しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 960
レビュー : 113
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816090

作品紹介・あらすじ

負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。
四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。
その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・
山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。
社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。
山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。
一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。

感想・レビュー・書評

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  • あの時代、社会人なりたてホヤホヤで、総務・秘書業務にだったものの金融業界の片隅に生息していて、色々なことを見聞きし、大丈夫なのかな世の中は?とただ漠然と思ったものです。社会のからくりが少しわかるようになり、社会経験も積んだ今だからこそこの本で触れられているあの時代の、あの日々の壮絶さとずるさが人ごとではなく、感じ取れます。どんな立場、仕事であっても誠実に取り組むことが大切なことなのだと、当たり前だけれど思います。

  • 負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。
    四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。
    その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・
    山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。
    社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。
    山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。
    一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。

  • 会社という拠り所を失ったとき、サラリーマンという人種は何を思い、どう動くのか。ほとんどの人間は、蜘蛛の子を散らしたように、沈み行く船から我先に逃げ出そうとするのだろう。それでは、沈み行く船と運命を共にしようとする人達は、どういう思いで、何を成し遂げるために残ったのかー

    すごい、久々に面白かった!とすっきり終われた本だった。最近お仕事系ノンフィクションが好きなのは、本を通して、その時代の空気や血の通った登場人物の熱意に触れられるところなのだと思うけど、それにしてもすごいお話だった。12人のしんがりたちに、心からのお疲れ様とありがとうを贈りたい。仕事辛い時期だからか、不覚にも前書きで泣きそうになったよ…甘ったれた自分に喝を入れたい。でも、今でよかった。この本は、学生の頃の私では絶対分からない。

    山一証券の破綻は、子供だった私もなんとなく覚えているくらいインパクトのある出来事だった。けれど、何となく「バブルの終わり」「平成の大不況のはじまり」くらいの感覚だったので、意外と最近(1997〜1998年)の出来事だったなんて全然知らなかった!この本を読んでから例の野澤社長の会見を見たり、当時の山一社員の達観したようにも見えるインタビューを見ると、なるほどなと合点がいくようなところも多かった。
    ネットでちらちら探す限り、山一の元社員は今も集いの場を持っているようで、会社に人生のひととき(人によっては持ち株で財産のほとんどを失っているから、人生の大部分)を振り回されてもなお、その会社と仲間を愛した人達がいるのだなと胸が苦しくなる。それはまた、この敗戦処理に真正面から臨んだ12人のしんがりたちもまた同じなのだろう。

    ともすれば専門用語が散りばめられたわかりづらい話になりそうなところを、私のような株やら証券やら縁遠い人間にも分かりやすく、かつこれだけ面白く読ませるというのはすごく難しいだろうなと感服しました。人々の興味を引くテーマを、記者が熱意をもって取材し、執筆・編集した賜物なのでしょう。そしてまさか清武の乱の人だったとは、それも知らなかったな…
    清武氏はあとがきに、「2011年暮れからひとりのジャーナリストに戻り、組織を離れても悔いなく生きている人たちを取材し続けている。」と綴っている。2011年暮れというのは、正に清武の乱が勃発した時であり、清武氏が巨人の球団代表を解かれたタイミングである。一連の騒動で、思うところありまくったんだろうなぁ…その熱意がこのような作品を産み出したのだから、私たち読者にとってはありがたいことだけども。

    「彼らの生き方はサラリーマンの人生の糸をよりあわせたようなものであって、私たちと無縁なものではない。言葉を変えれば、彼らの姿は苦しい時代を生きるあなたにもきっと重なっている。」
    会社とサラリーマン、仕事、家族…と、自分の身に起こったらどうするだろうかと、ぐるぐる考えるとてもよい機会になりました。望むならば、不正とは無縁だった、ひいては不正に抗おうとした山一社員とご家族たちに幸多からんことを。

    --

    1997年、四大証券の一角を占める山一證券が突如破綻に追い込まれた。幹部たちまでもが我先にと沈没船から逃げ出すなかで、最後まで黙々と真相究明と清算業務を続けたのは、社内中から「場末」と呼ばれる部署の社員だった。社会部時代に「四大証券会社の損失補填」「日債銀の粉飾疑惑」など、数々のスクープを放った伝説の記者・清武英利、渾身のビジネス・ノンフィクション。

  • これも後輩から借りた本。借りた本しか読んでない今日このごろ。(どうでもいい)

