空へのぼる

  • 講談社 (2012年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (202ページ) / ISBN・EAN: 9784062832243

作品紹介・あらすじ

いっそ、サイボーグだったらよかったのに。
小学五年生の乙葉は、木から落ちて骨折し、ボルトが埋めこまれた肩を、サイボーグみたいで案外気に入っている。サイボーグならば、傷ついたり、いらいらしたりしなくてすむから――。
乙葉は、線路脇の古家で、女ばかり――おばあちゃんと15歳年の離れた姉ちゃん・桐子、そしてメスねこのじゃらし――で暮らしている。
気の強い桐子は女庭師。巨木を切り倒す「空師」の軍二と付き合っている。
学校の「いのちの授業」に感動しながらも、自分の誕生にわだかまりを持つ乙葉と、予期せぬ妊娠に戸惑う桐子。
11年前、両親に棄てられたふたりは、それぞれにかかえる思いを、どう変化させていくのか。
わたしも、まわりのみんなも、だれもが自分の力をめいっぱいつかって生まれてきた――。
その事実が胸を打つ、ふたりの姉妹の物語。

みんなの感想まとめ

命の重みや生きることの意味を深く考えさせられる物語。両親に捨てられた小学五年生の乙葉と、15歳年上の姉桐子は、おばあちゃんと共に暮らしながら、互いに支え合って成長していく。乙葉は自分の誕生に疑問を抱き...

感想・レビュー・書評

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  • 以前読んだ時面白くて、そういえばレビューを書いてなかったなと思い再度読んでみたけれど、やはりとても好きなお話でした。

    一冊の、おそらく小学校高学年向きのお話の中に、家族のこと、姉妹のこと、生い立ち、小学生女子の友達関係、恋愛、職業、老い、生命の誕生について…、ととても盛りだくさんの内容が描かれているにも関わらず、詰め込みすぎることもなくとても自然で、ホロリと泣かされる。
    私はこの物語に描かれる世界がとても好きだ。それはおそらく、「おばあちゃん」の家の空気を感じ取っているからだと思う。この物語の中心には、「おばあちゃん」がいて、この「おばあちゃん」の存在がとても大きい。

    物語は小学5年生の女子・乙葉から始まる。
    乙葉は南運動場のタイワンフウの木に登って、落ちた。ヒナを守ろうとしたカラスに攻撃されたからだ。
    「じゃ、守ってもらえんかったうちらは?」
    乙葉が姉の桐子に聞くと、桐子は怒ってタオルをふりあげた。近ごろ桐子はやけにおこりっぽい。

    とてもうまい書き出しだなぁと思う。
    桐子と乙葉の生い立ちとこれから起こることがさり気なく盛り込まれている。

    この物語の主人公は、乙葉と桐子の二人の姉妹だ。
    乙葉から始まる物語は、乙葉・桐子・乙葉…と交互に紡がれていく。
    乙葉は、学校で『いのちの授業』を受けている。教室に助産師さんを招き、いろいろなお話を聞いたり、体験をしたりする授業だ。乙葉は『いのちの授業』の中で、自分の生と向き合っていく。
    桐子の章では、彼女の生き様が描かれる。彼女の経験、選んだ職業、恋人である軍ちゃんとの出会い。彼女を象るものが順番に描かれていく。

    そして、おばあちゃん。
    桐子と乙葉の親は、桐子が中学生、乙葉が7ヶ月の時に蒸発する。それ以来、二人の大叔母に当たる「おばあちゃん」が二人を育ててくれた。
    おばあちゃんと桐子と乙葉の三人は、ねこのじゃらしと一緒に、線路わきの古いおばあちゃんの家で、女ばかりで暮らしている。そこに桐子の彼氏の軍二が晩御飯を食べに来たりする。

