来事を中心に物語を書いたはずだ。政治信条は共感できないものの、そこを丹念に描いた「吉里吉里人」の方が小説としてよほど誠実である。こちらはそこを曖昧にして、株価操作や国連演説などの描写で読者を煙に巻いている。そもそも、真舟が表に出せない50億円を暴力団に見せて協力を求めるが、即奪われておしまいだろう。

  • 2016/11/23 Amazonより届く。
    2022/7/28〜8/14

    最後は怒涛の展開。ではあるが、人類資金のコンセプトが自分にはイマイチ響いてこなかった。

  • 『一つのルールで括れるほどこの世界は小さくない』

    資本という強大かつ実体のないステージを担保する”ルール”の虚像を相手取った長編小説の最終巻。とめどなく溢れてくる言葉を制御し切れない殴り書きのような記述は、文章を以て該題材を描写するこれ以上ない働きを為しており、映画ではなく本を選択する充分なインセンティブとなり得ると感じたが、他方で、”彼”の現実的な怖さをここまで世俗的に表現する必要はあったのかという観点では、多少思うところはある。映画というフィールドの異なる媒体と帳尻を併せる必要性との板挟みは慮るが、一つの活字作品としての完成体を読んでみたい気もする読後感である。

  • 資本共生主義は善意ありきというところに宗教性を感じる。描写が冗長な部分が多いように感じた。現在の資本主義構造に疑問を投げかけ、その描写が詳細な点は興味深く読むことができた。この文庫自体一冊目が安価な設定で、最終巻の価格が高いという商法は実に資本主義的。

  • 最初に前巻までのあらすじがあって助かりました。

  • いきなり文庫で発売され、すぐに映画も公開されるという今までにない手法で世に出てきた作品の最終巻をようやく読み終えました。

    6巻からずいぶんと間が開いたので、忘れてしまってるかなぁと思いましたが、冒頭に振り返りがありましたので、すぐにキャッチアップ。
    一気に引き込まれてしまった。

    詐欺師の真船雄一の頭の回転の速さは見ものです。敵を出し抜くシーンは爽快。
    でも、これでなんとかなると思っても、期待通り?裏切られる。
    そんなこんなで700ページ弱もある分厚い本ですが苦にならずに読めます。

    企業はリターンを得るために、短期的なものにしか投資しない。超長期な投資は確実性が低いのでやらない。
    サラリーマンなら何となく、ま、そんなもんだよね、と。
    また、ビジネス書でも株主の利益を考えないといけないとか書かれてるし…

    でも最近の潮流にはこの本に書かれているようなことも現実に評価されるようになってますね。本業できちんと儲けた上でになるので、なかなかハードルは高いけど、そういう取り組みをしている、しようとする心掛けが大事。
    自分自身がそんなことをできるかはまだわからないが、意識して考えるようにしよう。
    少しでもいい世界を目指して。

  • うーーん。とにかく説明が長い。
    ラスト100ページくらいからは
    一気に読め、楽しめた。
    情報収集には圧巻しました。

  • これまでのページ数の少ない巻からいきなり700ページの長編に。文章が冗長なのと登場人物の長いセリフ回しのため本当に読みずらかったが、何とか読了。資本共生主義の考え方は共感できる。

  •  人類資金最終話。アメリカ上陸と、セキ・ユーキットによる国連演説。そして、M資金の行方。長い物語の完結とあって、非常に重く長い刊となった。
     言葉の力、意志の力で世界のルールを変える。財団と市ヶ谷、ハロルド・マーカス、三つ巴の戦いは国連演説によって解放を迎えた。経済の仕組み、財を持つものがさらに富むというピケティ理論のような展開から解放されるには、ベンチャーでもクラウドでもなく、真船とMの友情と大きな善意による可能性に人はお金を惜しみなく使うという世界の動きが必要だった。世界が変わるきっかけをライブで見ているような感覚、まるでマララさんのスピーチのように。

  • 詐欺師の主人公が、資本主義社会のルールを操る組織と「M資金」を巡る話。

    資本主義に異を唱え、資本共生主義を主張する本でもある。本を読む事の最も楽しい事の1つに、「新しい世界を見る」と言うことがあると思う。本書は当に、新しい世界の息吹を感じる本で、主人公の詐欺師としての技量もさることながら、新世界の想像を見ると言うことにも興奮を覚えた。今の社会に閉塞感を感じる若い人にも多く読んでほしい作品だとお思う。
    最後の一文でうるっときた。

  • 恐らくは私と作者の福井さんとでは主義主張の違いはあるが、彼の言う「歴史が善意によって始まった」という言葉は信じていきたい。同様の言葉がガンダムUNICORNの逃亡するミネバと喫茶店のマスターの会話でも語られているが、そこがガンダムUNICORNで一番好きなシーンだ。

  • 693ページに及ぶ最終第7巻。だけれどもすんなりと読み終えた。地下鉄でのバトルをはじめ、アクションシーンもあり、いいんじゃないでしょうか。まだ映画版を見てないので、改めて見てみようかな?

