原子力神話からの解放 -日本を滅ぼす九つの呪縛 (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062814362

作品紹介・あらすじ

原子力という「パンドラの箱」を開けてしまった人類に襲いかかった際限のない放射能。この箱を再び閉じる道は存在するのか。人々が原子力への洗脳に気がつき、引き返さない限り、巨大事故は繰り返し、災禍は限りないものとなるだろう。私たちは何を間違ったのか。原子力と決別するために、私たちが選ぶべき道とは何なのか?反原発活動の生涯を貫いた論客が、その最晩年に、原子力をめぐる様々な神話=国民への洗脳を、ひとつひとつ暴いていった警世の書。

感想・レビュー・書評

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  • まさかTVのドキュメンタリーで彼と再開するとは思ってもみませんでした。

    わずか10数年前にまるで隠れキリシタンのように私は反原発論者でしたが、まわりの誰からも嘲笑され無視され、その結果、測り知れない無力感を抱いていたものでした。

    7月3日(日)朝10時からのテレビ朝日系列、サンデー・フロントラインという報道番組で、これは悦ちゃんこと小宮悦子がメインキャスターですが、ここでこの本の著者の、原子力という学問の官制科学者から脱却して孤立無援の市民科学者として歩んだ反原発運動の全貌を紹介していました。

    存命ならこの7月18日で73歳の高木仁三郎ですが、残念ながら大腸癌で62歳で惜しくも亡くなってすでに11年も経ちます。

    彼との運命的な出会いは、中2のときに福井県美浜町へ蟹料理を食べに家族旅行へ行ったことに始まります。普段からカニ大好き人間ですが、なかなか高価で食べられない、ならば現地格安ツアーなるものを企画して実行ということで行ったものの、お刺身から蟹すきまでお腹いっぱい食べた次の日、すぐ近くの美浜原発を見学したときです、一見平和な穏やかな風景に突如として亀裂が生じる感じがするやいなや、数ヶ月前に社会科の研究発表で誰かがレポートした核や原子力や原子力発電所の内容は、あれはひょっとして、ほとんど官製の美辞麗句と嘘で固めたものをそのまま鵜呑みにしたものだったのでは? と疑問に感じて帰路についたのでした。

    そして、美浜原発を後にして一番最初に見つけた書店で、彼の『プルトニウムの未来 2041年からのメッセージ』という岩波新書に出会いました。その後、特に高木仁三郎と広瀬隆のすべての著作を貪り読みました。現代書館の『反原発事典1』(1978年)と『反原発事典2』(1979年)の2冊も、総網羅的によくまとめられた本として繰り返し読んだものです。

    この本は、原子力の世界的な研究者としての彼の最後の著書です。

    第1章:原子力発電の本質と困難さ
    第2章:原子力は無限のエネルギー源という神話
    第3章:原子力は石油危機を克服するという神話
    第4章:原子力の平和利用という神話
    第5章:原子力は安全という神話
    第6章:原子力は安い電力を提供するという神話
    第7章:原発は地域振興に寄与するという神話
    第8章:原子力はクリーンなエネルギーという神話
    第9章:核燃料はリサイクルできるという神話
    第10章:日本の原子力技術は優秀という神話
    第11章:原子力問題の現在とこれから

    本書は2000年に光文社から上梓された本で、高校生になった私が喝采を叫んだ、つまり俗流ハウトゥものが主流のカッパブックスで出ることは逆にいいことだと、ひとり納得した本ですが、電力会社や自民党政府や専門家と呼ばれる人たちが言っていることが、ことごとく虚偽インチキ隠蔽だということが良くわかる内容の、まさに高木仁三郎の面目躍如の本です。

  • この本を読めば、原子力について理解できる。良著。

  • 原発素人の私にもすごくわかりやすい本だった。
    10年前に書かれた本だということがすごい。
    この本を読んでいると、原発にはデメリットしかないように思える。
    それなのになぜこんなに止めることができないのか、結局誰が悪いのかと、考え込んでしまう。

  • 考えれば考えるほどおかしい。日本政府もここまでひどいとは思わなんだ。
    大抵、どの社会問題でも賛成派と反対派の両方の意見を聞くべきだと思うがこれに関してはどんなメリットがあれどデメリットを勝るようなことはほぼなさそうだし、科学的な部分はいくらでも一般人を言いくるめられそうなので聞かない方が良いだろう。
    正直、こんなんなら、日本にずっと住んでていいのか本気で考えるよな。

