コシノ洋装店ものがたり (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062814430

感想・レビュー・書評

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  • 名作朝ドラ「カーネーション」にハマってから、是非ともモデルとなった小篠綾子さんの自叙伝である本書を読みたいとずっと思い続けてきた。この度ようやく手に入れることができ、その面白さに一気読み!世界的デザイナーのコシノ三姉妹を女手ひとつで育て上げた母、さすがのゴッド・マザーっぷりに改めて感服。
    あくまでも朝ドラのモデルだから…と思いながら読んだので、思った以上に脚本が実際のエピソードに沿っていたことに驚く。二十歳そこそこで百貨店の制服を受注してきたことも、仕事を優先して自身の結婚式に遅刻したことも、子供らの執拗な(でもかわいい)「ピアノ買うて-」攻撃も、ミチコのテニス日本一にあまり関心がなかったことも…!一部ドラマ化にあたりアレンジはされているものもあるが、それでも、こんなにも史実がドラマティックなのか!と!
    やっぱり綾子さんの父は豪放磊落な方ではあるが、厳しくも優しく、娘を見守り慈しんできたということが活字を通してよくわかる。戦前の昭和、女性が自立して洋服黎明期の中商売をすることがどんなに覚悟のいることか。時に手荒く諌め、己の体で理解してもらうために敢えて苦労させる。「好き」を貫くことは想像以上の茨の道。どんな思いで娘の歩みを見つめてきたのだろう…。
    そんな綾子が母となり、彼女なりのやり方で娘達の自立を促す。特に、ドラマ化されていなかったエピソード(ミチコが滞在するロンドンに綾子が向かうくだり)が好きだ。何をしてやり、逆に何を「してやらない」か。娘の望むこと全てに手をさしのべては成長は望めない。心引き裂かれる決断だけど、それでも敢えて苦労させるところに、父上の姿が重なる。
    こんなにも心をつかむ素敵なエピソードでいっぱいで、読みごたえありまくりなのに、今入手困難な状況であることが勿体なさすぎる!是非復刊してもらいたいです。「カーネーション」を見たことがない方にも、読んでもらいたい。洋服が根付く前、岸和田で奮闘してきたデザイナー・小篠綾子の生き様はこれからも沢山の人を勇気付けるに違いないと思うので。

    • kuma0504さん
      こんばんは、メイプルマフィンさん。
      私も、これを読んで、あの話もこの話もホントにあったことなんだ、とビックリしました。
      渡辺あやの絶妙な脚色...
      こんばんは、メイプルマフィンさん。
      私も、これを読んで、あの話もこの話もホントにあったことなんだ、とビックリしました。
      渡辺あやの絶妙な脚色でしたね。

      数年前、ロケ地巡りということで岸和田にも行きました。あの実家は資料館になっていました。この2階からだんじりを見たのか!と実感しまくりでした。いくかいはあるところです。
      2022/06/19
    • メイプルマフィンさん
      kuma0504さん:こんばんは!コメントありがとうございます~。
      先日古本で手に入れまして、即一気読みでした!仰る通り渡辺あやさん、すごす...
      kuma0504さん:こんばんは!コメントありがとうございます~。
      先日古本で手に入れまして、即一気読みでした!仰る通り渡辺あやさん、すごすぎます。
      岸和田のロケ地巡り、羨ましいです(実家、テレビで何度か見ました)。大阪製作局朝ドラが大好きなんですよ~、いつか関西行きたいです。
      2022/06/19
  • 次女を妊娠中にNHKのこだわり人物伝で知り、一目(?)でファンになった女性。
    気になってはいたが、頭の中に留めるのみで、伝記等に触れることはなかった。
    今月のある日、今放送中の連続テレビ小説「カーネーション」のモデルが彼女であることを知り、びっくり。彼女への好奇心に火がついた。
    結果、amazonで早速注文した次第。

