ラーメンと愛国 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 862
レビュー : 140
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062800419

作品紹介・あらすじ

ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み。

感想・レビュー・書評

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  • この本は大学生の娘から借りて読んだ。
    「ラーメンと愛国」この題名にまず違和感を覚える、しかし読み進めるうちにこれがなんと面白い。
    日本人の大好きな「国民食」のラーメン、戦後の米国の小麦戦略による展開からのラーメンの進歩、「ご当地ラーメン」のうそ等ラーメンから日本人を改めて理解しなおす一冊。
    そして、現代日本のラーメン屋さんの右傾化?
    ラーメン大好きなあなたは読んでみるべきですよ・・・。

  • 戦後文化なんてどれもこれも紛い物ってのを、ラーメンを点にしてあらゆる方向に線を引いている。サクサク読める。良書。

  • 現在の「ラーメン」の置かれた状況を説明するには、過去に起こった様々な出来事や社会情勢を踏まえる必要がありますが、それらは大きく分けるとグローバリゼーションとナショナリズムという2つの観点が存在する、という筆者の発見を裏付けるための話が展開されていきます。
    様々な歴史を紐解いてそれを繋げ直しながら、筆者が知りたかったことの答えを出せたということで最後は締めていますが、「歴史を丁寧に検証することで従来と違った視点で物事を見ることを繰り返す」という本書の手法はラーメン以外にも使えるため、私としては内容よりもこの論理展開が勉強になりました。

  • ラーメンを通して、現代の日本がどう変わっていったのかを読み解く本。冗談の様なタイトルだがとても面白い。

    昔はラーメンは中華そばと呼ばれ、赤白ののれんに白の調理服がほとんどだった。しかし今は、作務衣風の格好に、黒いのれん、人生訓のちりばめられた店内。何がこの変化をもたらしたのか。

    古くは、アメリカの小麦戦略がラーメンの普及の原因ではないか、と解かれる。もちろん、うどんの可能性もあったかもしれない。ただインスタントラーメンの誕生、そしてあさま山荘事件によるメディア効果を経て、ついにはほぼ国民食にまで至る。

    その後、高度成長期の地方の時代における、喜多方ラーメンに始まるご当地ラーメンの誕生。湾岸戦争と同時に国内で名付けられた環七ラーメン戦争。ガチンコ!によるメディアミックス。そして、今の作務衣系のラーメンへの変化に。

    現代には現代のナショナリズムがあるのかもしれない。それは、右翼と呼ばれる物ではなく、世界に優しくスピリチュアルででも国が大事、といった考えの若者が多いように。そうすると、本来は中国のものであったラーメンが、日本独自のものとして発展したことに根差した感覚が生まれているのかも。

  • 2011 11/16読了。有隣堂で購入。
    話題になっているのを知って買ってみた本。
    ごく短期間における「国民食」としてのラーメンの成立と昨今の状況を、グローバリゼーションの中でのローカライズと、国土開発・「作務衣化」=和風化といった昨今の「ご当地・ご当人ラーメン」や「ラーメン道」の観点から論じた本。
    言われてみればちょっと前までラーメン屋って別に説教臭くなかったし作務衣やTシャツじゃなかったし紺や黒の暖簾じゃなかったな。
    色々面白かった・・・そしてラーメンが食べたいお腹すいた。

  • 作務衣は伝統の着物ではないし、現代ラーメンは中国起源ではない。
    ご当地ラーメンは地方の伝統とは関係ない。
    現代のナショナリズムは、そういった伝統とは関係なく生まれ、そのことを恥じるものではない。
    ひねくれた視点からの鋭い分析。佳作

  • 歴史

    社会

  • ☆食糧援助の「ララ物資」して入ってきた小麦

  • ・ラーメンを軸にして見た戦後史と今の日本の一側面。日清食品の安藤百福に始まり、佐野実、天下一品、一風堂の河原成美、果ては二郎から六厘舎、夢を語れまで出てくるが、味がどうこうという本ではない。田中角栄の日本列島改造論から内田樹に須藤元気まで。その目配りの仕方が、自分にはちょうどいい感じだった。

    ・ラーメンという中国由来の食べ物が、今や「表層的な」ジャパネスク概念の体現の一翼を担っている。「作務衣」のユニフォーム化に加えて「ご当地」的な意匠のメニューでナショナリズム的なムーブメントすら漂わせているラーメン業界。でも、元々ラーメンは給食のパン食化というアメリカの占領政策の延長線上での小麦粉大量消費が背景。考えてみりゃ、うどんやパスタも小麦粉だった。また、言うまでもなく、中国由来。

    ・さらに、今のラーメン業界は、イタリア発の「スローフード」因子も包含、つまり、右派左派両方のベクトルも持ち合わせている。「右派」というのは「ご当地」との結びつきで、「左派」というのは大手資本によるファストフード店やフランチャイズ化を拒否している部分。ただし、ラーメン業界におけるナショナリズムは、多様な文化を認めた上でのナショナリズムだと本書では(他書からの引用ではあるが)述べられている。

    ・「世界という他者と向かい合わざるを得ない状況で、日本人は初めて『日本という自己』を意識させられ、自らの存在を問われる。あやふな自己を肯定し、セラピー的な効果を持ち得る、『都合のいい過去』が持ち出されるのは、そんなときである。(P252)」

    ・「本章で取り上げたような日本の右傾化、宗教化は、本質主義的なそれではなく、『趣味的』『遊戯的』そして、『リアリティショー的』なフェイクと結びついたものであると考えるべきだろう。(P262)」

    ・それにしても、チキンラーメン生みの親、安藤百福は、毎日昼にチキンラーメンを食べていたとあるが、他の本ではカップヌードルだったりして、どれがホントなんだろう?多分、幾つかの基本的な商品をローテーション的に食べていたというのが現実的なところではないかと思うんだけど。

  • 2017/11/16 19:05:40

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著者プロフィール

速水健朗 Kenro Hayamizu1973年生まれ。食や政治から都市にジャニーズなど手広く論じる物書き。たまにラジオやテレビにも出演。「団地団」「福島第一原発観光化計画」などでも活動中。著書に『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』(朝日新書)、『1995年』(ちくま新書)、『都市と消費とディズニーの夢』(角川Oneテーマ21)、『ラーメンと愛国』(講談社現代新書)などがある。

「2014年 『すべてのニュースは賞味期限切れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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