爆笑問題のニッポンの教養 人類の希望は美美美 美学

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062826204

感想・レビュー・書評

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  • ここで言う「美学」とは、”芸術とは何ぞや?という原理的な事を考察する西洋の学問”です。

    近代芸術は3段階を経ています。
    第一段階はシスティナ礼拝堂のミケランジェロの絵画や、ヴェルサイユでのオペラといった、公共の場で大勢にインパクトを与える芸術です。権力者が権威を示威することが目的でした。今でいうと軍事パレードやオリンピックの開会式に当たります。
    第二段階は政治権力と関係ない貴婦人を中心にサロンで起こりました。ロココです。音楽も絵画も、室内で少人数が会話を楽しむ空間の演出に主眼が置かれました。
    第三段階はさらに重要なステップでした。個人の芸術です。
    芸術家の精神性に関心が向けられ深みが増したのです。レンブラントは心中を絵画で表現し、モーツァルトは自分の悲しみを曲に乗せました。

    芸術のステータスがどんどん安定すると、美術学校や評論家の力が大きくなり、彼等が認めない芸術家は世に出れなくなりました。
    するとルサンチマンと体制批判からアバンギャルドが産まれ、さらに新規性を求めた者達からポップアートが産まれました。
    それまで芸術で描かれる対象は”偉人や自然美”でしたが、彼等は”雑貨など身の回り品”をテーマにすることで新規性を求めました。
    そしてこれらが認められたとき、おかしなことが起りました。
    ただのゴミでも”アート村の人間がアートと認めたもの”には高価値が付いてしまったのです。

    太田光はこれを”愛着だ、くだらない”と断言しました。
    ほんものを見極めるのは直感です。
    いいものはいい。悪いものは悪い。
    ただ感じるだけです。自由です。と私は思います。

    いい悪いを決めるのは感性です。感性は磨けば光ります。
    計算通り整然としたものや前の総理が言った「美しい国」は決して美ではありません。
    いいもの悪いものがちゃんと判るように、日頃から本物・いいものに触れ、感性を養っておきたいものです。

    最後に、美やいいものを作り出すときって、意図せず出来てみたら計算以上によく出来てたってことが多いんですって。
    合作のときにそうなりやすいとは太田光が言ってました。

  • 美学の専門家との対談。
    オフィシャルな芸術から個人の芸術へ、そして前衛へと進むが、ポップアートまでいくとそれを本当に芸術といっていいのか、美しいモノと考えていいのかなぞになってしまう。
    最上の表現は合作であるというのは正しいかも。

  • 美は我々を謙虚にする唯一のもの
    芸術の体験にどういう意味があるのか
    プロポーションだけ、黄金比では美は説明できない
    意識すればプロポーションの良い作品は作れるけど、それだけでは美にはならない
    美しい作品を作る場合、どういう構図でどういう手法をつかって、どういう構図でその絵を描こうかと考えます。芸術家であれば手法の部分は体の中に蓄積しているのだと思います。にもかかわらず、本当の意味で美しい作品が出来上がると芸術家自身が驚きます
    つまり美しさとは人間が作り出すものではない。人間が最大限の努力をした結果、恵として与えられる効果である
    感性の教育

  • 「えー、なんでこの発言でその切り替えしができるの?」と、

    太田さんの頭の回転の良さに唖然茫然、あと知識量も。


    内容は・・・一つの方向性に向けてまっしぐらな討論、
    と言うわけではないので、若干散漫な感じもしましたが、

    これからの美術、どうなってくんだろうなぁ、と考えさせられる。

    私の描いている絵は、単なる面白味でしかない、美ではない、
    常日頃自分が考えさせられていることを投げつけられた気がするなぁ。

    でも一応デッサンは習い、一通りの基礎をやっていますが、
    「美大」という権威を通ってない自分の絵が「美術作品」足るか、と問われると、自信がない。だから自分は、他の所に価値を見つけるしかない。と考える。「やめろ」という選択肢はおこがましくもなくって・・・。好きだから描いている。わたしはそこに「認められること」を求めては、いけないかなぁ。


    自分の人生まで謙虚になってどうすんの、という個人主義思考をがっつり植えつけられてるもんで、いかんともしがたい。


    でもひとつ、言えるのは。

    今教職について「学習指導要領」にのってる「美術教育を通しての人間形成」を鑑みて、その教育を受けた人たちが10年後、20年後、どのように美術のあり方を考えているか、という目線に立った時、そこに新しい価値観を見出していけはしないかなぁと、


    薄ぼんやりと考えて見た。考えにまだ、深みがない。

  • 「美学」ってなんぞや?よう知らん。
    「美学」って難しいイメージあるなぁ・・・

    そんな取っつき難いイメージに定評のある「美学」について、
    爆笑問題のお二人と日大美学教授の佐々木先生が面白くかつ分かりやすくお話します。

    「美しいものは人間を超えたところに在る」。すげー。

    というか太田さんは本当にすごい考える人。

  • 太田は普段から鋭い事を言ったり屁理屈みたいなことに延々とこだわったりと、ムラがあってつかみどころの無い人だけれども、その性格がこの番組にも影響していると思う。おもしろい回とそうでない回にとってもムラがある。
    で、今回のは非常におもしろかった。芸術(というか表現全般といったほうがいいのかな)についての話になると、太田はなかなか鋭い事を言う。自身が漫才で経験してきた事と照らし合わされた意見なので、言葉が生きているのだと思う。そして太田の奔放な意見をしなやかに受け止める佐々木先生はすごいと思う。ルネッサンスの絵画にはじまり、デュシャンが提示したアヴァンギャルドな芸術、そしてポップ・アートに至るまでの「芸術とは?」というテーマは、ぼく自身も興味のある分野なので非常に楽しんで読めた。先生の説く「美」についての説明にはものすごく納得。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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