警視庁捜査二課 (講談社+α文庫)

  • 講談社 (2015年10月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784062816304

作品紹介・あらすじ

外務省報償費流用事件、岡光事件、農林水産省汚職をはじめ、霞が関や闇の怪紳士たちを震え上がらせた「捜査二課のエース」が、事件の備忘録を開示する!

みんなの感想まとめ

多様な人間ドラマと社会の裏側を描くこの作品は、36年間の警視庁での経験をもとにした著者の自伝です。萩生田勝氏は、個性豊かな刑事たちや事件の背後にある人間の喜怒哀楽を巧みに表現し、読者を引き込む魅力があ...

感想・レビュー・書評

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  • どデカい汚職捜査の内偵中になぜか辞職に追い込まれた名物刑事。そのたたき上げの刑事人生と、数々の難事件を人海戦術と人情と執念で迫る姿には鬼気迫るものを感じました。その彼が綴る手記はなんとも重いものです。




    この本を読むきっかけとなったのは先日紹介した『外務省に告ぐ(新潮文庫)』(新潮社)という本の中で佐藤優氏と筆者が対談したということがきっかけで読み始めました。

    一読して筆者の現場でたたき上げで外務省の機密費事件のほかにも数々の巨額の汚職事件(業界用語では『サンズイ』というらしい)を解決してきた方なのだそうです。

    そのような仕事に従事するきっかけとなったものは商業高校時代に取得した簿記一級を経歴に書いていたからなんだそうです。ページを読みすすめながら、人海戦術を駆使して業務が深夜になって、連日家族の元に返れないまま、3カ月、半年も過ぎていくという描写については刑事が犯人を捕まえるということに対する執念と仕事の過酷さを思い起こさせるものでした。

    取調べをしたり、銀座で働いている『夜の蝶』たちから情報を聞き出すとき、それを担当する人間がいるのですが、彼がさまざまな形で身辺を『きれいに』していたからこそ、普段では絶対に明かすことのないような、官僚の『接待』を受けている裏のところですとか、被疑者との取調べの際に、信頼関係を築いていくことはできないのだな、ということを思い知らされました。

    筆者は団塊世代の刑事が大量に退職していくことに非常に危機感を抱いておりましたが、こういう『人間力』がある刑事がいなくなっていく、ということはなんとも寂しいものがありました。

    やはり一番のハイライトは、外務省の機密費を自分のものとして着服していた人間を取り調べていたときで、詳しくは本書に譲りますが、取調べの担当刑事の何気ない所作で被疑者の心が揺れ動く場面は圧巻でした。

    結局、この事件は使われたお金が完全には明らかにはならず、佐藤氏との対談で筆者は『警察は敗北したのだ』と述懐していたのが印象に残っています。筆者はこの事件のあとにさまざまなことがあって、定年退職を迎える前に警視庁を去るのですが、その無念さと、警視庁の将来を憂えた筆致に深く考えさせられました。

    ※追記
    本書は2015年10月21日、講談社より『警視庁捜査二課 (講談社+アルファ文庫 G 268-1)』として文庫化されました。

  •  ブクログの献本サービスで戴きました。講談社様、ブクログ様、本当にどうも有り難う御座いました。感謝しています。

     萩生田勝氏の飄々とした人情味溢れる文章で、様々な人間の喜怒哀楽が巧みに描写されて、死体からも感情が見えるようです。あまりにも個性が強い刑事やホシとの生臭い人間ドラマが繰り広げられています。
     プロレスラーが好きで別れるのが嫌で咄嗟に刺してしまった女と、大恋愛中の女性警官の調書の話に涙。
     田安門でテキ屋を逮捕した時にテキ屋の調理方法を知った萩生田氏が「それ以来、私は屋台の物を口にしなくなりました。」(168Pより)と書かれていて、「え?それってどういう事?」と思いました。
     地下鉄サリン事件にも言及されています。当時テレビ報道で知っただけでも大衝撃なのに、当事者の方から語られると改めてショックを受けています。警察やマスコミの実状も語られていて、萩生田氏の苦言はマスコミにも必ず読んで戴きたい。
     痴漢に関する事柄も出てきますので、ここも皆さんに読んで欲しいです。
     萩生田氏の奥様は良く出来た強い女性で、奥様がいらしたから萩生田氏がいるんですね。
     あとがきを読んでほろりときました。長年の刑事人生お疲れ様でした。
     横山秀夫氏の警察小説や(読んだ事が無いですが)、2時間SPになると政治絡みや社会派になったりする『相棒』のような硬派な内容なのに、どういう訳か『はぐれ刑事純情派』を思い出してしまいました。

