PK (講談社文庫)

著者 : 伊坂幸太郎
  • 講談社 (2014年11月14日発売)
3.23
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  • 本棚登録 :3936
  • レビュー :400
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779654

作品紹介・あらすじ

彼は信じている。時を超えて、勇気は伝染する、と――人は時折、勇気を試される。落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。その姿に鼓舞された少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られ、小さな決断がドミノを倒すきっかけをつくる。三つの物語を繋ぐものは何か。読み解いた先に、ある世界が浮かび上がる。

PK (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • おもしろかったです!
    今までにあまりなかったSF要素に???となる部分もありましたが…

    「PK」「超人」「密使」。短編のようで長編。
    いつものようにちらつく伏線とパラレルワールドの関係。

    小説家の父親の「次郎君」のお話。伊坂さんのこういうセンスが大好きです。

    「臆病は伝染する。しかし、勇気も伝染する」
    見えない力と闘う父親。赤ちゃんを助けた大臣。サッカー選手。戦隊ヒーロー。
    誰かの勇気が誰かに勇気を与える。ヒーローとは?正義とは?
    得体のしれない不安感が漂う作品でありながら、なぜか勇気をもらえる不思議な作品でした。

    解説に書かれてあった、伊坂さんの仮面ライダーのお話がとてもよかった。

  • まず何と言っても、文庫本の表紙のデザインが、素晴らしいですね。大好きです。単行本の表紙のデザイン、ドミノが描かれたあの表紙の方が、この物語の趣旨をちゃんと伝えているような気はするのですが、個人的には、文庫版の表紙の方が、断然好きですねえ。

    曇り空のした、画面の右側から、左側に向かって、大地を疾駆している、一人の男。緑の服。赤のマント。地面に映る、彼の姿。不安を感じもするし、安らぎを感じもするし、なんというか、不思議です。「魔王」の帯にかかれていた筈の文句と同じですよね。ひたひたと忍び寄る不安と、青空を見上げる清々しさ。それはもう、どっちも感じてしまうのだ。いやしかし、あの帯の文句、名キャッチフレーズですよねえ。そういう意味では、「魔王」「モダンタイムス」の流れに、きっちり沿っている作品?とも思いました。政治的でもあり、警句的でもあり、不穏であり清々しくもあり、全て、講談社文庫ですし。おもしろい偶然かなあ?と。

    伊坂さんの作品は、デビュー作の「オーデュボンの祈り」が圧倒的に好きでして、それ以外の作品は「面白いけど、むう。なんだか、こう、ちょっと、なんだか、期待とは違った、、、」みたいに思う事も多かったのですが、この作品は、もう、100%、伊坂さん全開、だなあ、とかね、思いました。

    気の利いたセリフ。思わぬ展開。世の中をちょっと斜に構えつつ、それでも、決して希望を諦めない姿勢。つまり、もう、大満足。ってことです。これはもう、面白すぎました。大満足、ってことです。

    「PK」「超人」「密使」それぞれ、もともとは、全く別個の物語だった短編らしいのですが、それを微妙に手を加え、3つで一つの長編、一つの物語、として完成させたその手腕、お見事ですねえ。叶うならば、それぞれの、手を加えられる前の短編としての状態も、読んでみたいものですね。そう思わせてもらえるだけで、こう、すっげえなあ、って思います。

    それにしても、伊坂さんの作品は、ホンマにこう、会話文が見事ですよねえ。真似したくなるような名台詞が、てんこ盛り。そういう意味では、小説でありながらも、あたかも偉人の名言集のようです。「イチローの名言集」「エジソンの名言集」「カーネギーの名言集」みたいな感じ?ですかね。とにかく、こうグッとくる言葉を、なんでこうも、小説内にちりばめることができるのかしらね。上手いなあ~って思うんですよね。「これが、こうなります」という一言が、何故に、これほどまでに重要に成りえるのか?凄いです。

    伊坂さんの、世の中の見方、といいますか、なんだか色々あるけど、それはそれで色々あるけど、そんな上でも、自分の人生を楽しみましょうよ、みたいなスタンス?それはもう、とても好きですね。悲しみを抱えつつも、根っこのところで、絶対的に楽天的、みたいな。日々、こうありたいな、って思いますね。それはもう、素敵な事だと思います。

  • 長くなる旅にはだいたい2冊以上の文庫本を持って往く。一昨年時間があるから読めるだろうと思い、孫文評論集などという読みこなすのに時間がかかる本を持っていったら、見事に1ページも開かないで旅が終わったことがあったので、今回は軽めの本をリュックサックに入れることにした。

    と、思っていたのだ。ところが、あとで知ったのだが、この本は伊坂には珍しく「群像」という文芸書と「NOVA5」というSF専門誌に寄稿した短編がベースなのである。伊坂にしてはかなり重めの作品だったのである。

    私は旅の間に最初の短編「PK」しか読めなかった。それ程に読み応えのある短編だった。しかも読み終えたのは、旅の終わりの飛行機の上である。そこで、私はキンキンと鳴る耳から一生懸命空気を抜いて減圧しながら、この旅で幾つもあった選択の機会に試されていたはずの「私の勇気」のことを考えていたのである。

    いい小説に出会った。私は満足した。

    と、思っていたのだ。ところが、「超人」という次の短編を読んで、私の感じた「感想」が覆され混乱した想いを抱くようになる。マア最後の最後で、何となく救われたりはするのだが。