    そして、何故かこの小説を読み始めると、ガンダムUCのサントラを聞きたくなる自分がいることに気づいたf^_^;)

  • 最終巻はやや劇画調でアクションシーンが多めか。
    ストーリーとしては勧善懲悪でストレートな展開

  • 作者の執念で書きあげた感がある。最後まで読んで初めて救いが得られるので、長編で経済新聞の様な話が長々と続いて辛い人にはつらいかもしれないが、是非、最後まで読んでいただきたい。作者お得意でもはやお約束になった感のあるスマートで何でもできる主人公となってもおかしくない若者そっちのけで中年おじさん頑張るという話は痛快。ただし、詐欺師のトリックが出来過ぎなのは、よくありたいという人が本来もっている善意がテーマだからであって、綱渡りの様なトリックは人の善意に基づく助けがあって初めて成り立ったと考え、余計な突っ込みはやめた方がよい。ここで語られた未来が我々の未来であってほしいと切に願う。

  • 長かった。最後まで読んだが長かった。
    結構面白かった。映画を見たせいか、真舟のセリフが佐藤浩市の声と立ち居振る舞いで脳内再生されたし、鵠沼もオダギリジョーの声と顔を連想させた。
    他の人は映画の中での印象がなかったせいか、そんなことはなかったが。

    仕手戦を仕掛けながら船で移動するのは面白い。
    最近の相場ではこんな話が中々ないので、面白かった。
    経済を話の中心に据えたのだから金融で一勝負しかけるのはアリだし、しかもそれが引っ掛けというシナリオがよくできている。
    真舟のキャラがまた良くできていて、この人物を主役にしたからこそ面白い話になったのだと思う。
    むしろ暢人いらなくね?囚われのお姫様かっていう役回りで、最後までいいところが無かった気がする。

    そして映画でもよく分からなかったけど、カペラから写真がたくさん送られたからどうなるもんだろう?としか思えなかった。
    石の演説だけではダメだったのか?映画化前提の作品だったから見栄えがよい場面づくりのためのアイデアではなかったか。

    文章が緻密に構成されているものの、映像があった方が分かりやすい場面も多く
    途中までのプロットで映画化したような、断片の継ぎ接ぎみたいなのではなく、7巻までをきちんと映画化して欲しかった。
    むしろ前後編かアメリカみたいな長編ドラマ化しても良かったくらいよくできてる。
    現代に蔓延している閉塞感をよく捉えてるし、それをブレイクスルーした場面には爽快感があった。
    映画は駄作だと思ったが、全部読んだ記念にもう一度見るのもアリかな。
    切れ切れで分かりにくい場面を補完するのが小説版、という訳でもないだろうが前回よりはマシに見れる気がする。

    10年後の終章は蛇足感が強いが、酒田とハロルドのための終章っぽい。
    それと主人公たちがどうなったかが分かるが、10年後にまだスマホを使ってる姿は想像付かないし、1年後でもおかしくないような想像図だった。
    日本の戦後と経済戦争の歴史小説みたいで中々面白かった。

  • 福井晴敏によるM資金にまつわる長編第7弾にして最終巻。
    囚われの身となった暢人を助けるため、真舟と美由紀、石が行動を起こす。その端緒がディスカバリーオイルというボロ株を使ってカペラの注目を高めることだった。
    まさしく、最終巻にふさわしく、これまで登場してきた主要な登場人物がそれぞれに果たすべき役割を果たしていく。その結末はややもすれば希望を持てなくなりそうな世の中に差す一筋の光明のような印象を与える。
    個人的には終章は蛇足のような気がするが、未来へ希望を持たせるという意味で作者の気持ちを表しているのかもしれない。
    亡国のイージスや終戦のローレライのような冒険活劇ではないが、手に汗握る展開も散りばめられた本作は福井晴敏の新たな代表作と言える。

  •  暴力団の力を借り、世界の株式市場を相手に壮絶な仕手戦を繰り広げ、ついに「M資金」の未来を背負い、大きな舞台へと上がる。世界は変えられるのか!

     全7巻の集大成となる本巻、700ページ近い大作でしたが、壮大なテーマにふさわしい読み応えのある1冊でした。

     経済用語の飛び交う前半は、金融関係に弱い自分にとって結構難しかったですが、それでも劇的な展開に緊張感と達成感が強く伝わってきました。

     後半の国連の舞台での戦いは、まさに手に汗握る展開を乗り越えて、世界に呼びかける言葉がとても印象に残りました。

     戦後70年を迎えた今日、一人一人の思いで世界は少しずつ変わっていけるのではと少し信じたくなりました。

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著者プロフィール

1968年東京都墨田区生まれ。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年刊行の2作目『亡国のイージス』で第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞、第53回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2003年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞を受賞。05年には原作を手がけた映画『ローレライ(原作:終戦のローレライ)』『戦国自衛隊1549(原案:半村良氏)』 『亡国のイージス』が相次いで公開され話題になる。他著に『川の深さは』『小説・震災後』『Op.ローズダスト』『機動戦士ガンダムUC』などがある。

「2015年 『人類資金(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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