    周囲がなんといおうと、自分の思うとおりに生き、恋をし、働き、遊んだ女性。
    男尊女卑の風潮がまだまだ強い昭和の空気の中、今でいうワーキングウーマン、ワーキングマザーの道をひたすら突っ走る。
    父との関係、夫とのこと、恋の話・・どれも興味深いが、私の興味をもっとも引いたのは子育てに関することだった。

    彼女の3人の娘は、いずれも世界的なデザイナーになったが、そのための特別な教育は一切しなかった。
    ただひたすら生活と遊びのためにミシンを踏み、接客をし、商品を売り、再び仕入れる毎日。
    別の雑誌で目にしたことだが、めざし一本ポンと焼いて、あとは自分で勝手に食べなさい、という場面も珍しくなかったらしい。
    生まれたばかりの子供を早々に父母や叔父に預けたり、
    不倫相手との同棲生活のために子供と居を別にしたり・・と、
    教育評論家が目くじらたてそうな事実の連続だが、
    「子供には何もしれやれなかった」という彼女が唯一、誰よりも優れていたのが「子供を尊重し、信じること」であった。

    長女ヒロコが進路に迷い、次女ジュンコが周囲の反発にうちひしがれ、三女ミチコが留学先のロンドンで貧窮しても、一切口も手も出さない。
    ただただひたすら、見守るだけだった。
    なぜなら「この子の人生だから、この子が決めてどうにかするもの」。
    そして「この子ならできると信じていた」。

    将来のためにはあれがいい、これがいい・・と盛んに育児論・教育論が騒がれる昨今だが、肝心要の「子を尊重し、信じること」をどれだけの親ができていることだろうか。

    母親神話や三歳児神話など全部ぶっとばしてわが道を進むその豪快な人生に、私は親として一番見落としがちでもっとも大事なことを教わったように感じた。

  • 2018.7.14読了。図書館で借りた。

    借りてすぐ読み始めて、一気に読んだ。
    『カーネーション』の再放送がこの三週間休止で、だったら小篠綾子さんの本があるかも? と調べたら何冊か出されてた。まずは1冊目。
    ドラマのエピソードは、実話に基づくものが意外に多いことがわかった。実のところはどうなんだろうか、と思っていただけに。
    パワフル、情熱的、職人で商売人。自分には無いものを持っていらした方。

  • カーネーションの再放送もいよいよ終盤。初回放送ではアヤコと赤い糸を読んだので、今回はこちらを。ドラマのオリジナルエピソードかと思ったことが事実でビックリ。すごい女性です。母としての考え方には学ぶこともありました。
    すごく読みやすく、面白く、一気に読んでしまいました。

  • 20130331
    ドラマも観ていたが、面白いっ!
    強い女性だ。
    親の背中をみて子は育つ、私の背中は生ぬるい。
    いや、それ以前だな。。
    かっこいい生き方だ。

  • 人生のバイブルに出会った。私もこんなふうに力強く生きていきたい!

  • 父親とのエピソードのほうが、娘たちとのそれより数倍おもしろい。男兄弟がいなかったとはいえ、この時代に、父親にここまで期待させてしまう娘ってすごい。先に「カーネーション」を見ていたので、「へー、あのエピソードは実話だったんだ!」というふうに楽しめました。

  • 母親としては何もしてないと言い切ったのが凄い。

  • 元気になれます!

著者プロフィール

1913年、大阪府岸和田市生まれ。呉服商の長女として生まれながらも、洋裁の道を志し、ファッション・デザイナーの草分けとして活躍。また、コシノヒロコ、ジュンコ、ミチコの三人の娘を世界的なデザイナーに育てる。自身も現役デザイナーとして活躍する一方、洋裁洋品業界の発展に尽力。大阪府知事賞受賞2回、産業功労賞受賞、勲六等宝冠章受章。コシノ商事(株)代表取締役社長、(株)コシノ取締役会長。2006年逝去。

「2011年 『なにわ塾第37巻 花大輪 <復刻保存版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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