    むつかしい小説に出会った。「PK」と重なりながら、少しづつずれている世界が「超人」の世界である。これはパラレルワールドかな、と思っていた。

    と、思っていたら、何ということか、次の「密使」は、まさにそのパラレルワールドを説明しながらも、パラレルワールドにならないようにしようという青木豊さんという計測技師長が登場する。

    私はかなり混乱したのだが、世の中にはかなり頭の良い人がいて、巻末の解説で一応の説明をつけていってくれている。

    と、思っていた。ところが‥‥。
    2015年1月7日読了

    • takanatsuさん
      kuma0504さん、こんにちは。
      takanatsuと申します。
      いつもレビュを参考にさせて頂いています。
      この本のレビュ、kuma0504さんの混乱が伝わってきました。
      すごくすごく気になります。
      最後の「ところが・・・」に続く言葉はまだkuma0504さんの中で定まっていないのかもしれないと思ったり。
      こんなにも揺さぶる短編ていったい…と思ったり。
      とにかく気になりました。読んでみたくなりました。
      2015/01/13
    • kuma0504さん
      takanatsuさんありがとうございます。
      感想を書き始めたら、なぜか文章もパラレルワールドっぽくなってきたので、その方向でまとめてしまいました(^_^;)。
      伊坂幸太郎は読んだことはありませんか?これが最初の伊坂幸太郎体験になると、ちよっとハードル高いかもしれませんが、エンタメのようでいて、かなり鋭く社会のことを考えていて、私は好きです。それでいて、かなりエンタメで社会派と「絶対」思われたくないと思っているかなりへんなやつです。あまり混乱はしていなくて、実は彼を誰よりも理解していると自負していると(勘違いの可能性もありますが)思っています。
      2015/01/14
  • 「勇気は伝染する」というコトバが横串になっている。「間違いは、その間違いを正すことを拒否するまで、間違いではない」の場面は好きだなー。

  • いろいろつながってるのが楽しい。

  • 結局のところ何がどうなのかよくわからないままのふわっとした結末だけど、そこがまた良い。いつもの伊坂ワールド、心地良い読書体験をくれる。

  • 伊坂幸太郎さんの「PK」読了。「人は時折、勇気を試される」なんとも興味をそそられる文章。PK、超人、密使の3編からなる物語。一つ一つの物語は面白い。ただ、残念ながら、私には読み終わった後、話の関連性のすごさに驚くということには至らなかった。これは何度か読んで味わう作品なんだなと思った。推理小説が好きな人には、もっと楽しめるのかなと。また、今度、読んでみたい。

  • 読み終わった時、「誰かと語り合いたい!!」と強く思った。

    「勇気は伝染する」というメッセージが心に響いた第1話「PK」。小津は2002年ワールドカップ出場がかかった最終予選のPKの場面で、脅しに屈して外すか、信念を通して決めるかの岐路に立つ。
    …かなり感動した。果たして自分は勇気を奮えるか、と自問自答しながら読んだ。

    そしたら第3話「密使」で、第1話の「大臣の父親の浮気相手が電話してきた時、ゴキブリが出たため妻が2階に避難していて電話に出られず浮気の事実が露見されなかった」ところのゴキブリが未来人(に依頼された「僕」)によって奪われ、そこが分岐点となって成立したのが第2話「超人」の世界ってことでしょ。そこでは第1話でフランスだった2002年ワールドカップの開催地が日韓共催に「軌道修正」されてるじゃん…。

    え、ってことは、ゴキブリの有無の分岐点のせいで、あんなに感動した第1話の世界は無かったことになったってこと??
    あんなにイイ話をこうも潔く幻にしちゃうー??

    っていう私の魂の叫びを、誰かと共有したかったです…。

    正直、まだいろいろ良く分かってないんだけど、多分大臣は将来的に菌が蔓延する原因となる人で(意図せずボタンを押しちゃうとか、サインした法案が元になってとか)、その阻止のために、さまざまな時点の未来人がさまざまな時点の分岐点で、軌道を変えようとしてる話なんだと思った。
    第1話で小津達を脅したのも、作家に原稿を修正させようとしたのも、その時点を分岐点と判断した未来人(ただし大臣を脅したのは単なる政治的悪人だと思ってる)、秘書の次郎くんも未来人、第2話で毬夫が変なメール読めるようにしたのも未来人、毬夫の暴漢も助けてくれたのもどっちも未来人。
    ヒトの人生は外からの計り知れない力で左右されるものなのよ…。

    (第1話の作家=大臣の弟説にはかなり納得したんだけど、それがホントならもう少し示唆的な描写があってもいいのに、とも思う)

  • 自分の理解力が衰え過ぎて、全貌を掴み切れてない。
    世界の分岐点は些細な所にあるということは良くわかった。わかったんだけどもどういう事か誰か説明してえええええ。

  • 突然思い立って久しぶりに手に取ったけど
    やっぱり大好き伊坂さん。めっちゃ細かく
    て誰にも共感得られないとは思うんだけど、
    複数人が連なって話すときの会話文の文字
    数を合わせて文末の位置を並べるところが
    自分的に地味にツボで仕事でよく真似して
    使って1人悦に浸ってたりします最近。

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