    山一證券が破綻し、会社が無くなることが決まった中で最後の闘いに臨む社員達の物語… といえばそうなんですが、そもそも山一證券の破綻とか子供の頃の話で全くピンと来ない出来事でした。しかし、当時の混迷ぶりやその悲惨さ・影響の大きさなどが各登場人物の体験・感情・行動と共に伝わってきて、普通ならば「この時期に大きな会社が潰れたんだってー」で済まされてしまう出来事を、臨場感を交えながら知ることができたのは凄く良かったです。
    この本の一連の出来事の中には、多くの教訓と言うか、学ぶべきポイントが散りばめられており、読む視点によっても捉え方が色々変わる部分も多いのではないかと思います。
    ・不正ダメ、絶対
    ・人生なんとかなる、会社なくなっても
    ・真摯に取り組めば報われる
    ・真摯に取り組んでも報われないこともある
    ・投資甘くない
    ・会社に頼りすぎるな
    ・仲間は大事
    などなど、挙げるとキリがなさそうですが、ノンフィクションだからこそ感じ取れるものが多くあったように思います。
    小説ばかり読んでる自分にとって、序盤はなかなか取っ付きづらい部分もありましたが、最後まで読んでよかったなあと思える書籍でした。

    しかし、巨人のイザコザくらいでしか名前を知らんかったから、清武さんって凄い人だったんだなあと思いました。(そこかよ)

  • うーんなんとも身につまされる話。規模は山一とはかなり違うが、当方もサラリーマン。最近、監督官庁からお叱りを受け、世間も多少騒がした。非常時の対応、経営陣の不甲斐なさ、かなりオーバラップするところがあって、他人事とは思えなかった。

    山一も多くの社員は筋の通った、人間であったのだろうが、利益追求の名の下誤った道を歩んでしまった。その後始末に奮闘した、12人の戦いは、本人が望むと望まないに関わらず賞賛に値する。

    自分が同じような行動をとれたかというと、全く自信がない。真っ先に逃げ出していたかもしれない。とても、嘉本さんのように、毅然とは立ち向かえなかっただろう。


    本書で、一つだけ残念なのは、大蔵省側の不正?(見て見ぬ振り)について、深く踏み込めなかった点だけである。

    今の所、今年一番の本である。

  • 山一證券が破綻したのは大学学部3年生の時。ニュースを見た時は「まさか山一が」と衝撃を受けた。

    しかしその後の報道および本書から、山一は相当前から破綻に近い状態だったことが伺える。

    著者は巨人でいろいろあった人だが、ジャーナリストとしては非常に優秀であることが本書から見て取れる。

  • 山一にこんな信念のしっかりした方々が居て、ようやく真相に辿り着いた。もっと早くに対処出来たなら変わっていたのかな。

  • 突然自主廃業となった山一證券。沈みゆく船から皆いち早く脱しようとする中、後処理を一手に引き受けた場末チームの奮闘を綴る実名ノンフィクション。

    つまらない仕事なんてない。つまらくしている自分がいる。社会のせい、人のせいにして、逃げを打つ人生にするのか、自分の信念を打ち立て、実りある人生にするのかは、自分次第なんだろうな。

    近所の同級生にお父さんが山一證券勤務の奴がいたな。廃業ニュースが流れてしばらくした後、静かに引っ越していってしまったことを思い出しました。元気にしてるかな。

  • 山一の敗残処理を引き受けた人たちは、決して自分のためにに引き受けたわけではなく、生活苦に喘ぎながらただ責任感や連帯感で引き受けるが、無給で将来に不安を抱きながらの事であり、頭が下がります。
    しかも自分を貶めるリスクがある危険な事でありながらも、その半端ない仕事は歴史に残る偉業を成し遂げたが、当事者達は後悔なく良い経験が出来たと語る。
    人は真に必要とされる、或いは必要と感じた時、尚且つそれが有事である時にこそ損得関係なく行動できてこそ価値のある人物であり、必ずその行いは誰かが見ていると考える。
    サラリーマンとて矜持を持ち、行動する心を少しだけでも汲み取りたい。
    同時に、悪事に手を染め私欲に過ぎないよう、反面教師となる旧経営陣からも学びたい。

    実名で記した作者も同様にリスクと根気がいったであろう。しかし、書いて残すことを使命を感じ、成し遂げた点では登場人物たちにも通じるところです。

  • 山一破綻後の清算処理・真相究明部隊が、自分たちの生活も顧みずに、山一證券がなぜ自主廃業へと追い込まれたのか、究明していくノンフィクション。
    会社を潰すため、清算するための業務だから社員の士気が上がらない。という当たり前なようでいて、会社が存在するうちは考えもしない事実にハッとした。

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著者プロフィール

清武英利(きよたけ・ひでとし)
1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞社入社。青森支局を振り出しに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争に。現在はノンフィクション作家として活動。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社+α文庫)で2014年度講談社ノンフィクション賞受賞。近著に『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)、主な著書に『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』(講談社)、『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢』(講談社+α文庫)など

「2017年 『空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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