地の底のヤマ(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779579

作品紹介・あらすじ

九州・三池炭鉱。一人の警官を軸に、熱き男たちの生き様を描いた話題作の下巻。吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    三池炭鉱を舞台に描かれた熱き人間ドラマ。地元の警察官・猿渡鉄男は、「名刑事」だった父の死の謎を追い続けていた。時代は、昭和から平成へ。斜陽化する炭鉱の街、必死に生き抜く人々、時代を反映した数奇な事件。すべてが折り重なって解明された、父親殺しの真相とは?第33回吉川英治文学新人賞受賞作。

    長編だからこそゆっくりと分かってくる主人公の人間性。最後はほんのりと暖かくなる良い話だった。犯人はとても分かりやすくミステリーと言うより人の暖かみが伝わる人間模様の物語であった。

  • このミス2013年版5位。三池炭鉱のある大牟田市を舞台とした重厚な大河ミステリー。1963年に警察官である父親を失った主人公が警官になってからの1974年から2010年までの約40年間を10年毎ぐらいに発生する事件を解決しながら、最後には未解決の父親殺しの真相に迫っていく話。半世紀のそれぞれの時代毎の大牟田のようすや、仲間との関係が克明に記録されている大作。郷土愛と歴史の記録者としての使命感に溢れており、書き切った感満載。その分読む方もかなり骨が折れた。背景説明等も多く緻密な表現も相まってかなり分量が多く退屈な部分が多い。読み進めるのは困難だけど読み終われば感動する系のやつはあんまり好きじゃないのだけど、この本は緻密な伏線と伏線回収時にもわかりやすく反芻してくれるとことか、ところどころ、興味をつなぐ工夫もあってなんとか最後まで行き着けたのでまあ良いかと。ガッツリ読みたい人や時間のある大作好きの人にはとても良い本ではないかと思う。軍艦島とかたまに写真で見ても何これって思うけど、この本読んで炭鉱の歴史ってのがすごく勉強になった。文庫本の解説も良かった。

  • 2023.02,21
    福岡県大牟田市を舞台にした大河ミステリの力作である。
    まず、大河ドラマの要件となるキャラクターそれぞれの深みがある部分が良い。
    ヒトの弱さ、「オンナ」の生き物としての力強さが描きぬかれている。
    そして、人はヒカッしゃんであれ、主人公であれ、江崎のおっちゃんであれ、「生きている」のではなく、「生かされている」のだ。
    私はこの歳になってもまだそれが体得できていないよな、口先だけだなぁとしみじみ感じている。
    最後にミステリとしても上等!犯人、さらにそこからのもうひとひねり。参りました。

  • 長いなあ
    しかし読みごたえがあった
    舞台となる大牟田は私もよく知る街
    とにかく引き込まれた

    どちらかというと、苦手とする作家である
    西村健は、綿密な取材に基づく細かいディテールの上に、荒唐無稽な物語を乗せる人という印象である
    その事実と虚像が嚙み合っていないと感じてしまうのが常で、感情移入ができなかったのだ。
    しかし、この作品は別格
    見事に描き切ったといっていいだろう
    ラストは泣けて仕方なかった
    国産エンタメの代表作といってもよいだろう

    佐々木譲さんの傑作と似すぎてるところがあるが、これくらいは勘弁してやろう(笑)

  • 5月-2。4.0点。
    現代に向かっていく下巻。大牟田の衰退が顕著に。
    本人も、密漁捜査をしながら、父の殺人事件の真相を追う。
    思ってもみなかった父親の別の貌。

    上下巻で1,400頁と、読み応え有り。
    ラストは救いがあって良かった。面白かった。

  • とても長く、そして重い物語でした。
    そして、長さに基づく深みがありました。
    1人の町と人間の持つ歴史の重みが読了後にずっしりと感じました。
    とても綿密に積み重ねられた物語。
    面白かった。

  • 漁業と炭鉱の街を大牟田を体現するのが「ヒカっしゃん」らしい。「ヒカっしゃん」の身体が弱ってきたことと、漁業と炭鉱の街であった大牟田の衰退と重なる。しかし、その中でも次の世代の人たちによる新しい大牟田の息吹も伝わる。
    長大だが読み応えがあり、中だるみせずに最後まで読める。
    しかし、黒煙の向こうに衝撃の事実を見た主人公は、なにもかも飲み込んで、新しい大牟田をどこまで見守っていけるのだろうか?

  • 長い果てに現れたものと行きついたもの。
    時間の経過と壮大。

  • 三池炭鉱を舞台に描かれた熱き人間ドラマ。地元の警察官・猿渡鉄男は、「名刑事」だった父の死の謎を追い続けていた。時代は、昭和から平成へ。斜陽化する炭鉱の街、必死に生き抜く人々、時代を反映した数奇な事件。すべてが折り重なって解明された、父親殺しの真相とは? 第33回吉川英治文学新人賞受賞作。

  • 下巻は昭和から平成に。主人公の猿渡鉄男は、幼い娘を不慮の事故で喪い、妻とも離婚…父親の死の真相を追う猿渡…

    本当に日本冒険小説協会大賞受賞作なのか…そう思う理由は…

    主人公が心配になるくらい、やたら飲み食いする。特に酒の方は読んでいて、主人公の身体が心配になるくらいだ。結局は主人公が父親の死の真相を暴くのだが、あまり主人公には積極性が感じられない。娘の不慮の死、離婚といった主人公の人生を左右する出来事が、やけにさっぱりと描かれ、旧知の友との飲み食いばかりが、やたら描かれる。

    冒険小説ではない。

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著者プロフィール

1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。労働省(現厚生労働省)勤務後、フリーライターに転身。96年、『ビンゴ BINGO』で小説家デビュー。『劫火』『残火』で2005年と10年に日本冒険小説協会大賞(第24回、29回)、『地の底のヤマ』で11年に第33回吉川英治文学新人賞と第30回日本冒険小説協会大賞を受賞。14年、筑豊ヤクザ抗争を描いた『ヤマの疾風』で第16回大藪春彦賞受賞。他の著書に『光陰の刃』『最果ての街』『目撃』『激震』などがある。本作は『バスを待つ男』に続くシリーズ第二弾。最新刊は、シリーズ第三弾の単行本『バスに集う人々』。

「2023年 『バスへ誘う男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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