発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062800402

作品紹介・あらすじ

言葉が幼い、落ち着きがない、情緒が不安定。そだちの遅れが見られる子に、どのように治療や養護を進めるか。長年にわたって子どもと向き合ってきた第一人者がやさしく教える。

感想・レビュー・書評

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  •  著者の杉山登志郎氏は発達障碍者を幼少期から成人期まで長期間診てきた人で、データが豊富なので、他の発達障碍関係の本とは説得力が違います。よく一緒にされる精神遅滞と自閉症を合併している知的障碍、高機能自閉症とADHDの違いを解説しています。「第4章 自閉症という文化」「第5章 アスペルガー問題」は、自分では言葉で表現出来なかった自閉症の特性が解説されていて、目から鱗が落ちましたし、自閉症者の心情を代弁して下さっているように感じられて、とても感銘を受けました。自閉症者は一人一人症状は違いますが、このような世界に住んでいるんです。「専門家による治療より、家庭での教育が大切」「特別支援教育の重要性」「薬は必要な時に適量を飲む」を訴えています。正式な診断は下されていないけれど、高機能自閉症を疑っていて、「適切な治療や教育が受けられたら、今頃引きこもり状態にならずにすんだのに」と悔しい思いでいっぱいです。発達障碍について主張したければ、この本を読んでからにして欲しいです。一人でも辛い思いをする発達障碍の子供がいなくなり、皆、幸福な人生を送られますように。

  • 発達障害に関して知りたい時に、
    真っ先に読むべき本と聞いていたが、
    本当にその通りだと思った。

    まず発達障害といってもさまざまなので、
    それらを網羅的に分類しているので分かりやすい。

    そして一般的に陥りがちな誤解についても書かれていて、
    「あぶなかった・・・。」と自分をかえりみた。

    現場の第一人者なので、内容も具体的で説得力がある。
    社会システムについても述べられているので、
    どうすべきかという点でも役に立つ。

    事例の部分では、実際に発達障害の子を持つ親にとっては
    胸にチクチクしたものを感じるかもしれない。

  • とにかく物凄い情報量で、読むのが大変でした。
    ですが、それほど読む価値があるということ。
    しっかりと理解しておきたい話が多かったのでじっくりと読みました。

    発達障害に関しては研修も受けて自分なりに学んでいるつもりだったのですが、この本で語られる生の発達障害者の姿、事例、処置は、本当に貴重で、自分の理解の足りなかったこともスッキリとわかった。

    発達障害と児童虐待の関わりは盲点でした。
    たしかに虐待された子どもは、脳が萎縮すると聞いたことがありましたが、自閉症やADHDと似た症状が出るとは。
    この本では被虐待児についても、事例を交えて詳しく語られています。

    自閉症の話が個人的に興味深い。
    感情面では普通の人と同じでも、感覚過敏になってしまったり、抽象的な概念が理解できなかったり、過去の記憶が現在と並存するという、想像し難い感覚。
    筆者曰く〈文化〉だそうですが、以前『自閉症だったわたしへ』を読んだ時の不可思議な世界観の正体が明確に理解できました。

    特別支援教育の意義も再確認させられた本。
    発達障害者を子に持つ親はもちろん、発達障害者と関わるであろう職の人は、繰り返し読むべき本です。
    無関係に思われる人にも是非読んでほしい。
    それほどこの本には、発達障害者の理解や適切な対処を願う筆者の切実な思いがこもっています。

  • 発達障害に関わらない人にも学べる内容が多くあり、一読の価値を感じた。
    またもちろん、これから子育てをする人、子育ち中の方にも有用な内容であると感じる。

    本書は、発達障害の子どもが、障害の度合いが軽くなるにはどういった条件が考えられるのかについて書かれているが、その内容は一般の人が自分をどのようにセルフコーチングしていくかにとても参考になる内容であると思った。

    また、幸せな人生とは何かということも考えさせられた。

    発達障害に関わらない人にも是非読んで欲しい。

  • 情報量が多くまとまっていない印象を受けるが,著者の主張ははっきりしている.それは発達障害児にどのような教育を受けさせるべきかということであり,その理由,親や学校関係者になかなか理解されない現状,実施(未実施)状況などについて記してある.
    個別事例を交えつつ語る著者の言葉には説得力があり,それにもまして,現状を改善したいという思いが強く感じられる.

  • 2023/08/25 Kindle(セール)
    よい。

  • 臨床経験の豊富な医師が知見を盛り込んだ発達障害の良書。
    自立とは何か。通級や支援学級の目安など具体的に書かれており、参考になることが多かった。

  • 発達障害とは何か?が体系的に学べる良本。

    本文の中にある、国語力が低いと自身の気持ちを表現できずストレスがたまり非行に走ってしまうというのは、
    発達障害の方だけでなく、健常者にも当てはまると思ったし、不安な気持ち、嫌な気持ち、それらを言語化することで気持ちの整理ができると学んだ。

  • 私は30歳になって発達障害と診断されました。
    そのことをとある席で話したところ、とある方からこの本を譲っていただきました。

    非常に良い本でした。

    当事者であっても支援者であっても、とにかく発達障害について知りたいなら必ず読んでおくべき本の一冊だと私は思います。

    もちろん、発達障害について関わることが少ない人にも読むのを勧めたい。
    勧めたいですが、ただし私としては「この本を読んだからって全ての誤解は解かれたなんて思わないでほしい」と忠告してから、それでも読んでと手渡したい。

    筆者は愛知県のお医者さんだそうで、私はもちろん会ったこともないお医者さんですが、きっと良い先生なんだろうなというのは読んで伝わります。沢山いるんでしょう、この先生——杉山登志郎先生——に救われた人は。

    「発達障害に関する世間の誤解を解きたい」という信念から冒頭が書き起こされ、次いで自身の携わった豊富な臨床例を——しかも失敗談も隠さず——引き合いに出しつつ、いわゆる「発達障害」の全体像をあぶり出していく。

    何度も読みました。読むたびに本当に良い先生なんだなぁ、という感じを覚えます。
    良い先生というのは、身の丈を超えたことを決して軽々しく言わないものです。知識を誇らず、数字(データ)と経験をベースに物を言います。心は誠実、謙虚。人には温かいまなざしを向けられると同時に、混迷した社会の現状に対して鋭く批判も出来る。
    ひょっとしたら騙されてるのかもわかりませんけど、この本を読んでいると、そんな良い先生のお人柄というものを感じます。

    もしこの先生に、人生の早い時期に診てもらうことがあったなら、私の人生も変わっていただろうか、なんてことも考えましたが、それはそれ。
    今の主治医も私にとっては良い先生なので、まずは頼れる人に全力で頼りつつ、与えられた脳味噌と、遺伝子と、環境の中で、謙虚に前向きに、生きていくだけです。

  • 約10年ぶりに再読。症例も交え、分かりやすく記載しており(約10年前の著作であり、DSM-5前のため、診断名の読み替えは必要であるが)、発達障害を理解するには入門書として最適かと思います。
    「小学生、中学生年齢から親しい交流があるもの同士が共に青年に成長するという経緯が必要で、いきなり青年を集めてもこのような支え合いは困難であるようだ。」のところは、敢えて触れなくても良かったのでは。標題のとおり「子どもたち」としているのだから...。

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著者プロフィール

福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授

「2023年 『そだちの科学 40号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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