- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062820868
作品紹介・あらすじ
経済事件の50%は冤罪である!「2つの構造的欠陥」と「未確立の経済倫理」を振りかざす法の執行者たちが、日本の裁判機能を壊死させている。粉飾決算疑惑による190日間の勾留を体験した敏腕会計士が、「経済事件こそ最も冤罪が起きやすい」理由を解き明かす。
感想・レビュー・書評
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司法に経済犯罪は裁けるか 細野祐二 講談社
著者は公認会計士であるが
「公認会計士VS特捜検察」のベストサラーの他
多くの著書もある
法的に落ちのないためにクドイ部分があるのは仕方ないとして
一般には隠されている権力の理不尽で あってはならない筈の心無い内容に引き込まれてしまう
裏表を使い分ける権力同士は談合して癒着するのが道理 権威と利権の拡大に執着して心をなくしている組織人間が
捏造したストーリーの展開通りに精神的拷問によって追い詰めた自白と
証拠固めの飴と鞭の誘導による調書で司法を抱き込み
巌窟王のような死刑を含む明らかな冤罪を作り上げてしまう過程を 具体的に客観視して書き上げた文章が力強い
勿論村上ファンドやライブドアーなどの経済犯罪ばかりではなく
刑事事件についての冤罪も世間に多くあり袴田事件を詳細に取り上げている
又何故検察と司法の癒着が起こったのかについても調べ上げた報告がある
司法試験に合格できる頭が良い筈の検察官や裁判官も
象牙の塔のみで世間知らずであるが故に事実や人を見る目もなく
意識に育つ間もないママに奉仕の仕事である公務を権力と捉えて
三権談合による不法な実態を鵜呑みにしているということである
法と言う道具を利己的に運用する建前と本音の権力構造を当然としているのが
現状のようである
警察を含めて検事側の費用も時間も全て税金で賄われる一方で
無実であろうがなかろうが検察の都合で被告にされたが最後 自前の時間と財力と交友関係を犠牲にして全てを賄わなければならないと言う 理不尽で不平等な関係の中で 暴力的に押し付けられた鉄格子の中で権力と対抗しなければならないのだ これが自由と平等を謳う国家のあるべき姿だろうか とんでもない話である詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
感想……うなずける点も多いが、提言は生煮え。問題提起の本。
【内容紹介】
ISBN:978-4-06-282086-8
判型/ページ数:四六/264ページ
発売日 : 2008年08月04日
定価 : 本体1,600円(税別)
経済事件の50%は冤罪である! 「2つの構造的欠陥」と「未確立の経済倫理」を振りかざす法の執行者たちが、日本の裁判機能を壊死させている。 粉飾決算疑惑による190日間の勾留を体験した敏腕会計士が、「経済事件こそ最も冤罪が起きやすい」理由を解き明かす。
経済事件は物証が存在しないため、一般刑法犯とは犯罪の証拠構造がまったく異なる。現在の捜査機関は、物証なき経済犯罪に対して、一般刑法犯とまったく同じ捜査方法で捜査・起訴しようとしている。筋読みをしてシナリオを書き、自白を強要するのだ。 ――違う。経済犯罪を摘発するには、そのためのインフラが必要であり、物証なき経済犯罪に、物証があることを前提とした捜査をしても意味はない。現在の特捜検察による経済犯罪の摘発は、危険きわまりない状態にある。(本文より) 経済事件の“犯意”は、必ず決算書に現れる――。 検察よ、裁判官よ、会計リテラシーを身につけよ。
<http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062820868>
【個人的メモ】
・弁護士による批判的な感想文(2009-02-06 )
<http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/68d9d295e9aaf6b043b77eed4fb92403>
【目次】
はしがき(平成二〇年三月二四日 細野祐二) [003-008]
目次 [009-012]
第1章 冤罪と経済事件 013
第2章 村上ファンドの誤算 036
第3章 司法と会計 065
第4章 粉飾決算原論 095
第5章 日本的経済倫理 122
第6章 起訴有罪率九九・九% 140
第7章 戦時刑事特別法 165
第8章 日本司法教 199
第9章 袴田事件 220
あとがき [255-260] -
公認会計士として、特捜検察の矛盾をあぶり出した著者が、日本の司法界の問題点や矛盾点をさまざまな角度から言及する本である。
全9章であるが、冤罪の起こる理由や、複式簿記などがわからないが、いわゆる筋読みをして経済問題とするところや、起訴有罪率が99.9%の問題点、戦時中まで行われた、陪審員制度(裁判員制度ではない)がなぜ疎まれているのか、日本司法教とも言うべき司法の絶対視することから問題が起こっているように感じた。
個人的には、著者の専門である、4章の粉飾決算論、5章の日本的経済倫理がお勧めかなと思った。筆者には、制度論、文化論なども含めて、このような重要な指摘を今後とも続けてほしい。 -
●目次
はしがき
1.冤罪と経済事件
2.村上ファンドの誤算
3.司法と会計
4.粉飾決算原論
5.日本的経済倫理
6.起訴有罪率99.9%
7.戦時経済特別法
8.日本司法教
9.袴田事件
あとがき
●筆者の主張
・経済事件は、物証が存在しないため、一般刑法犯とは犯罪の証拠構造が異なる。現在の捜査機関は経済事件を一般事件と同様に取り扱おうとしている。経済犯罪を立証するためにはインフラが必要である。
・経済事件には客観的証拠が乏しいとされるが、実際には財務諸表という証拠がある。財務諸表には、企業のすべてのヒト、モノ、カネの流れが複式簿記の原理に従って、集計整理され、論理的整合性を持っている。財務諸表は、経済取引の客観的係数記録であると同時に、相当程度において経営者の主観を表している。
・にもかかわらず経済事件において、財務諸表を分析しないのは分析する能力がないからである。
●個人的感想
・ご自分が起訴されていることから、冤罪事件に肩入れしすぎな気がする。ただ、会計経済人として、筆者の財務諸表に対する主張には同意する。 -
経済活動に対する裁判所の役割とは。