- 講談社 (2017年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784062816632
作品紹介・あらすじ
15歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう1924年のことであった。続く満州国の成立。直前に生まれた母は、新しい支配者日本の過酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。中国で発禁処分となった衝撃的自伝!
『鴻(ワイルド・スワン)』は、私の祖母、母、そして私自身の物語です。祖母と母は、1931年から1945年まで日本が支配する満州国で暮らしました。祖母も、母も、私も、異常な時代と異常な社会に翻弄されながら生きてきました。とほうもなく残酷な時代であり、それだけになお、崇高な人間性が強い光を放った時代でもありました。(日本のみなさんへ)
みんなの感想まとめ
女性の視点から描かれる三代の物語は、歴史の激動の中での人間性の強さを浮き彫りにします。著者の祖母、母、そして著者自身が、時代の波に翻弄されながらも力強く生き抜く姿は、読者に深い感銘を与えます。特に、清...
感想・レビュー・書評
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1995/03/09
読む前からあらすじを読んで、キビシイ内容とは思っていたけど、今でなければいつ読むのかという気持ち。
女性が女性であるタメに、そして、人が人であるためには。それを一番考えさせられた本。
強く、上を向いて、歩いて行く3人の女性と自分を比べてこりゃいかんと実感。
いい女になりたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり前のことですが、中国語専攻の知人に「文化大革命について知りたい」と聞くと、この本を薦められました。
祖母、母、著者の女三代記でありながら、清朝末期から国共内戦、中華人民共和国成立と中国の近代史が、国の内側にいた人の目で語られます。
今と違って、改革開放前の中国は不明なことが多く、この本はセンセーショナルだったと思います。 -
面白い。莫大な情報と熱量がどんどん頭に入ってきてページをめくる手が止まらなかった。なんだか文字が生きてる感じ。読んだ人の血肉になるような本だと思います。
良い本に出会うと愛が深まりますよね。読書に対する愛、世界に対する愛、この本に出会えた自分に対する愛。私はこの本を読み終えた時、そんな感じになりました。 -
メディアを活用し、相互監視の仕組みを構築し、嫉妬や猜疑心を煽り、市民同士を対立させる。文革時代の中国がやったことは、sns時代の先取りだっのか。その中で自由に生きるとは、家族のつながりを大事にすること、本を読み勉強すること、旅に出ること、そして孤独になること。主人公は恋愛の機会に何度か恵まれたが、どれも成就することができなかった。
詩のような美しい文章で、壮絶な迫害のシーンですら、少しの爽やかさを感じさせてしまう。恐ろしい。 -
すごい辛かった時に、貰った本!
一気に読んだ!
激動の中国を生きた人に比べればって思った! -
毛沢東の暴政に翻弄され続けた中国のお話。
本書は1900年から1978年までをカバーし、大躍進(4500万人死亡)、文化大革命(数千万人死亡)の混乱ぶりが1家族の目を通して描かれる。
当時の中国は毛沢東が強大な権力を握り、刃向かう人間(疑わしいとされた人間も)勝手にレッテルを貼り弾圧する恐怖政治が横行していた。明らかに間違った政策も、疑問を呈するだけで毛沢東の逆鱗に触れて失脚させられるという状況はスターリンやヒットラーなどの独裁者と同様、誰も歯止めをかけられない。
作者は共産党の高位な家庭で育ったため、様々な情報が両親から伝承されるという幸運にも恵まれ、情報統制の厳しい環境下でも客観的な描写が可能となった。
