日御子(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779715

作品紹介・あらすじ

代々、使譯(通訳)を務める<あずみ>一族の子・針は、祖父から、那国が漢に使者を遣わして「金印」を授かったときの話を聞く。超大国・漢の物語に圧倒される一方、金印に「那」ではなく「奴」という字を当てられたことへの無念が胸を衝く。それから十数年後、今度は針が、伊都国の使譯として、漢の都へ出発する。

感想・レビュー・書評

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  • 卑弥呼が出てくるのかと思ったらそうでもなく、割と平坦な物語なので、上巻の終わりまでなかなか話に入れなかった。古代の通訳さんという設定は面白い。

  • 邪馬台国のお話かと思ったらもっと前の時代から続くお話。語り部が変わっていくので、過去の人の話が出ると懐かしくなる。

  • 面白い。帚木 蓬生氏の本は「国銅」「水神」につづき3冊目となるが、どれもすばらしい歴史小説だと思う。本小説は日本に文字のない時代の話であり、歴史を語る文献は日本には存在しない。数少ない、事実と事実の間を実にうまく肉付けし違和感のない小説に仕上げている。はるかいにしえの時代は、確かにこのような時代であったのだろうと納得できる内容であった。

  • 2017.2.1(水)¥250(-2割引き)+税。
    2017.3.14(火)。

  • 「日御子」というタイトルにも関わらず、上巻には卑弥呼さん出てきません。使えきという通訳の一族を中心に話が進んでいきます。
    テキストや音源がたくさんある現代においても、語学の習得は難しい(少なくとも私には)のに、この当時、中国語をモノにするのは本当に大変だったろうなぁと当時の通訳さんの努力には頭が下がります。
    うろ覚えですが、通訳一族の家訓で『毎日の習慣は才能に勝る』みたいな言葉があったので、私もコツコツ頑張ってみようかな、という気持ちになりました。
    志賀島の金印についても、なぜあんなに貴重なものが忘れ去られていたのか、というのが書かれていて、作者さんの想像であることを理解していても、なかなか面白かったです。

  • フィクションとは言え魏志倭人伝の世界が広がるようだった。

  • 大昔、まだ神話と歴史が混ざっているような時代に生きた通訳の物語。
    ろくに資料なんか残ってないと思うんだけど、生き生きと臨場感溢れるこの描写はスゴイよ。

  • 代々、使譯(通訳)を務める〈あずみ〉一族の子・針(しん)は、祖父から、那国が漢に使者を遣わして「金印」を授かったときの話を聞く。超大国・漢の物語に圧倒される一方、金印に「那」ではなく「奴」という字を当てられたことへの無念が胸を衝く。それから十七年後、今度は針が、伊都国の使譯として、漢の都へ出発する。

  • まず本屋さんでふと目に入ったのが題名の『日御子』。あれ、卑弥呼じゃないんだー。
    なんだか気になって購入し早速読むとどんどん引き込まれていきました。

    歴史小説の中でも古代の日本の物語は少ないのでとても新鮮でした!

  • 紀元一世紀ごろの日本。漢の国から移民して来たらしい「あずみ」一族は、九州各地の小国家で異なる文字(阿住、安曇、安澄)を当てながら使譯(通訳)を務めていた。その内の那国出身の安澄を九代にわたって描いた歴史小説です。
    最初の主人公は那国の使譯として「漢委奴國王」印を得た使節団で働き、その子孫たちも伊都国、弥摩大国(邪馬台国)で活躍します。時に女性が主人公になり、その時は日御子(卑弥呼)に仕える巫女です。

    最近の帚木さんらしく悪人はおろか、品性卑しい人さえも登場しません。全べての登場人物が前向きの善人という設定です。様々な苦難もありますが、その原因は時代背景や自然です。
    そのせいか、やはり少し物足りなさを感じます。物語として大きなうねりが少なく「綺麗ごと過ぎでしょう」という感じです。しかし、当時としては大冒険の漢への渡航、馬車、製鉄、度量衡などの様々な発明品との出会いなどで読ませて行きます。それで物語を成立させていくのですから、なかなかのものと言えます。
    帚木さん自身が福岡出身・在住の為か、邪馬台国九州説で描かれていますがその辺りは主題では無く、あずみ一族に伝わる3つの教えが主要なテーマになって居ます。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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