エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社+α文庫)

  • 講談社
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本棚登録 : 433
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062814195

作品紹介・あらすじ

『モモ』『はてしない物語』などで知られるファンタジー作家ミヒャエル・エンデが日本人への遺言として残した一本のテープ。これをもとに制作されたドキュメンタリー番組(1999年放送/NHK)から生まれたベストセラー書籍がついに文庫化。忘れられた思想家シルビオ・ゲゼルによる「老化するお金」「時とともに減価するお金」など、現代のお金の常識を破る考え方や、欧米に広がる地域通貨の試みの数々をレポートする。

感想・レビュー・書評

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  • 仮想通貨ビットコイン、お持ちですか?
    私は、まったく興味がなかったのですが、
    最近のニュースで、私の予想よりもビットコインを持っている人、使用している人がはるかに多いことを知りました。
    たしかに、「お金」を持っていると、欲しいものが買えたり、旅行ができたりします。(価値あるモノとの交換)

    将来、病気の療養や介護が必要になった時に、
    お金が頼りになるという側面もありますね(資産)

    仮想通貨で持つのがいいのか、日本円で持つのがいいのか分かりませんが、
    「できるだけ、たくさんのお金をほしい」
    「持っているお金をもっと増やしたい」
    そういう気持ちは、多くの人に共通するものなのかなと改めて、考えているところです。

    ただ、どのくらいの「お金」があれば十分なのかは、人それぞれかもしれません。

    「モモ」「はてしない物語」などの著者であるミヒャエル・エンデのインタビューや蔵書をもとにまとめられた「エンデの遺言」を手に取りました。

    より良い人生を生きるための「お金」であるはずが、
    「お金」を得るために、心と身体を消耗しているようなことが起こる。
    それは、なぜか。
    「お金」そのものの性質について、改めて考えさせられる本でした。

    この本に文章を寄せている河邑厚徳さんによると、
    エンデは、人は目に見える危機には対処できるが、目に見えない危機には無力な存在であると言っている。
    解決ができないような根源的な問題に対しては、気が付いていても目をそむけていると言った方がよいのかもしれない。
    さらに、エンデは、かつては、過去の文化や歴史を学ぶことで、現代の問題にどう対処すべきかが了解できたが、私たちが今、向き合っている「お金」の問題では、どう考えるべきかの規範が過去にはない。したがって、未来を想定し、何が起きて来るか予言的に直視しなければならないと語っている。
    問題解決を、過去からではなく、未来から考える。それが、エンデのファンタジーの力である。

    「お金」を求める気持ちを考えるとき、その心には、未来に対する漠然とした不安があるように思います。

    これから先、どんなことが起こるか分からない。
    経済の動向、高齢化社会、加齢に伴う体力や気力の低下などなど、
    不安につながる要素が出てきた時、
    とりあえず、それらに関連する危機を乗り切れるように備えておきたい気持ちになります。
    頼りにできるのが「お金」。
    「お金」を所有することで、安心が担保されるという発想が沸いてきます。

    いざと言う時に頼りにできるのは、「友達」「地域の人々」と思えたら、
    「お金」も大事だけど、「お金」を求める気持ちはそれほど強くないかもしれません。

    一方で、孤立していて、友達や地域の人々など頼りにならないと思ったら、
    「お金」を頼りにするようにも思います。

    「お金」は、万能ではないということに、改めて気が付かされた一冊です。

  • エンデの資本論。人間が創りだしたものであるのだから、貨幣制度は変えることができる。

  • 大学の先生から勧められた1冊。お金の根源から考えさせられる1冊。同著者の「モモ」を読了後に本書を読んだ。

  • お金がないと不安な生活から脱出したい。お金の奴隷から解放するには、まずは、想像力と少しの勇気が必要だと思った。だってお金は「ほんとうはいないはずのものなんだ」から。

