誰も戦争を教えられない (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816069

作品紹介・あらすじ

まだ誰も、あの戦争をわかっていない……。

沖縄と靖国、戦争博物館のテイストは一緒?
中国は、日本を許す心の広い共産党をアピール!
韓国は、日本への恨みを無料のアミューズメントパークで紹介!!

広島、パールハーバー、南京、アウシュビッツ、香港、瀋陽、沖縄、シンガポール、朝鮮半島38度線、ローマ、関ヶ原、東京……。
世界の戦争博物館は、とんでもないことになっていた。

「若者論」の若き社会学の論客であり、「戦争を知らない平和ボケ」世代でもある古市憲寿が世界の「戦争の記憶」を歩く。

誰も戦争を教えてくれなかった。
だから僕は、旅を始めた。

感想・レビュー・書評

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  • 誰も戦争を教えてくれなかった。
    だから僕は、旅を始めた……。

    広島、パールハーバー、南京、アウシュビッツ、香港、瀋陽、沖縄、シンガポール、朝鮮半島38度線、ローマ、関ヶ原、東京……。

    「若者論」の若き社会学の論客であり、「戦争を知らない平和ボケ」世代でもある古市憲寿が世界の「戦争の記憶」を歩く。

    「若者」と「戦争」の距離は遠いのか、戦勝国と敗戦国の「戦争の語り方」は違うのか?

  • 戦争を記憶することや戦争を伝えること、そしてその先にある平和な世界を作るための営みが、ともすれば形骸化しやすいものなのではないかということを、世界の戦争博物館を巡るこの本を読みながら改めて考えさせられた。

    「あの戦争」の現場を出来る限り当時のまま保存することも、当時の人の証言や遺品を残していくことも出来るし、それらに対して国家や民間団体の見解(歴史観や現代における位置づけ)を添えることも添えないこともできる。さらには、ゲームやVRで戦争を追体験するコーナーを設けることもできる。

    ただ、それだけで戦争の悲惨さが語り継がれ、戦争を二度と起こさない世界につながるのかというと、特に若い世代の間ではそのような因果関係で戦争が捉えられているわけではないのだと思う。

    学校の授業で連れてこられる戦争博物館で退屈する生徒(そして先生)の姿は世界共通のようだし、本書の中で無関係な雑談のようでありながら執拗に繰り返されているショッピングや韓流アイドルの話は、実はその先で徴兵制やダークツーリズムという形でのまったく違った形での戦争とのつながり方の存在を示唆しているように思える。

    そして、戦争というものは、その実態を少しずつ変えながら現代の社会のなかにも確実に存在している。一方で、そのような世界の中で生きながら、戦争は嫌だ、平和がいいという素朴な感覚は、若い世代の間にもなくなっているわけではない。(むしろじわじわと普遍化してきているのではないかとすら感じられてくる)

    最後の筆者が述べている、戦争を忘れること、知らないことも平和につながっているんじゃないかという言葉は、おそらく一つの考え方として提示されたもので、それだけですべてが解決するという趣旨ではないだろう。

    どうやって残し続けるのか、残し続ける以外にもやるべきことがあるのではないかという議論のとっかかりとして、世界の戦争博物館を巡りながら日常世界との距離感を測っていく筆者の姿が非常に参考になった。

  • Twitter上での呟きやテレビ、ネット動画での発言が炎上すること
    枚挙にいとまがない。いろんな意味で注目の若手社会学者である
    古市憲寿。「若者代表」みたいな存在なので、ひとつくらい読んで
    おかないとと思って購入したのが本書。

    でも、失敗。というか、これは賛否真っ二つに分かれる作品では
    ないかな。

    世界各国の戦争博物館を訪れて、文字通りほぼ全世界を巻き込んだ
    第二次世界大戦をどう伝えるかを考察しているらしい。

    以前に読んだ『戦争の世紀を超えて その場所で語られるべき戦争の
    記憶がある』は、姜尚中と森達也がアウシュビッツや38度線を実際に
    訪問して戦争について語ったかなり哲学的な作品だった。

    この作品の類書になるのかなと思ったのだが、軽いのだ。あまりにも
    軽い。とにかく文章が私には合わない。

    多分、戦争に関しての論考については欄外に注釈で記されている
    参考文献からの引き写しなのだろう。この欄外の夥しい注釈で書かれ
    て突っ込みもまったく面白くない。まぁ、それは読み手の感性の違い
    だから、私には合わなかっただけかも。

    あ、本文中に出て来る不要な突っ込みもあったな。

    戦争の記憶と一くくりにしても、前線の兵士、戦争指導者、銃後の市民
    で記憶は違うといのもどこかかから借りて来たお話だろうし、人の記憶は
    年月を経るごとに汚染されるのも当たり前の話。美化される記憶もあれ
    ば、曖昧になる記憶もある。

