連城三紀彦 レジェンド 傑作ミステリー集 (講談社文庫)

著者 :
制作 : 綾辻 行人  伊坂 幸太郎  小野 不由美  米澤 穂信 
  • 講談社
3.85
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本棚登録 : 271
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779814

作品紹介・あらすじ

ミステリーに殉じた作家を敬愛する四人による驚嘆のアンソロジー。巧緻に練られた万華鏡のごとき謎、また謎。遊郭に出入りする男の死体が握っていた白い花に魅せられた若い刑事(「桔梗の宿」)、月一度、母の愛人と過ごす茶室に生涯を埋めた女(「花衣の客」)ほか。綾辻×伊坂、巻末対談でその圧倒的な魅力も語る!

感想・レビュー・書評

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  • それにしても今更ながら
    連城三紀彦はスゴい!
    流麗な筆致と驚愕のトリック。
    その落差が生み出す甘美な眩暈。
    セレクトしたものだから当然だけど、
    すべての短編に
    驚愕の反転が待ち受けるストーリーの妙にお腹いっぱいになりました(笑)


    終戦間近な山村を舞台に
    作家と妻、そしてある日突然現れた若い女が織りなす愛憎劇を日記形式で描いた綾辻行人選出の
    『依子の日記』、

    大病院の内科部長の妻の投身自殺に隠された真実。
    暴こうとする者と隠し通したい者の心理合戦と二転三転する展開の妙に誰もが引き込まれること請け合い!
    伊坂幸太郎選出の
    『眼の中の現場』、

    昭和3年。娼家が居並ぶ盛り場近くの川で発見された男の絞殺死体。手にはなぜか白い桔梗の花が握られていた。警察学校を出たばかりの若い刑事は鈴絵という幼い娼妓が何かを隠してると知り、彼女を訪ねるが…。小野不由美選出の哀切極まりない傑作
    『桔梗の宿』、

    1981年に実際にパリで起こった日本人留学生による猟奇殺人事件をモデルに、殺人犯「S」への異常愛を描いた
    綾辻行人が偏愛する異色作
    『親愛なるエス君へ』、

    母の不倫相手を25年もの間
    密かに思い続けてきた女の情念。
    恋愛小説にミステリー要素が見事に融合した米沢穂信推薦の重厚作
    『花衣の客』、

    死の間際に書いた母から息子への手紙。そこに隠された驚愕の真実に誰もが唖然とすること必至の
    伊坂幸太郎イチオシのミステリー
    『母の手紙』

    の6編の短編を収録。

    個人的なベストは「戻り川心中」に収録の
    美しく哀切極まりない『桔梗の宿』だけど、
    綾辻行人が絶賛するのも頷ける 『親愛なるエス君へ』も
    かなりのインパクトだったなぁ~( >_<)
    (米沢穂信の『儚い羊たちの祝宴』はかなり影響受けてるように感じた)


    いくら見事なトリックを決めても綿密な設計図どうりに作られた小説には人工的な匂いがして
    よくできてるとは思っても、良い物語だったとは感じない。
    連城さんの凄さは、
    トリッキーでいて、なおかつ物語に魅力があるという点です。

    作品に漂うあの情念や叙情的な香りを見れば一目瞭然だけど、
    読み手の心を乖離させるスキを与えないほど
    人間を巧みに描いてるから、
    トリックより先に物語の世界にハマってしまう。

    そして読みながら騙されることを今か今かと待っていて、
    今もうすでに騙されているのに
    読んでる自分はまったくそれに気づいていないという(笑)
    そんな職人芸。
    (読む者に罠を決して気づかせないのは
    その破綻のない美しい文章の賜物だと思う)

    ミステリー好きなら誰もが分かる、
    「騙される喜び」を堪能できるのも
    連城ミステリーの醍醐味なのです。
    (しかもこのすべてを短い短編の中でやってしまうところに連城さんの凄さがあります)

    そして
    連城三紀彦への愛と憧憬を二人が全力で語った、
    巻末に添えられた綾辻行人×伊坂幸太郎の対談も読み応えアリ!
    (連城さんの名を売るため、自らPOPを描いて本屋に売り込みに回った伊坂さんのエピソードにビックリ!)


