太平記 (21世紀版・少年少女古典文学館)

  • 講談社 (2010年1月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (298ページ) / ISBN・EAN: 9784062827645

作品紹介・あらすじ

名作古典21世紀の子どもたちに!

読みやすい総ルビ、カラーさし絵、本文中の豊富な用語解説で、日本の古典文学にはじめて出会う子どもの理解を助ける、児童むけ古典文学全集の決定版。

みんなの感想まとめ

多彩な登場人物とその複雑な人間関係が織りなすドラマが魅力の作品で、丁寧な現代語訳と豊富な注釈が特徴です。特に、登場人物紹介や関係図が充実しているため、初めて古典文学に触れる子どもたちでも理解しやすく、...

感想・レビュー・書評

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  • 古典を小中学生向けに紹介する少年少女古典文学館シリーズ。監修が司馬遼太郎、田辺聖子、井上ひさし、文章はそれぞれの巻で名作家たちが担当するという贅沢なシリーズ。

    せっかくなので子供の頃大好きだった軍記物から読むことにした。
    「太平記」は、文章平岩弓枝、挿絵佐多芳朗で、「太平記」の内容を一度解きほぐして再構築させたような作りになっています。
    250ページ程度にまとまっているため、かなり展開が早いのですが、訳註や地図や写真が豊富です。
    解説では、なぜこの50年に渡る戦乱の記録がなぜこの題名なのか、それは戦いの悲痛さ、愚かさを書きながら、平和を待ち望むその心の叫びが「太平記」という題名に現れているのではないか…と書かれます。

    私は子供のころ軍記物が大好きでして、「里見八犬伝」「太平記」「義経記」三国志などなど夢中になったものでした。改めて太平記の筋を追ってみると、次々人が出できて戦をして負けて死んでの繰り返しですね。昨日の敵は今日の友で明日の敵という状況。もう自分たちもわけが分からくなったんじゃなかろうか。
    親子や兄弟の戦争戦争、昨日の敵が今日の友で明日また敵になり、誰が信頼できるのか、誰と組むべきなのか、どちらにしろ皆死んでゆく。それにしても足利兄弟なんて最後まで兄弟でがっつり組んでいればもっと幕府も盤石になっただろうにという惜しさは感じます。
    読んで感じたのは、武家や公家の戦争や権力闘争を書いていますが、根本は民衆の目線だということです。悪政に苦しんだ庶民が新たに都入りした施政者に期待するけれど、財産は一部の者たちで囲い込み、果てるともない権力闘争を繰り返し、結局民衆は苦しむのだとか、それでも自分たちのご主人として思い入れのあった天皇や武家たちが都を追い出されて新たな支配者を迎えろと言われても気持ちが追いつかないよ、などの複雑な感情が見えてきます。

    しかしこの果てしない争いの中でも、当事者たちが賢明に生きたのだと感じられます。私は歴史物・軍記物が好きなのは、血湧き肉躍る活躍や、文章のテンポの良さももちろんですが、その時々の人達が精一杯のことをやったと感じられるからなんですよ。
     楠一族は醜い争いのなか筋が通ってやっぱりかっこいい。
     足利尊氏は、あやふやだったりブレるところがむしろ人間的。そして大事なところでは勝つ勝負強さ。
     新田義貞は総大将なのになんか頼りなさすぎるんだがそこが人間らしさでもある…だけどやっぱり頼りない。
     とにかく生きる力が漲る後醍醐天皇。大塔宮護良親王の生きることは勝ち取ることというばかりの真っ直ぐさ。
     しかし公家のみなさんは…戦の時節がまったくみえていないーーー。読者としては現場で戦う人に同調して読むので、まったく現場を知らずに「自分たちにちょっとでも迷惑かけずに面目を保ってちゃっちゃっと勝つのがお前たちの役目」みたいな命令出されると、ひじょーーーにイライラするわ〜〜〜。
     北条高時は悪政者なんだろうけれど、800名以上が高時(享年30歳)と一緒に自害したというのは、やはりそれなりの人物であり、敵に降伏するよりも一緒に死のうって思わせるだけのものがあったんじゃないのかなあ。<総じてその門葉たる人二百八十三人、我先にと腹を切って館に火をかけたれば(…)血は流れて大地に溢れ、漫々として洪河のごとく、屍は小路に横たわって累々たる郊原の如し。死骸は焼けて見えねども、後の名字を尋ねれば、この一所にて死すもの全て八百七十人なり>

    太平記といえば、真田広之主演の大河ドラマも名作でしたね。「鎌倉炎上」の回の戦勝報告の手紙は、大河ドラマ史上でも名文だと思っています。「足利の兵、勝って勝鬨挙げる者なし。誠に不思議な勝ち戦なり」

    私自身が、歴史読み物は簡単な版から興味を持っていったので、子どもたちにもこのような本から興味を感じてもらいたいとは思うけれど…、やはりあらすじ紹介程度の内容のため、あまりにも敵味方がごちゃごちゃし過ぎだし、親族で似た名前だったり、兄弟なのに名字が違ったりと、これを最初に読むとますますわからなくならないだろうかという気もちょっとする。
    私の子供の頃は他に楽しみがなかったので、時代劇を時代が違うとはさほど認識せず面白い小説を読む、面白いテレビを見る、という感覚で読んだり見たりしていたのですが、今の子供達(うちの子供達も含めて)にとって時代物って「自分とは違うもの」と考えているようなので、歴史物を子どもたちに楽しく紹介するのは難しいなあ。