    だから、どれほど戦争博物館を設け、後世の人々に戦争を伝えようと
    しても「誰も戦争を教えられない」。この点には共感する。

    しかし、戦争を知りたいと思うのは個人個人の感性の問題だと思うの
    だよね。いくら「戦争は悲惨だ。繰り返してはいけない」と言われたとこ
    ろで、言われた側が知ろうと思わなければどうしようもないのではない
    かな。

    知る機会はいくらでもあると思うんだよね。知ろうとしなかったことに
    対する居直りの上で、古市氏は「戦争を伝える」ことを論考している
    印象を受けた。

    戦争博物館にはエンターテイメント性が必要だと説く当たりは古市節
    なのかもしれないが、数字で表される戦死者の向こう側にはそれぞれ
    の人生があることや、死者を悼む気持ちが欠如してはいないか。

    本当の戦争を知ろうと思ったら、戦場へ行くしかないのだけれどね。
    それが出来ないから、本や映像で知ろうとする若い世代もいると
    思う。

    「若者代表」古市氏の感性が、すべての若い世代に共通するものだと
    捉えてはいけないと思う。これはこの人独特の感性とスタンスである
    のだろう。

    一言で片づけてしまえば、「浅い」ってことになってしまうのだだが。

    尚、巻末の戦争博物館一覧だけは役に立ちそう。古市氏の評価を

    無視すれば…だが。

  • 170506〜

  • 世界各国の戦争博物館を観光しながら社会学者の目線で、世界中の戦争教育のあり方を述べている。そして、エッセイ風なので読みやすい。

    フツーの人が観光では行かない世界各国の戦争博物館を観に行き、その国と日本の文化比較しつつ、歴史教育としての敗戦教育のあり方を題名通り答えのない問題なのかを考えさせる。

    また、アジアの反日国の市民が、その国の博物館を見学している風景の著述を読むと、ホッとしてしまう自分もありながら、反面、歴史教育の難しさをはっきりと理解させる。

    著者のいう公共サービスの博物館にも、マーケティング観点が必要というメッセージには、本当にその通りだと思う。

    著者は、私より若いのだが、次世代の論客の一人となることは、間違いない。
    結構、軽い文章に騙されるが、引用資料も充実して、流石、学者と感心させる。

  • 各国の戦争博物館をまわって、戦争を知ろうとする切り口。
    ネットが全盛の時代に箱モノで伝えられられるものは何か、各国の展示方法の傾向などもおもしろい。

    確かに書いてあるように個々の体験を聞いたことが戦争を知ったことになるのか。
    誰が戦争を教えられるのか。

    切り口も語り口も面白い本。

  • 請求記号:X1799/209.74
    資料ID:50080676
    配架場所:図書館1階東館 め・く~る

  • 終戦から70年の今、気鋭の社会学者である著者・古市憲寿が世界中の戦争博物館を歩き語る。巻末の戦争博物館レビューも面白い。

  • 良い視点の良書

  • 戦争関係の本というものは、積極的には手を出さない。
    のだけれども、それだとまさに「戦争を知らない」ままでいるしかないので、同世代の社会学者がどう捉えるのかという興味もあり読んでみた。読んでよかった。

    歴史は必ずしもひとつではなく、見るもの、立場によってさまざまな歴史があるということは常々思っていたので、そこは同じ意見があって心強かった。
    それ以外のところでも面白い考察が多く、博物館は現代の教会であるということや、日本の歴史博物館の少なさ(たしかに、長崎にはあるけれども現代史はないかも)、1945年8月15日ですべてが変わったわけではないということ、現在戦争が起こりうるとしても第二次世界大戦のようなものにはなりようがないということなど、なるほどと思わせるものが多かった。
    すべてはアナログにつながっているものなんだろうけれども、語るためにはシンプルにしてしまいがちなんだということなのかな。
    ただね、日本は日本なりの立場で現代史も語るべきだと思う。そこにさまざまな説があるということも記載すればいいじゃないか。無知であることは、ディスカッションには不利だ。

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著者プロフィール

古市憲寿(ふるいち のりとし)
1985年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。専攻は社会学。若者の生態を描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)で注目される。大学院で若年起業家についての研究を進めるかたわら、マーケティングやIT戦略立案、執筆活動、メディア出演など、精力的に活動する。著書に、『誰も戦争を教えられない』(講談社+α文庫)、『保育園義務教育化』(小学館)、『だから日本はズレている』(新潮新書)、『希望難民ご一行様』(光文社新書)などがある。2018年から小説を書き始めている。小説作に「彼は本当は優しい」(『文學界』2018年4月号)。『平成くん、さようなら』で第160回芥川賞ノミネート、『百の夜は跳ねて』で第161回芥川賞ノミネート。

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