爆笑問題のニッポンの教養 みんなの憲法入門 憲法学

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062826211

感想・レビュー・書評

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  • 法律学は結論が出ない分野。「芸」とな。なるほど

  • 憲法学者との対談。
    憲法にはいろんな考え方があるから、それをうまくやっていくための仕組みという考え方。
    憲法がなぜ簡単に変えにくくできているかをもう一度考えてみるべきだろう。

  • 憲法学とは、国をはじめとする公権力は何が出来て何が出来ないのか、何をやるべきで何をやってはいけないのかを研究する学問。
    人々の価値観の対立はなくならない。なくならない中でどうやって公平な社会の仕組みを作っていくのか。それを環境の変化なり、人々の生活や暮らしぶりの変化などにあわせて、その都度考えていくのが憲法学の目指す処と、長谷部さんは云う。

    価値観が異なるのだから議論に決着はつかない。
    絶対的答えを探る科学より、憲法学/法律学は芸に近い。
    異なる価値観の間に入ってうまいこと折り合いを付ける芸だという。
    因みに芸の上手い下手が真偽に等しくないのは当然のこと。

    憲法とは国の行動基準だ。ある約束事のうえに価値観の異なるものがまとまっているのが国である。約束事である憲法は国の個性であり、国そのものとも云える。憲法が同じなら同じ国とも云える。
    ただ、もし万国憲法のもと世界がひとつになってひとつの政府に支配される国が出来たら、専制国家の危険性やそれが瓦解して無政府状態になる危険性がある。

    ●9条改憲、護憲について
    ・国のために戦争にいって死ぬってのは本質見失っちゃってる。
    国民のための国だったのが、国が先に行っちゃうっていう矛盾。
    何故そうなるか。自分が大事だというとKYになっちゃうから、その恐怖から逃れるために国のためにいく。でも、結局お前死ぬんだよ、と。それも生き方だけど、みんなが当然その通りってのもおかしい。てか俺はイヤだ。
    ・多数決が効用を発揮するには、独立した考えで参加しなければ意味がない。
    派閥の票は派閥全体で1票の価値に過ぎない。
    ・一人前の国になりたいというが、昨今よく、国際社会の要求がこうだからというのがあります。
    ただ国際社会というものがそこにごろんとあるわけではなく、やはり国際社会という名目でいろいろ発言をする具体的な人、団体があるはずです。具体的な人の具体的な発言を吟味して、それが本当に筋の通ったものなのか、本当にそのようにするべきならそうすればよいでしょうし、すべきでないならその独自の判断に基づいて行動するというのが、一人前の国になるということではないでしょうか。

    憲法には思想を入れてはならない。
    人はどう生きるべきなのかということは憲法では教えないし、教えてはいけない。それは各自で考え、各自で決めること。

  •  憲法学の議論については、昔からわかったようなわからないような、そんな感じを受けていました。本書を読んで、その理由が何となくわかったような、やっぱりわからないような、そんな感想を持ちました(笑)。

     本書を読んでも、憲法学の知識が得られるわけではありません。ですから、憲法九条の改正の是非といった"脂っこい"問題や、一院制or二院制? 地方分権をどこまですすめるか? 新しい人権をどこまで条文化するか、など、いわゆる憲法マターな話は全くと言って良いほど出てきません。もっと形而上学的というか抽象的な議論に終始しています。

     ただ、本書を読んで「なるほど」と思ったことがあります。
     それは、憲法学は、あるいは法律学は科学ではないから進歩がない。むしろ芸のようなもので、「うまいこと言う」もんだ、と。そして、科学ではないので、(科学でいうところの)進歩もない。
     確かに、時代が変わって価値観が変われば、それまで正しいと思っていたその根底が変わるわけですから、それに伴って法や正義も変遷していきます。こういうと語弊があるかもしれませんが、その時代時代の価値観にフィットした「芸」としての考え方に説得力を感じ、それがまた時と共に移ろいゆく。
     そして、国家のあり方や個人の人格的生存・幸福追求など、抽象的なテーマを考える憲法学は、他の実定法よりもダイレクトにその価値観の変遷に巻き込まれやすい…のかなぁ、とまたわかったようなわからないようなことを読んでて感じました。

     わかったようなわからんような、結論の出ない感じになる理由に触れられたような気はしました。って、最後までフワフワした話になっちゃったなぁ…。

     そうそう、本書でも、太田さんは、話題やテーマよりも、そのとき自分の気になったことを優先し、人の話を反復するときに一度「太田語」に翻訳してアウトプットしちゃい、話の流れを遮ってるのが相変わらずでした。
     翻って田中氏のインタビュアーの才は光ってました。長谷部先生がインスピレーションを受ける発言は田中氏の受け答えの中にあることが多かったように思います。

  • この番組すごく好きなんですよね。太田さんってすごいいろんなことを考えてるんだなと。

  • 個人の価値観に触れずに社会の仕組みを作る

  • 平成20年11月19日購入

    この話の展開は苦手である。
    まとまりがない。
    取材側の勉強不足といえるかもしれないし、
    憲法についての一般人の認識はこういうもんだろうから
    それに対する長谷部Tがプロとして
    もう少し話をリードできないものかなとも思う。

    なにせ条文が一条も出てこない憲法談義である。

    とにかく長谷部は憲法はツールに徹するべきという考え方のようだし
    ならば具体的な問題から入らないといけない気がする。

    これが5回10回と続くのならともかく
    1回こっきりであるなら
    大づかみに憲法というだけでなく
    もう少しテーマを絞ってほしかった、

  • NHKで放送された対談を新書化したもの。
    テレビの対談なので文章が平易で読みやすい一方で、
    東大教授との対談なので内容はけっこう濃密。

    <目次>
    プロローグ おれたちもう東大生かも
    第1章 国があればかならず憲法がある
    第2章 法律学は芸である
    第3章 民主主義の陥穽
    第4章 学ぶことは疑うこと
    第5章 進歩しない学問
    エピローグ 憲法学からのメッセージ
    補章 ディレクターズ・インタビュー

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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