簡単に解説しておくと「大躍進」とは1958年~1961年まで行われた農業と工業の強靭政策だったが、無理な計画を「できない」と言ったとたんに「忠誠心がたりない」などと罵倒され党員の階級を下げられたり左遷させられたりしたため、本当のことを誰も進言できなくなり、目標数字は現実離れ、報告も水増しされた結果、大飢饉を招き農村での餓死者を続出させるという事態に。さらに、党内では権力闘争という形で反対者を拷問処刑し、現実を直視できる有用な人材を多く失うという事態を招いた。
文化大革命とは1966年から10年にわたって起こった毛沢東復権のための権力闘争のこと。大躍進の失敗のため、国家主席の座を劉少奇に奪われた毛沢東は紅衛兵や学生運動を利用し、政敵を走資派と呼び反革命分子として弾圧し始めるが、走資派の中には共産党幹部、知識人、旧地主の子孫など単純に「庶民ではない」というだけでつるし上げや拷問を受け、多くの自殺者を発生させた。行き過ぎた運動を収束させるために、都市部の紅衛兵を農村に返し(下方)、結果的に市場経済化の芽を摘み、農本主義を進めることで、工業化を遅らせ、文化的な停滞を招き、社会を分断させた。(この時に暗躍したのがかの悪名高き4人組である)
こうした歴史を振り返ると、毛沢東の暴走と鄧小平の理性との戦いのくり返しだが、今なお尊敬を集めるのは毛沢東だというのも中国言論統制の深い闇を感じさせます。
全体を通して暗い内容の割に、さらっとした読後感なのは、親から哀しい話を聞き、自身もつらい思いをしながらも26歳という若さで中国から脱出できて幸せな生活を送れたことによる余裕なのかなという気がした。
今現在も中国本土では発禁本扱いとなっていますが、中国の歴史に興味のある方はぜひ一読を。 -
エスニシティ論を担当していた教授の勧めで手に取った。
中国の一族の人生を世代を超えて描く事で、その激動期を鮮明に活写した作品。中国、ノンフィクション、長編の三本柱に若干の苦手意識を持って読み始めたが、気づけば先を急ぐようにページを捲る自分がいた。詳細な記述のおかげで、まるでドキュメンタリーを見るように読み進めることができた。
リオタールの言葉を借りるならまさしく、「大きな物語」である共産主義。洗脳•改造とも言える思想変貌の渦中で革命に身を投じる主人公の中に垣間見える葛藤がひしひしと伝わってくる。(清潔でさえもプロレタリア的でないと非難され、ブルジョワ的だと好きな本を読むことさえも許されない)。
「革命」に命をかける若者を羨ましいと思った時期もあったが、自由が保障された現代がいかに恵まれた時代であるかを改めて認識させられる。
中•下の展開も非常に楽しみである。
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•国民党(蒋介石)(民主主義)↔共産党(毛沢東)(マルクス •レーニン主義=社会主義)
国民党:毛沢東との内戦に敗北の後台湾へ。
•綜合文庫:対立する理想•理念を融合し、新しい時代の新しい理念を作り出す。
→人文、社会、自然の諸科学は結局人間の「学」に他ならない。現代社会の瑣末(さまつ)な情報の氾濫の中から、力強い知識の源泉を掘り起こし、技術文明の中に生きた人間の姿を復活させるのが歴史書物である。
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20世紀中国の歴史を作者の一家のエピソードと共に描く。他のレビューにもあるように箇条書きエピソードの面が強く、なんだか小説というよりは歴史書を読んでいるようだが、二次大戦後の混乱や文革の恐ろしさを肌で感じられるようなリアルな描写は勉強になる。
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図書館で借りた。
かつて話題となったベストセラー本のひとつで、現代中国における自伝的ノンフィクション。著者の祖母→母→本人と3代に渡るドラマは重厚だ。
私は中国現代史を知る本として知った。確かに「これが中国の世界観か…」と、理解を深めることができた。
小説としても面白い(が、基本的に「つらい・悲しい・引き裂かれるような逃れられない運命」の繰り返しだ)
ポイントポイントで、「中国人の感覚ではこれが~だ」と説明があるのが外国人にとっても非常に分かりやすい。