    最初に読んだ時は、乙葉の章よりも桐子の章にドキドキした。軍ちゃんとのもどかしい恋愛の顛末を見届けたいと思ったからだろう。
    二度目の今回は、「乙葉」という存在がとても魅力的に感じられた。乙葉は、いわゆるいい子ではないが、かと言って荒んでいるわけでもない。自分が在る状態の中で、それを受け入れ、ある意味のびのびと暮らしているように見える。彼女の中から溢れ出る思いや行動や葛藤や悩みが、それぞれ描かれる世界のものではなくて本当に「乙葉」という存在が生きているようにリアルに感じられ、魅力的に思った。そして、その乙葉を心底愛おしいと思う桐子の気持ちに共鳴した。

    おばあちゃんについては本文から引用。
    桐子の章より。
    「十五歳のあの日。自分はありったけの勇気をふるいおこして、おばあちゃんのふところに飛びこんだ。そうしてなんとか乙葉とふたり、生きのびることができた。おばあちゃんはうちらを裏切ったか? いいえ、けっして。」
    おばあちゃんの懐の深さと生き様が、桐子に一つの決心をさせる。
    「人を信じなければ、自分も人も守れない。」
    私の涙腺決壊シーンの一つ。

    人と人とが薄い縁を繋ぎ合わせて、寄り添って生きていくさま。
    表紙にも見られる、青々と茂る木々の描写の数々。
    そして、最後の一行で、これから紡がれていくであろう新しい縁と無限の可能性を感じさせて幕を引く。

    好きにならずにはいられないお話です。ぜひ。

  • 中学生と赤ちゃんの時、親に捨てられ、大おばあちゃんの育てられた姉妹の話。
    途中、ポロポロ泣かされた。
    ジャンルは児童書に入るのかもしれない。
    でも、大人も子どもも読んで欲しい。
    生まれただけで偉いってこと。
    命の凄さ。
    お姉さんカップルの仕事もいい。
    命の重み。
    生きるということ。
    ぜひ読んで欲しい物語。

  • 親に捨てられ、祖母に育てられた姉妹。姉が妊娠したことで、命について考える。

  • 小学生。家族。祖母。空師。樹木。命。自分が生まれてきたことを自分で肯定する、誰かに肯定してもらう。新しく誕生した命に触れた時に広がる温かさもまた肯定だと思う。

  • 命の尊さを知る
    人間の命は 親から子へとと引き継がれていく
    子供は自分から生まれてくる

  • 2015.07 市立図書館

  • いろいろと詰め込みすぎてる。

    いのち。

  • 気風のいいお姉ちゃんがいいです。木の仕事も、またいい。
    本屋で見つけたから購入できた。

  • 資料番号:020246096
    請求記号:Fヤツカ

  • だいぶ前に読了。八束さんは4冊目くらいかしら。
    いろいろ話題を詰め込みすぎて、散逸になった印象。たぶんいちばん中心にしたかったのは出産なんだろうと思うのだけど、それにしては表面的なことしか描いていないし、それにタイトルが庭師と空師寄りすぎる。じゃあそちらがメインかというと、そっちの描写も軽くて、説明的な感じ。家族っていいもんだよ、というのをともかく書きたくて書いた、という印象で、それが押しつけがましく思えたのが残念。
    でもいちばん気になったのは、とくに乙葉の方の描写で、文体がわざとらしくて浮いていたこと。年齢に合わせて軽さを出そうとしているのがあからさまで、単なる軽々しさにしか感じられなかった。年齢に合わせようとしない方が、むしろいい文章になったのじゃないかしら。