    「(前略)権力のあるところ必ず利権が生まれます。そしてその利権を漁ろうとする輩が必ず現れ、怪しげなカネを懐に忍ばせて権力に近づいてくる。古今東西、変わらぬ真実です。
     いかに清廉潔白な人物でも、目の前に積まれたカネの魔力に逆らうことは並大抵のことではありません。スッとカネを差し出されれば、自分にアレコレ言い訳しながらポケットにねじ込んでしまう人も少なくない。悲しいことに、これもまた真実なのです。」(344Pより)

  • 窃盗犯、収賄犯から人間のコアな部分が炙り出されているようで、面白かった。現場をベースにした、本職からしか得られない内容。警視庁人生を全うした方ならなかなか筆を取れないと思うので、当書は貴重ではないか。
    逃げる奴は人生を賭けて逃げているため、ちょっとした「いつもとの違い」に凄まじく敏感になる、とのこと。味わい深い。

  • 36年間にわたり、警視庁に努めた刑事の自伝。どのような事件に関わり、またどのような現場であったのか。刑事の仕事の裏側を学べる一冊。

  • 主に贈収賄事件を担当する捜査二課の過去の実際の事件が生々しく飾り気なく語られており面白かった。同様の本にありがちな乱暴な筆致ではなく、丁寧な書きぶりで読みやすい。
    真矢ミキ主演でドラマ化されただけのことはある。

  • 巡査から叩き上げ、捜査二課で贈収賄事件を追いかけた刑事の人生。最終の階級は警視。退職時には分室の管理官。贈収賄の捜査の大変さと立件の難しさを知ることができた。団塊世代の大量退職による捜査能力の低下を危惧する著者。真相不明のまま早期退職を余儀なくされたにも関わらず、捜査二課の仕事にエールを送る。

  • 文章は学生の感想文のようにですます調でぶつ切りのため、慣れるまでは疲れてしまうが、内容としては面白いと思う。
    ただ、著者も言う「若手警察への参考と経験の継承」に役立つかと言えば、やはり広く浅くい内容という感覚が最後まで消える事は無かった。これほんとに役立つのかな?
    清武英利の著作である「石つぶて」にも出てくる萩生田勝氏が著者であるが、文章力という意味では雲泥の差だろう。これは自らの警察人生を事実と感想を交えて正しく記すという、いわば彼自身の「調書」であり、物語として作られた「石つぶて」とはまた別の趣を持った作品である。
    そういう意味で、現在50代以上で、作品中に収められた各事件などが記憶にある方は、より楽しめるのではないだろうか。
    個人的には、知識として楽しむ作品であると感じた。

  • 小説・実話の垣根を越えて、これまで書かれた刑事ストーリーの常識を覆す衝撃のノンフィクション。どデカい汚職捜査の内偵中になぜか辞職に追い込まれた名物刑事。彼はかつて外務省機密費事件を捜査指揮した男だった。誇りと無念を胸に秘めて書き綴ったリアル・ストーリー。
     
    権力のあるところ利権あり──

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著者プロフィール

1949年、東京生まれ。68年、警視庁入庁。85年、警部補に昇進し、警視庁警視庁捜査二課捜査係長を務める。担当した事件は日本道路公団贈収賄事件、外務省内閣官房報償費詐欺事件など多数。2002年、警視昇任。玉川警察署、昭島警察署の刑事課長を歴任。05年に警視庁捜査二課立川分室管理官に就任。07年8月20日付で警視庁退職。著書には『刑事魂』(ちくま新書)などがある。

「2015年 『警視庁捜査二課』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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