爆笑問題のニッポンの教養 コトバから逃げられないワタクシ 言語学

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062826150

作品紹介・あらすじ

世界にあふれる7000もの言語。人間は言葉を操っているのか?言葉に操られているのか?現実は言語に支配されている。

感想・レビュー・書評

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  • 言葉とはなにか?
    言葉を得て人間は、物事を記録し、想像し、ウソをつき、発展してきた。
    しかしその一方で人間は、言葉でしか物事を考えられなくなった。
    「言葉は単なる人間の道具ではない」
    そう語る、社会言語学者 田中克彦さんと爆笑問題の対談。

    言葉は不完全だけど、伝達手段として頼らざるを得ないもの。
    相手に本意でない意味で伝わることがあります。
    しっかりと伝えたいときは、落ち着いて、気持ちを込めなければ。
    スキンシップと表情と言葉、大事に使っていきたいものです。

    本書は“気付き“が多かったです。以下、気付きを羅列しました。
    ■言葉は、現実に起こっていないことを思い描くことが出来る。
    ・イヌやネコにも悲しいとか怒りとか甘えるとか感情はある。記憶もする。コミュニケーションもする。
    ・でも悩まない。言葉は、今起こっていないことをアレコレ考えさせる。
    ■言葉は実にまどろっこしい。
    ・「イヌ」っていう言葉を言おうとしたら「イ」と「ヌ」は同時に言えない。
    ・「イヌがネコを追いかけている」。絵ならパッと見て判るが、同時に起きていることを順を追ってしか表現できない。
    ■子供が初めに身に付ける音は「パ」「マ」「バ」
    ・音声学でいう両唇閉鎖音。パパ、ママ、マンマ。そこからだんだん喉の奥に発音器官が進んでいく。(「カ」など)
    ・英語は喉の奥(喉を開いた)の発音が多い。歌(発声)の上手い下手に関係あるかも。
    ■文字が出来て精神が弱くなった。
    ・オトの言葉があって、次に文字が出来た。
    ・本当は自分の考えていることが一番大切なのに、自分の外の知識(文字)に頼るようになってしまった。メモを見ながら話すと自由な考えが出て来ないとか。
    ■現実を言語が支配している。
    ・言葉は現実をどういうふうにつかむかの道具。
    ・言葉で考えることに慣れすぎている。感情や直感よりも言葉という色眼鏡で見た世界を重要視しがち。(“悲しい”と一言で表現できる悲しみなどあろうか?)
    ・言葉が意識を支配する。「あなた」「おまえ」、英語は総て「YOU」。「巨乳」という言葉が出来たから、大きくしようとする人が増えた。支配者が被支配者に言語を強制することも。
    ■距離を縮めるけど、壁を作る
    ・同じ言葉を使うもの同士の距離をぐんと縮めたが、異なる言葉を使う者の壁を高くした。そこに民族ができ国家ができた。
    ・異なる言葉、異なる意識を持つ多くの民族がいるから、多様な学問が発達した。
    ・中立の世界共通語「エスペラント」。宮沢賢治のイーハトーヴがそれ。現在理解できる人は世界で100万人いるらしい。
    ■言葉が支配する現実から少し自由になりたいとき、嘘をつく
    ・嘘(空想)がつけるから、人間は進歩した。現実から離れるから。
    ■言葉のジレンマが人間のジレンマ でもだからこそ詩が生まれる

  • テレビ対談?の書籍化。
    言語学を学んだ事がない為に正しく評価できませんが、一冊で言語学の様々な(といっても一部だが)面と接する事ができ、また「言語とは何か」について考えさせられる一冊。
    *****
    以下、私的な感想。
    人は言葉によって社会を築いてきたと同時に言語によって支配されてしまった。この無意識の支配から脱したくもあり、脱したくもないという矛盾を人は抱えているように思えました。
    ただの言葉という道具が言語化される事により無意識に思想や思考さえも束縛されている、とも考えられ個人的には興味深かったです。

  • 言語学の大家との対談。
    12~13歳のころまでに母語が確立し、その母語から言葉も考え方も外にできることはできない。
    言葉は壁も作るし距離を縮めることができる。しかし、言葉が制約を作ってしまうのも事実である。

  • 言葉が限界を作ると言うけれども、
    言葉にも必ず効用はあるし、ずれの修正、中庸の起点にもなるのは確か。認識の変化を生みだすきっかけになるもの確か。

    ただ読む前の疑問点の解消には至らず。
    結局言葉にするということには何の意味があるんだろう。
    抽象化からの理解?学習?より新たな確からしい認識へのステップ?わかりません。

  • [ 内容 ]
    世界にあふれる7000もの言語。
    人間は言葉を操っているのか?
    言葉に操られているのか?
    現実は言語に支配されている。

    [ 目次 ]
    プロローグ 先生のお宅訪問
    第1章 どんな言葉をしゃべっていますか?
    第2章 母はパパだった!
    第3章 現実を支配する言葉
    第4章 巨乳問題
    第5章 言葉が持つジレンマ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • すごく面白かった!
    わたしの言いたいことが詰まってる上に、そこからの発展がまた楽しい。
    このシリーズとても好き。

  • 言語学者である田中氏と爆笑問題との対談をまとめた本。子どもは発音しやすい言葉から身に付けていくという話題や、言葉は人が「言葉」を得たことよって、獲得したこと・失ったものの両方あるといことが対談の中に出てきて興味深かったです。(2008.9.10)

  • 心を取りこぼす言葉

  • 言語で世界が組み上げられている、という話。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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