アレクサンドロスの征服と神話 (興亡の世界史)

著者 : 森谷公俊
  • 講談社 (2007年1月18日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062807012

作品紹介

わずか一〇年でどうして地中海からインダス川にいたる大帝国を築き得たか。前三三四年、辺境のギリシアを出発し、先進国・ペルシアを征服した大王の軌跡をたどる。歴史の舞台をリセットした新たなヘレニズム史の誕生。

アレクサンドロスの征服と神話 (興亡の世界史)の感想・レビュー・書評

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  • 日本語で読めるアレクサンドロスの概説書としては、最もオススメできそうな一冊。

    冒頭でアレクサンドロスがこれまでどのようなイメージを付与され、受容されてきたかを整理したうえで、本書のスタンスを以下の通りとしている。
    まずあくまで可能な限り客観的な歴史的条件のもとで彼の行動を分析すること。
    そしてその意義を、彼の前後の歴史的展開も踏まえた長い視野で捉えること。
    このような姿勢を貫きながら、アレクサンドロス個人の人となりを描きつつも、それ以上に彼の築いた帝国の実態と、後世に与えた影響をより鮮明に描き出している。

    綿密な史料批判や先行研究の批判的な検討に基づいて論が進んでいくために、かなり幅広い視点から、アレクサンドロスの実態を追うことができる。
    アレクサンドロスについては、多くの書物にあたるより、よくよくこの一冊を読み込んでから、他に手を出すのが最も効率的なように思う。

  • わりと当たり外れが無くて、安心して読める興亡の世界史シリーズ16冊目。これで残りは5冊。

    この本のテーマは「神になりたかった男、アレクサンドロス」。やったことは、ありていに言えば「実写版聖闘士星矢」とでも言えるかもしれない。

    といっても神話が日常世界と近しく親しまれていた古代ギリシャという背景を考えると、全く荒唐無稽な夢想ではなかったし、本人自身あくまで統治の手段としての神格化、という割り切りもあったようだ。軍事的な大天才であることは疑いないが、政治的な戦略性と柔軟性も兼ね備えた稀有の人物であったことが本書全体から伺える。

    一方で、後のルネサンスを経て古代ギリシャの血脈を受け継いだ西欧世界による「ヘレニズム」=「西欧世界によるアジアの啓蒙」という一義的な解釈への警鐘も繰り返し述べられている。

    そう考えると、日本ではアレクサンドロスやヘレニズム世界って、そんなにメジャーな歴史上のモチーフでは無いと思うのだが、西欧人だとまた違った見方から彼を英雄とみなす向きもあるのかもしれない。

    いずれにしても僅か10年でエーゲ海からインド洋まで攻め貫いた稀代の天才が35歳という若さで夭逝した事は、歴史の綾を超えて、神のいたずらとも感じられる。解釈の仕方は人それぞれだと思うが、個人的にはこの早すぎる死こそが、彼に伝説性と神格をもたらしたのではないだろうか、と思ってしまった。

    本書について言えば、綺麗な章立て、丁寧な文章、慎重な解釈、1つのエピソードを敢えて繰り返し登場させることで文脈を絡めていくテクニックなど、歴史文献としてかなりの完成度に達している本だと思いました。

  • 講談社の『興亡の世界史』シリーズは初めて読みましたが、これは面白いです。第1巻の『アレクサンドロスの制服と神話』は、10年ほどでギリシアからインド西部にまたがる大帝国を築き上げそして死後すぐに分裂してしまったアレクサンドロスの帝国とアレクサンドロス自身について解説してあります。著者はこの帝国を「彼一人の帝国」であったとし、彼の資質と性格とがこの大帝国を築き上げそして崩壊させたと結論づけています。それは決してアレクサンドロスを英雄視するわけではなく、彼本人の、そしてマケドニア人としての性格や幼い頃よりホメロスの詩などに親しんで培った英雄願望、マザコンによる晩婚と後継者の不在などなどアレクサンドロスの性格性質よりこの大帝国の形成と崩壊が述べられています。ただ、願望を言えば彼の死後形成された「ヘレニズム時代」についてもう少し詳しく述べて欲しかったところです。約300年も続く時代について高校世界史の教科書では代表的な国名と文化しかでてきません。この本ではセレウコス朝やアンティゴノス朝、プトレマイオス朝、ペルガモン王国などの形成については述べてありますがその政治制度や歴史についてあまり書かれておりません。確かにここまで詳しく書くと本題から外れますのであくまで願望ですが・・・。しかし、やはり内容は興味深く示唆に富み、すいすい読めてしまう良本でした。

  • 00巻よりはややまともで、アレクサンダー大王について多少は詳しく書かれているのですが、いいとこ塩野程度の水準で、暇つぶしに読むならともかく世界史に興味があるのならなるべくは他の本を手に取るべきでしょう

  • 暴走しっぱなしの人生に見える

  • 面白いところだけ、拾い読み。

  • アレキサンダー大王はすごい。この本も良い。

  • 一般読者向けに、平易に著された入門書。アレクサンドロス大王の魅力に迫る。学者が書いた割に、ロマンを感じさせる雰囲気をもった一冊に仕上がっている。

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