  • 資本主義社会が当たり前になっている今日、今一度立ち止まって考えてみる良いきっかけとなった。歴史の土壌に埋められてしまった地域貨幣システムは終わりのない利潤の追求、それによって広がる貧富の差といった問題を解決する処方箋となりうる。現在(2002年)世界には2000もの地域通貨があると言われているが、それらの中でとゲゼルの思想を基に実施し、結果的に恐慌を回避したり、小さな町の財政を立て直したりといった実績を上げた。アベノミクスでも思った働き方改革が出来なかった2017年現在、会社の財布の紐を解かせるためにもこういった地域通貨を吟味し、利点と欠点を合わせて考えてみる価値はあるのではないだろうか。

  • 今議論されている内部留保課税は貯蓄税の法人版みたいなものだが、貯蓄税に対する世間の風当たりの強さを考えると実現可能性は如何許りのものか。利子は現時点で自由に使用できる貨幣の制限に対する補償金として誕生したものだが、この利子が諸悪の根源なのだそうな。政府がどれほど財政健全化のために努力しても破綻は避けられないという悲観的な結論しか見出せなかった。この本を読むと消費税より貯蓄税のほうが好ましく思えるが、個人的には賛成しかねる。消費しないという防衛策が取れないため。

  • 「モモ」の作者であるミヒャエル・エンデへのインタビューをもとに、「お金」の本質について考えるもの。貨幣の基本機能は「交換・保存・尺度」であるが、その信用の裏付けとなる「資源(以前であれば金=goldなど)」は有限なのに、貨幣は無限に膨張する。また、資源は減価していくのに貨幣はむしろ利息が付くことで価値が上がる。上がった分の裏付けは「信用」ということなのだが、「国家」の信用が揺らげばこれは砂上の楼閣ということになる。過去に試みられた共同通貨・地域通貨や、最近の仮想通貨など、もう少し勉強したいテーマ。

  • 一部の地域で流通している地域通貨「交換リング」や「減価するお金」のお話し。

    作品中でも解説されているが、いま流通している通貨に変わる仕組みというよりも、現行の金融制度を補完し、コミュニティを活性化するような意味合いであれば、かなり効果的な手段ではないかと思った。

    しかしこのような仕組みが、世界中に広がるイメージがイマイチ想像ができないのは、自分が現在の資本主義体制に慣れ過ぎてしまったせいなのか、それともそんな仕組み自体が、エンデやゲゼルが創造した一流のファンタジーだからなのか。

  • P11,13 お金は商品になっている

    P15 ゲゼル、シュタイナー

    P16 オーストリア ヴェーゲル 第二のお金

    P19 第三次世界大戦

    P28 演劇→映画→約束の発見、儀式、舞台と客=精神世界

    P39 標準ドイツ語

    P131 フロイト ユング 他人に適用できると思ったところに間違いが

    P133 ドライ「夢をつくる」マレー半島 セノイ族
    P136 「明恵 夢を生きる」河合はやお
    P145 外的な時間は人間を死なせる

  • 「交換のための道具」として地域コミュニティで作られ、流通している地域通貨はとても魅力的。地域の絆を深め、一種の互助会的に機能しているんだと思う。地域コミュニティの中でお互い支え合うことができ、老後の生活に不安がなくなれば、お金を溜め込んでおく必要はなく、マイナス金利の通貨の方が世の中上手く回るのではないか。ただ、身の丈にあった、慎ましい生活を営むことになっていくんだろうな。
    2000年に出版された本だが、リーマンショックを経て金融システムへの不信感が増大し、先進国・新興国における貧富の差が拡大している現在、本書の問題提起はま益々重要性を増していると思う。
    なお、ゲゼルのスタンプ代用貨幣について、スタンプ期日が近づいた貨幣は受け取らなくなったり、額面通りに取引されなくなったりしないのだろうか?少し疑問に思った。

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プロフィール

1948年生まれ。映画監督。大正大学特命教授。71年東京大学法学部卒業。NHKディレクター、プロデューサーとして『がん宣告』『シルクロード』『チベット死者の書』『エンデの遺言』などを制作。長編ドキュメンタリー映画作品として『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ"』『大津波3.11 未来への記憶』『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』がある。

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