  • 今日(2000年10月9日)、著者の訃報を新聞で知った。62才、大腸ガンだったらしい。まだまだこれから活躍してほしい人だっただけに残念でならない。著者は市民科学者という立場で、長年、理論的に、冷静に原子力政策に対して批判を続けてこられた。私自身、原発は良くないと思い続けてきたが、なぜそう言えるのかということを深く考えずにいた。でも、それでは人を説得することはできない。きっちり何がどういけないのか、そしてこれだけ良くないといわれ続けても、なぜ無くならないのか、その辺のことを知りたいと思っていた。そんな折りに本書が出版された。著者は実はこのような本を書くつもりではなかったらしい。ところが1999年、まだ記憶に新しい東海村JCOウラン加工工場の臨界事故が起こってしまった。そして、日本では原発関連の事故としては初めて犠牲者を出してしまった。このようなことを見聞きしてしまって、だまってすますわけには行かなくなったのだろう。ひょっとすると著者は本書が最後になることを、自分自身分かっていたのかも知れない。そういう意味でもたくさんの人に読んでほしい1冊となった。本書では、なぜこれほど世界が反原発の方向に動いているのにかかわらず、日本政府が原発にこだわるのか、自治体がなぜ原発を誘致したがったのか、そしてなぜ簡単にやめてしまうわけに行かないのか、などが1つ1つていねいに解説されています。およそ30年くらいの間に、日本の原子力政策がどのような方向で動いてきたのか、世界は今どういう方向に向かっており、我々は一市民として原発に対してどうふるまっていけばよいのか、というようなことが本書を読むことによって理解できると思います。もちろん専門的な細かい内容も含まれています。が、本当に自分たちにかかわる問題として本書を読んでほしいと思います。著者の常に冷静な言葉遣いには非常に好感が持てます。もっとキツク書いてもいいのに、と思うこともいくらかはありましたが。ご冥福をお祈りします。(3.11以降、何かが変わっただろうか)

  • 原子力エネルギーがいかに不経済で安全性に欠けるか概説する。

  • 生活にも産業にも必要な電気を如何に得るか.原子力はひとつの対応技術であるが,2011年以来多くの人がその問題点を切迫した問題として考えるようになりました.
    一度事故が起こると広範囲に影響し,しかも有事の際に収束させる技術の用意がない(バックエンドが無い),さらに再稼働にも廃炉にも巨費と長い時間がかかる,などと言う点で幅広く実用して良い技術か否か.代替はどれも却下されてしまうくらい原子力にはアドバンテージがあるのか,と言った疑問はかなりの人が持っているのではないでしょうか.
    目次で提起している問題点,検討項目自体は良く整理されているように思います.一部,著者の想像で書かれているところがあるようですが,よく言われる利権の問題の他,「使用済み核燃料の処理や廃炉なども含めたときに本当に安い電源なのか」「結局発電機を回しているだけで,核反応から電気を直接取り出すような技術ではない」と言った話は将来のエネルギー技術のあるべき姿について考えさせられます.

  • 資料ID:92112550
    請求記号:
    配置場所:文庫本コーナー

  • 10年前の本だが、今と状況があまり変わっていない。原発事故だけが起きてしまった…

  • 原子力で得られるエネルギーの総量が意外に少なく、それが頼りになる時代は短いだろうということがわかった。知らなかった。

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著者プロフィール

1938年7月18日 群馬県前橋市に生まれる
57年、東京大学理科一類へ入学
61年、日本原子力事業(NAIG)入社、核化学研究室に配属
65年、東京大学原子力核研究所助手
69年、東京都立大学理学部助教授、東京大学より理学博士の学位授与
72年、マックスプランク核物理研究所客員研究員
73年、東京都立大学を退職
75年、原子力資料情報室スタート、専従世話人となる
78年、反原発運動全国連絡会結成に加わる
87年、原子力資料情報室代表
92年、多田謡子反権力人権賞受賞
93年、サンケイ児童出版文化賞「推薦の本」に『マリー・キュリーが考えたこと』が選ばれる
95年、宮澤賢治学会イーハトーブ賞受賞
97年、長崎原爆被爆者手帳の会平和賞受賞、ライト・ライブリフッド賞受賞
98年4月、オールターナティブな科学者を育てる「高木学校」を設立
97年7月、大腸がんが発覚、緊急入院
2000年10月8日、大腸がんで死去
2001年1月9日、遺言により高木仁三郎市民科学基金発足

「2018年 『高木仁三郎 反原子力文選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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