女神のタクト (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779425

作品紹介・あらすじ

恋も職も失い、傷心旅行で神戸に流れ着いた矢吹明菜、三〇歳。偶然出会ったi-podを器用に操る老人に託されたのは、瀕死のオーケストラの立て直しだった。濃すぎるメンバーとMっ気満点の気弱なマエストロを束ね、凶暴でがむしゃらな“女神”の崖っぷちの挑戦がはじまる。読んだ人すべてに幸福が降り注ぐ笑いと感動の音楽物語。

感想・レビュー・書評

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  • うん!この雰囲気好き!
    (関西弁&ボケ&ツッコミ 笑)
    塩田さんの作品は、これだけで癒される。多分、癒される人の絶対数少なそうやけど(^◇^;)

    傾きかけたオーケストラを何とか立ち直らす話やけど、主人公以外、ほぼ関西弁やからかキャラが濃い!

    でも、共通してんのは、音楽が好き!パンチパーマのおっさんも、オタクも、訳分からん外人も!
    一番は、あのおじいちゃんか…
    願いは叶うとも言うけど、こんな運命のボケ&ツッコミの出会い…
    そこから、徐々にやけど、歯車が上手く噛み合っていく。というか、無理矢理噛み合わしていってるんかな。
    でも、前を向いてないとあかんって事やな。
    こんなポジティブに生きていけば、いつか降って来るんかな。奇跡は…
    爽やかな感じで、良かった!




    奇跡は諦めない奴の頭上にしか降りてこない。奇跡ナメんじゃないよォ。
    (ワンピース)

  • 不倫の挙句何となく勤めた会社を辞めた人生捨て鉢女がひょんなことからポンコツマエストロと崖っぷちオーケストラを蘇生させるため奮闘する物語。

    最初はコメディ色強めな描写に戸惑いつつも読み進めるとそれが味わい深く、だんだんと物語の内容と調和していく様子がラストのラフマニノフの描写と相まって面白い読書体験だった。

  • 傾きかけたオーケストラを立て直すお仕事小説。前半は作者特有のギャグが満載でとてもテンポよく進むが、後半はやや失速気味に。この本のミステリー要素といえば主人公の明菜の過去と、マエストロの拓斗か指揮を下りた理由だが、それが明かされるのがクライマックスとなるクリスマスコンサートの盛り上がりに差し込まれており、個人的には演奏に向けて高まる気持ちが削がれました。拓斗か指揮に復帰した理由が「明菜に拉致された」ではなく、オーケストラの面々との信頼の構築で過去を払拭したと思われるがそこを強調するため、過去は早い段階で暴露しても良かったと感じる。また、コンサートの幕間に語られる明菜の暗すぎる過去は悪い余韻を引きずってしまった。
    お仕事小説モードで読んでいたので楽団の行く末ももう少し読みたかった。
    やはり作者に期待するところは、前半のギャグ路線かな。話の筋から逸脱する程のギャグで事務局長である別府のような個性的なキャラを深堀りして欲しかったです。

  • 事務局長が段々好きになりました。

  • 音楽系のお話は演奏の描写が鍵で、作家さんは言語化するのが大変だろうなあと思いながら読みました。
    クラシックは敷居が高そうに感じますが、こちらのお話は演奏会までの沿革が中心なので、クラシックがわからなくても読み易いのではないでしょうか。
    個人的に好きなのは、それぞれの音楽への向き合い方。生い立ちや家族がメインですが、詳細に描かれているので、それらに触れていくのがとても面白かったです。

    ただあくまでフィクション感を拭えず、リアリティはないかな。小説なので当たり前なのですが、私には現実感がないので入り込めませんでした。
    それと、「男が」「女が」と度々出てくるので今の価値観と異なります。キャラが個性的でいいのですが、今の時代にあわなそうです。

  • 傷心失業OLが好きだったクラシックと再開するーーのが冒頭なので、爽やかなお仕事小説かなと期待して読み始めてみたら、初対面の人に傷害しまくるので新喜劇のノリで読まないといけないヤツかぁ……と頑張ってみたもののギブアップしてしまった
    ギャグがどうしても肌に合わなかった……

  • やはり塩田作品は面白い。
    一気に読みました。
    各キャラに特性があって、その裏があって。
    感動しました。

  • 職と男を失った女性のお話
    傷心旅行?で行った神戸であった老人から頼まれたバイトを引き受けて・・・
    何よりこの主人公の女性がよかったです
    周りの人物たちもみな個性があってとてもよかったです
    それに加えて物語もすいすい展開されました
    主人公はバイトをなしとげ試用社員として楽団の再建に奔走する姿に楽しませてもらいました

  • 仕事も男も捨てて、捨鉢に神戸の海岸にながれついて、iPodで音楽を聴く老人と出会い、京都から指揮者をつれてくれば成功報酬、という幕開けから、あれよあれよの疾走感。つぶれかけのアマチュアオーケストラの、創設者、おしかけ侵入社員、絶賛迷走中の天才指揮者、ひとくせもふたくせもある職員たち、音楽好きで目のキラキラした楽団員たちの繰り広げる、ドタバタ成長ストーリー。美しくも勢いとパワーと腕力のある主人公明菜が、楽団員たちも思わぬ方向へかけまわって、きっかけをつくって、指揮者を立ち直らせ、楽団に活気をもたらすところがほほえましく。明菜が亡父に抱く後悔、指揮者一宮がつまづいたきっかけ、創業者白石の果たせなかった思いはありつつも、「罪の声」「騙し絵の牙」を読んだあとだと、まっすぐな小説だな、と思った。ラフマニノフのピアノ協奏曲3番、エルガーの交響曲2番、エニグマ変奏曲のニムロッド変奏、ヒゲとボイン…出てくる曲も気になる。

  • 関西弁全開の作品を読むといつも、関西人以外の感想が気になります。内容以前に関西弁がひっかかって読みづらくはないのだろうかと心配に。生粋の関西人としては、こりゃもうたまらん。稀にある、読むに耐えない関西弁ではなく、正しい関西弁。

    『拳に聞け!』で魂を射抜かれ、過去の作品に遡り。パンチパーマのオッサンを漆黒のブロッコリーに例えるセンスにもう脱帽(笑)。自信を失ったマエストロが破天荒な女に引きずられてステージに戻る。

    前半はさんざん笑わされ、『天城越え』で涙腺ゆるみ、オーケストラの演奏を文字で読んで完全に涙。好き。

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著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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