上巻は清朝滅亡~世界大戦~国共内戦~大躍進運動あたりまでの中国現代史キーワードが含まれる。 -
中国がなぜ、民主主義を採用しなかったのかが何となくわかった気がする。
国民党、共産党、日本含めた諸外国、当時の中国を取り巻く環境の異常さが伝わってきた。 -
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●纏足に関する生々しい記述には、子供のために、子供に痛い思いをさせる親の葛藤を感じずにはいられなかった。
●妾が普通に存在している社会
●日本軍占領時代→国民党時代→共産党時代
●上流階級が権力に胡座をかく様子が色々みられる
●筆者の近くには聖人?が多い印象
●住民(ご近所)密告制度で、他人に陥れられる可能性がある生活は怖くて仕方がない。
●大躍進で無理な目標を掲げさせて、その後の飢饉を招く
●鉄集めとかの失政
●一家の目線からみる中国史
●大飢饉の存在は知らなかった。死者数おおすぎ。
症状も、タンパク質含む物質の培養(尿)の仕方もきつい。
●親が子を思うシーンや、普段は仕事人間の父が少し丸くなって慰安旅行から妻に会いに少し早く帰ってくるシーンなど、ほっとする場面もあった。
●現在への歴史の繋がりが気になる。下巻もよみたい。
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随分前に読んだ本。米原万里の「嘘つきアーニャ」を読んで、同じく時代に翻弄されたこの本をおもいだした
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清末からの3代にわたる女性の物語。
中国では纏足文化が清末にはあって、良家に嫁ぐには必要だった。
共産党は仕事もプライベートもなく報告することを求められた。
国共内戦の時から共産党員には思想改造を行っていた。
毛沢東の政策に翻弄され、その中で毛沢東は絶対権力にこだわり、持続させる。
毛沢東は資治通鑑を愛読。
筆者の父は共産党は昔の縁故による中国の悪政をなくすものとしていたが、大躍進の飢饉後に変わる。しかし、子どもには厳しい。
大躍進で失脚した毛沢東が復活したのは雷锋が毛沢東の言葉を思い浮かべての行動と位置付けたから。 -
「集団」の恐ろしさ。
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想像を絶する中国の近代史。
強く印象に残って忘れられないのは、
著者の曽祖母に名前がなかったということ。
纒足を含めた女子の扱われ方、国との関係性、
飢饉の悲惨さ、相互監視からの猜疑心…などなど、
実際の経験談(伝聞込み)には恐ろしいほどの説得力がある。
下巻はあの文革の核心か…。
読みたいけど怖い気もする。
今年の夏は『さらば、わが愛〜覇王別姫』を7回観た。
それもありこの本に興味を持ったが、想像以上に重い。
自分が知らないだけで、昔の日本も悲惨な状況があったのかも知れないが、やはり思想の制限や政府への妄信など、経験したからこそ語られる強さを感じた。 -
日々のニュースやイメージとしての”中国”しか自分の中になかった中で、グオチャンの展示「宇宙遊」やドキュメンタリー「空の梯子」を見て、中国の歴史を知りたくなって読み始めた本。
自分の毛沢東や中国の印象が大きく変わった!どんな理由でも戦争や暴力が許されるわけではないけど、やはりあの大きな土地と膨大な人口にある一定の安定をもたらそうとすると、とても大きな力が必要であることを理解した。
国民党への脱却時には明確な目的があり、強い意志を持って行動してたけど、共産党になって道徳的な疑問はありつつどう行動するのが適切かわからず悶々とする気持ち、レベルは違うけどわかる気がした。 -
想像以上の読み応えで圧巻。中国の近現代史の激動が女性の生き様から描き出されていて一気に読める。下巻は文化大革命の凄惨な描写が続き読んでいて辛い。上巻の方が小説のような読みやすさがあるのは、上巻が母からの伝聞、下巻から直接の経験に基づくからか。読後、中国近現代への理解が格段に深まった。
著者プロフィール
ユン・チアンの作品