    初心者に向けて作られたアンソロジーなので連城ミステリー入門にもピッタリだし、
    選出作家のミステリーの好みや
    憧れのテイストが分かるのも面白いです。

    まだ未読なミステリー好きや
    ドンデン返しで見事に騙されてみたいアナタは是非ぜひ。

    • kwosaさん
      円軌道の外さん、おひさしぶりです。

      円軌道の外さんが『桔梗の宿』をベストに選んでくれて嬉しい!
      傑作ですよね。
      ハルキ文庫版『戻り...
      円軌道の外さん、おひさしぶりです。

      円軌道の外さんが『桔梗の宿』をベストに選んでくれて嬉しい!
      傑作ですよね。
      ハルキ文庫版『戻り川心中』は、表題作をはじめ、『桔梗の宿』級の傑作、いわゆる「花葬シリーズ」全八編が勢揃い。超おすすめです。
      いま読むなら、光文社文庫『戻り川心中』『夕萩心中』の二冊に分冊されているので、そちらの方が入手しやすいかと。

      そしてハルキ文庫から復刊された『宵待草夜情』も「花葬シリーズ」の流れを汲む傑作ぞろい。
      収録作『花虐の賦』は『桔梗の宿』『戻り川心中』に匹敵する超絶ミステリ。
      個人的には、能の幽玄の世界とミステリを融合させた『能師の妻』にものけぞりました。
      日本画家、池永康晟(いけながやすなり)の現代美人画をあしらった表紙も素晴らしいです。

      連城三紀彦はどれも凄いけど、僕は明治大正・昭和初期くらいの時代設定の中で、男女の心の機微とミステリを融合させた『戻り川心中』『宵待草夜情』の二冊(ともにハルキ文庫)が、作家の本領を遺憾なく発揮した「連城'sベスト」だと思います。
      2015/09/22
  • 伊坂さんのおすすめの作家さんと聞いて…

    どれもこれも、一筋縄ではいかないお話ばかりでした。予想を裏切られ、そのまた想定をひっくりかえされ…
    家で読みながら「えっ…嘘だろ…?」「え、あっ、…あぁー…うわぁー…」と思わず呟くことが何度もありました。

    お気に入りは「眼の中の現場」です。2人の男が繰り広げる会話による逆転劇。緊張感が半端ない。
    切なく、儚い少女の恋を描いた「桔梗の宿」もよかったです。

    ミステリーはあまり読まないからわからないのですが、とても文章が美しいなぁと感じました。妙に艶のある文章に時折ぞくりとします。そして、どのラストもやるせない気持ちになります。
    短編でこれだけの濃厚な世界を描き、しっかり読ませるってなんだかすごい。

    綾辻さんと伊坂さんの対談が熱かった!

  • 綾辻行人、小野不由美、伊坂幸太郎、米澤穂信の4人が選んだ連城作品のアンソロジー。巻末には綾辻・伊坂の対談も収録。
    連城三紀彦の作品はあまり読んだことがなかったんですが、この中に含まれていた花葬シリーズは読んでみたいなーと思いました。

    ・依子の日記/選者:綾辻行人
    日記の文体を使った叙述トリック。
    妻と夫が邪魔な女を殺したと見せかけて、殺されたのは妻だった。入れ替わっているのは犯人と被害者だけではなくて、登場人物の心の中が実は……という点が特筆できるかと。
    犯人の一人である夫は、真の加害者である女(浮気相手)の方に気があるかと思っていたのに、そうではなかった。
    そこに、ただの叙述トリックものと言い切れない素晴らしさがあると思いました。

    ・眼の中の現場/選者:伊坂幸太郎
    医師・岡村の元を訪ねてきた青年は、最初脅迫者なのかなと思いきや、どうも読んでるとそうではないっぽい気がする。じゃあこの青年が真犯人なのかな。それともやはり岡村が殺したのか……。
    そんなことを思っていたんだけど、どれでもなかったのがゾッとした。
    ある意味、この話で死んだ奥さんの死は完璧というか、奥さんの一人勝ちと言うか。

    ・桔梗の宿/選者:小野不由美
    花葬シリーズからの一遍。
    終盤になって「八百屋お七」の話が出てきてようやく合点がいった。
    謎が明かされると、鈴絵がなぜ事件を起こしたのかと、その時の被害者の気持ちがわかる。
    不幸の吹き溜まりみたいな選択肢しか取れなかった登場人物たちが皆切ない。

    ・親愛なるエス君へ/選者:綾辻行人
    選者の綾辻さんが冒頭のコメントで「偏愛してやまない一作」とおっしゃってたけど、読み進めて2ページで全力同意。
    パリ人肉事件を下敷きにしたお話です(エス君とはその事件の犯人を彷彿とさせている)。
    これも叙述トリックのような感じなんですけど、まさかまさかそこに行くとは! みたいな展開でした。

    ・花衣の客/選者:米澤穂信
    母を愛人にしていた老人・飯倉の愛する者が本当は誰だったのかが驚きのポイント。
    『満願』を書いた米澤さんがこれを選んだ理由が何となくわかる感じ。
    一人の男の偏屈な愛をめぐる、時代を超えた女たちの人生。

    ・母の手紙/選者:伊坂幸太郎
    嫁姑の話と見せかけて……。

    最後に収められていた、綾辻・伊坂両氏の対談も面白く読みました。
    連城さんを熱く持ち上げつつ、それよりも多く島田さんを大絶賛すると言うw
    「戻り川心中」「暗色コメディ」は読んでみたくなりました。