  • [心に響いた言葉]
    恵まれたところでのほほんと育った木よりな、苦労して苦労して育った木のほうが、高こう売れるんやで

  • 両親に捨てられ、15歳年上の姉、桐子と祖母の妹にあたる“おばあちゃん”と暮らす小学生の乙葉。

    なかなか複雑な家族の話だが、暗くはない。
    むしろ、明るくさっぱりしていて、読んでいて気持ちが良かった。

    誰かを思いやる気持ちに溢れている。

    様々な家族のカタチがあること、命の尊さについて考えさせられる良い本だった。

  • まず表紙の絵と見返し、さし絵が好きです。
    庭師で姉の桐子、姉の恋人の軍二は空師(大木を伐採する職人、空に一番高い所で仕事をする)という職業設定もいいなと思う。
    空師は危険で熟練を要する仕事。感謝の心をこめて木を伐り、新たな命を吹き込む。そうした木の中には仏像として生まれ変わるものもある。
    木が新たな命を生きるように、姉の桐子はお産を通じてもう一度まっさらな命にもどり、自分たち姉妹を捨てた両親を許した。
    妹の乙葉は学校で『いのちの授業』を受け姉のお産を経て、自分が今ここにいることに満ち足りる。
    これまで自分たちを見守ってくれたおばあちゃんは呆けて心許なくなったけれど、赤ちゃんの梢と軍二をおばあちゃんの家に迎えて、乙葉たち家族はきっと幸せにやっていけるはずだ。
    小学校高学年から。

  • 親に捨てられ、母方の祖母の妹に引き取られた姉妹の物語。

    赤ちゃんはな、自分で親を選んで生まれてくるんやて。
    と、年の離れた妹が、妊娠した姉に伝える。
    妊娠に戸惑い、結婚することに怖気づきながらも、次第に強張っていた桐子の性格が緩んでくるのがとてもよかったです。
    乙葉も、ちょっとしたことをきっかけに同級生への見方が変わっていくところなど、成長の物語としても素晴らしく感じました。
    特に最後が感動的でした。

  • 若い夫婦の成長を通して家族愛を描いた青春小説。
    それなりに面白かったが、青春小説そのものという印象で、感動は薄かった。

  •  5年生の乙葉は、年の離れた姉の桐子とおばあちゃん(母方の大おば)の3人で暮らしている。桐子は庭師で、桐子の恋人・軍二は、高い木を伐る職人・空師。高い木に登る軍二にあこがれ、学校で一番高い木に登ってみた乙葉は、その木に巣をかけていたカラスに攻撃され、木から落ちて骨折。桐子に親がヒナを守ろうとするのは当然と言われ、言い返す。「守ってもらえんかったうちらは?」
     乙葉は、学校で『いのちの授業』を受ける。蒸発した親に代わり二人を育ててくれたおばあちゃんは認知症に…。そして、桐子の妊娠が分かり…。

  • 空師っていう職業を初めて知った。最後は感動!

  • 小5の乙葉と15歳上の姉の桐子は両親に捨てられおばあちゃんの妹に引き取られて暮らしている。いびつな家族がお互いを思いやりながら暖かい家庭を作ろうと懸命に生きる物語。児童書なのであっという間に読み終わってしまいましたがジンとしました。

  • 赤ちゃんはな、自分で親を選んでうまれてくるんやで。
    そやからな、姉ちゃんは赤ちゃんから選ばれたんやで。
    両親に見捨てられた姉妹の健気な話かと思うとそうでもない。
    読んでいる間中、鼻が真っ赤に・・・・すぐに涙がこぼれそうになってくる・・・・母親だからだろうか?小学生が読むとどんな感じに受け止めるのだろうか・・・・
    子どもは親を選べないという言葉が私の中から遠ざかった本でした。

  • 両親がいない小学生と社会人の姉妹、そして、彼らがまだ幼い時に引き取ってくれたおばあちゃんの物語。小学生の乙葉が、周りに対して強がっているいる姿や自分とは正反対のポジションにいる女子への嫉妬やうらやましく感じる気持ちなど、日常生活の中で私たちの誰もが経験するような感情が実にリアルにテンポよく出てくる。姉の桐子は親分肌だけど、妊娠したことから、これまでの自分の姿や周りに対する気持ちが少しずつ変化してきて、これまた成長していく姿が魅力的だった。ぼけが始まったおばあちゃんも桐子の妊娠で元気になっていく様子や桐子の恋人の不器用な姿なども何もかもがみずみずしい。命や家族をテーマにしているといってもよいのではないだろうか。
    妹と姉の二人の視点で交互に描かれているので、飽きることなく読み進められる。

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著者プロフィール

児童文学作家、日本児童文学者協会会員

「2017年 『ぼくらの山の学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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