  • 登場人物が多いですが丁寧な人物紹介、関係図も
    あるので読みやすかったです。楠正行闘死の辺り
    からクライマックスまでは一気読みでした。

  • 中学生にお勧めしようと読んでみたら、面白さに一気読み。
    殆どの方がご存じとは思うが、これは南北朝時代の戦記物。
    戦いに明け暮れた50年もの歳月を描いたもので、「太平」とは名ばかり。
    すぐれた武将があっけなく命を落としたり、勝ったはずの者が敗れて殺されたり。
    繰り返し繰り返し戦い、また戦う。
    その戦いの中に数々の名場面があり、処世訓もたくさんある。

    ほっとさせられるようなキラリと輝く美しいエピソードも。
    父子の心情を描いた部分が出色で、阿新丸(くまわかまる)が佐渡に流された父親に会いたくてはるばる旅をするところ。ここで出会う見も知らぬひとの情けには救われる思いがする。
    また、楠正成と正行の別れの場面なども、しみじみと良い。
    その反面、兄弟でありながら憎み合い殺し合わなければならない場合もある。
    最初から最後まで息もつかせぬ勢いで、このお話がのちの世までいかに他作品に影響を与えてきたかを思うと、さもありなんである。

    第一部は、覇気に富み才知に優れた後醍醐天皇の、鎌倉幕府打倒の話。
    権力に驕った北条政権がいっきょに滅びるまで。
    導入としてはじゅうぶんに面白く、整いすぎる感があるほど。
    第二部は「建武の中興」から「悲運の南朝」までで、公家一統の世の中が実現したものの、時代に対応できずまたぞろ腐敗していく様が描かれる。
    第一部では一致していた公家と武士の思いが、ここでは混迷を極めていく。
    足利尊氏、大活躍。贔屓の方にとってはたまらないだろう。
    そして第三部はますます不安定な世の中となり、武士と天皇方の離合も時々の都合で繰り返され、天変地異も多く、平和な世の中を希求するところで終わる。

    波乱万丈の戦記物だけに、読み終えた後の達成感も大きい。
    こんなに争ってばかりで、一体いつになったら真の太平が訪れるのだろうと、誰しもが思っていたことだろう。
    「法勝寺」の中に「太平記工房」とも呼ばれる組織があって、そこに全国の有力大名たちが自分の家の軍功などを記録しては送ったという。
    遁世者・儒学者・老法師などと、立場や考えの異なる人々の集まりだったという点が、この話の面白さを招いたのかもしれない。うーん、現代日本に足りないものがこの工房にはあったのね。

    ページの上部に索引付き。丁寧すぎるほどの説明で、分かり易さを重要視している。
    ただ、時折現れる見開きの挿絵は不要だったかも。

    • 淳水堂さん
      nejidonさん

      またまたレビューでお見かけしたのでメッセージ送らせてください。
      nejidonさんの選ぶ本はいつも良いものです。...
      nejidonさん

      またまたレビューでお見かけしたのでメッセージ送らせてください。
      nejidonさんの選ぶ本はいつも良いものです。
      私も人に良い本を紹介できるようになりたいです。
      2021/12/03
  • 太平記でまずお勧めするのがこの作品です。
    一応少年少女用の古典現代語訳シリーズではありますが、この現代語訳はとても丁寧です。
    注釈がついているので分かりやすく、原作に手を加えないそのままのドラマ性が伝わって来ます。
    将雪が一番好きな時代が、実はこの『太平記』の時代です。
    それは、人物のキャラクターに個性的な魅力があるからです。
    楠木正成と足利尊氏、どちらにも感情移入してしまいますし、新田義貞や大塔宮、そして後醍醐天皇も、みなそれぞれが自分の主義主張で、あるいは戦略で動き、複雑すぎる展開を生み出しています。
    もちろん物語には脚色がたくさんあるはずですが、単純な「誰と誰が戦って、誰が誰を裏切って……」というような事実関係を追うだけでも、凄まじい人間ドラマを楽しむことができるのです。
    この時代を描いた歴史小説は、南北朝(あるいは大覚寺統と持明院統)のどちらかに、どうしても視点を傾けがちなものが多いのですが、実は元祖物語の『太平記』が一番中立の立場で描かれているのかも知れません。
    むろん、足利家での検閲はあったようですが。
    まずはこの本で登場人物をおさえて、それから他の本でそれぞれの人間像にせまる、というのはどうでしょうか?

  • 平岩弓枝さんに感謝

  • 2020/09/24 再読 テレビドラマを見て再読
    2019/12/01 読んだ

  • 面白かったです。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。戸川幸夫の知遇を得、その推薦で長谷川伸の門下となる。1959年『鏨師』(たがねし)で第41回直木賞を受賞。1991年『花影の花』により、第25回吉川英治文学賞を受賞。また、これまでの業績により、1997年紫綬褒章を、1998年第46回菊池寛賞を受賞。2004年文化功労者に選ばれ、2016年文化勲章を受章した。著書に南町奉行所内与力・隼新八郎がさまざまな事件を解く「はやぶさ新八御用帳」「はやぶさ新八御用旅」シリーズや「御宿かわせみ」シリーズなどがある。

「2019年 『新装版 はやぶさ新八御用帳(十) 幽霊屋敷の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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