  • 「親愛なるエス君」がいいかな。あのエス君。
    「眼の中の現場」もよかった。
    恋愛とミステリがいい具合にあわさってる。

  • これこそまさにレジェンドだった、ミステリ短編においての連城氏の作品完成度は余人を寄せ付けない。また選者がいい!ちょっとした講釈があるのだが、うんうんうなずいてしまう。

    これほどのものを読むと、次に何を読んだらいいのか?なんとも罪作りな一冊なのだ。

  • 情念の物語が6編。
    それだけでなくどの短編でも気持ち良く騙された。
    選者が好きな作家さんばかりなのでこの人の好みはこうゆうのかという楽しみ方も出来て十分堪能。
    しっとりとした文体もあまり読んだことがないので新鮮だった。

  • なぜいままで連城三紀彦さんの著書を読んでこなかったのかと甚く後悔しました。逆にこのアンソロジー企画があったからこそ連城ミステリーの魅力を知ることが出来たので大変感謝しています。
    編者がよく知る作家さん(綾辻行人、伊坂幸太郎、小野不由美、米澤穂信)ばかりだったので何気なく手に取った短編集ですが、一編目の『依子の日記』を読んでド肝を抜かれ、二編目以降もあの手この手で展開がひっくり返されて目が回りました。
    流麗な文章から醸し出されるノスタルジックな雰囲気、物語の構造にきっちり組み込まれた緻密な仕掛け、そして人間の内面をえぐり出す容赦ない心理描写が三位一体となって圧倒的な読後感を味わわせてくれます。
    あまり言葉を尽くすと安っぽくなってしまうのでこれ以上は控えますが、作中の湿度が伝わってくる作品とだけ添えて置きます・・・。

  • 読み終わった。やっぱり美しい。2より1のほうがインパクトの強い、情感の強い、色彩鮮やかな作品が揃っていて、この手の企画本はどうしても1作目の方が強いのか…と思ってしまった。

    編者のコメントにも出てくるけれど、叶わない想いが作品のベースにあることが多く、美しい文章や単語選びと相まってもの悲しさを一層色濃く表している。この本では、そういったテーマに沿って語られる作品が4作あるから、その印象がとても強いのかもしれないけど。
    桔梗を通して籠の中の少女の儚さを描いた「桔梗の宿」が醸し出す悲哀はとても美しい。個人的には、「母の手紙」も好きだったけど。

    日ごろミステリーを読みなれないので、短期間に読む作品の中でこれだけたくさんの方に死なれると結構精神を削られるということに気付いた。もちろん死なない作品もあるけど、大抵のミステリーには殺人があり、その原因はハッピーなベクトルに向くこともないからなぁ。

    綾辻さんもお名前よく聞くけど読んだことない。最後の井坂さんとの対談から、連城さんと不思議なご縁があった人のようなので、今度デビュー作読んでみたいと思いました。

    ★収録作品(本書の底本一覧から)★
    「依子の日記」―『変調二人羽織』(2010)
    「眼の中の現場」―『紫の傷』(2008)
    「桔梗の宿」―『戻り川心中』(2006)
    「親愛なるエス君へ」―『瓦斯灯』(1987)
    「花衣の客」―『瓦斯灯』(1987)
    「母の手紙」―『日曜日と九つの短篇』(1988)

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    ミステリーに殉じた作家を敬愛する四人による驚嘆のアンソロジー。巧緻に練られた万華鏡のごとき謎、また謎。遊郭に出入りする男の死体が握っていた白い花に魅せられた若い刑事(「桔梗の宿」)、月一度、母の愛人と過ごす茶室に生涯を埋めた女(「花衣の客」)ほか。綾辻×伊坂、巻末対談でその圧倒的な魅力も語る!

  • 全6編の短編集。

    「依子の日記」綾辻行人セレクト
    「眼の中の現場」伊坂幸太郎セレクト
    「桔梗の宿」小野不由美セレクト
    「親愛なるエス君へ」綾辻行人セレクト
    「花衣の客」米澤穂信セレクト
    「母の手紙」伊坂幸太郎セレクト

    特別対談「ミステリー作家・連城三紀彦の魅力を語る」綾辻行人、伊坂幸太郎

  • 「眼の中の現場」、「親愛なるエス君へ」、「花衣の客」のみ未読だったので購入。作者にかかればどんなに特殊な心理も高尚に。

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著者プロフィール

1948年愛知県生まれ。1978年『変調二人羽織』で第3回〈幻影城〉新人賞に入選。1981年「戻り川心中」で第34回日本推理作家協会賞、1984年『宵待草夜情』で第5回吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で第91回直木賞、1996年『隠れ菊』で第9回柴田錬三郎賞を受賞。2013年10月19日に逝去。著書多数。日本の多くのミステリー作家に多大な影響を与え、他界後も多くの作品が再刊されている。2014年日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2017年 『女王(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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