- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062832304
作品紹介・あらすじ
「いいかえしたいことが山ほどあった。でもいえなかった。心の中で考えたことは、いざ口から出そうとすると、どこかに吸い込まれていくんだ。ビューンてね。それに、八木沢くんが、ぼくの話を聞いてくれるはずがないってことはもうわかってた。だってさ…ぼくはピラミッドの下のあたりにいる人間なんだよね。─中略─ぼくの武器って、いったいなんなんだろう?そのときぼくはまるでとりつかれたみたいになって考え始めてた。自分の身を守ることができてさ、できるならこれ以上嫌な目にあわなくてすんでさ、いろんなことに立ち向かっていけてさ、まあ、そこまでぜいたくはいわないけど、とにかく今よりは過ごしやすくなるような武器。」──ブルーの章より
「だって、クラスのなかでの峰岸さんの存在っていうか影響力はすごいもん。みんながみんな、いつも彼女の顔色をうかがってるんだからね。こんなのって、以前はなかったと思うなあ。でも高学年になってみて、気がつけばそうなってたの。力関係が決まってしまったっていうか、そうなったらもうなかなかさからえないっていうか……。─中略─『ねえ、お姉ちゃんさ。うちの武器ってなんだと思う?』『あるよ、あんたの武器。すごいのが。知らないの?』」──オレンジの章より
小五の”ぼく”はクラス内の上下関係を敏感に感じ取りながら、何とか平穏にやりすごすことのみを心がけて、嘲りのようないじめに日々耐えていた。
そんなある日、クラスの男女で観戦していたサッカーの試合中に監督が言った、「自分の武器は何か、考えろ」、という言葉が頭に残る。そして、自分の武器を発見した”ぼく”は見事にカーストの下克上に成功するのだが・・・。
一方、同じクラスの”うち”は明るい世渡り上手な性格で、クラス内のちょっと嫌な雰囲気の力関係の中でも無難に毎日を過ごしていた。だが、ある女の子へのいじめをどうしても見過ごせず悩み、やはり同じサッカーの監督の言葉を聞いていた”うち”は自分にできることは何か、真剣に考える。
スクールカーストといじめにさらされている子どもたちの姿が痛いほどリアルに描かれている。人間の上下関係が生むどうしようもない理不尽さに立ち向かい、戦う勇気を与えてくれる衝撃作。
感想・レビュー・書評
-
言い返したいことを我慢し
へらへらしていじめられていたブルー
本当はダメだと分かっていたのに
言いたいことを我慢して
いじめに加担していたオレンジ
それぞれの視点から物語は書かれている
実際いじめが起きるのも本当に些細なことや理由がないことなのかもしれない詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「小五の”ぼく”はクラス内の上下関係を敏感に感じ取りながら、何とか平穏にやりすごすことのみを心がけて、嘲りのようないじめに日々耐えていた。
そんなある日、クラスの男女で観戦していたサッカーの試合中に監督が言った、「自分の武器は何か、考えろ」、という言葉が頭に残る。そして、自分の武器を発見した”ぼく”は見事にカーストの下克上に成功するのだが・・・。
一方、同じクラスの”うち”は明るい世渡り上手な性格で、クラス内のちょっと嫌な雰囲気の力関係の中でも無難に毎日を過ごしていた。だが、ある女の子へのいじめをどうしても見過ごせず悩み、やはり同じサッカーの監督の言葉を聞いていた”うち”は自分にできることは何か、真剣に考える。
スクールカーストといじめにさらされている子どもたちの姿が痛いほどリアルに描かれている。人間の上下関係が生むどうしようもない理不尽さに立ち向かい、戦う勇気を与えてくれる衝撃作。」 -
いじめを扱った本作。同じクラスのブルーくんとオレンジさん、それぞれの視点でお話しが進んでいきます。自分のできることから始める2人の姿に、小5のリアルな現実を想像させられるのでした。
-
2人以上の視点から読むのはとても楽しかった。
わがままを言えば、伊藤くんとかの視点も欲しかった。
それに、糸川くんとか、久保田先生みたいな少し面白いキャラも居て、とても楽しまされた。
とても良い本だと思った。
-
良本!
-
5/17掲載 音更町図書館 加藤氏
-
表紙にくぎづけ。ブルーとオレンジってタイトルで、全身ブルーの少年とオレンジの少女が並んで立っている。ちょっと、顔が怖い・・・
物語はブルー編とオレンジ編に分かれている。
ブルーはおとなしくて気が弱い。クラスでは目立たないようしてきたけど、5年になって4月の始業式の日、新しい教室にはいった瞬間にもうピンときた。これは本当にまずいぞって。油断したらダメだぞって。用心しないと最悪な一年になるかもしれない。
そしてその予想通り、ブルーはクラスで浮いてきた。どうやったら、みんなにバカにされずにすむ?自分の武器はなんだ?
考えた末に出した答えは、クラスで一番人気の伊藤くんと近所に住んでいる、という事を強みにすること。
そして、伊藤くんに話しかけ、ドッチボールの仲間に入れてもらい・・・
オレンジはクラス女子の雰囲気がちょっと嫌なかんじになってきたと感じていた。別に大した理由でもないのに、峰岸さんを中心にクラス女子の何人かが、友達の陽菜ちゃんを仲間はずれにしはじめたのだ。傍観者でいれば自分に被害はないかもしれない。
けど、クラスで浮いていたはずの森田くん(ブルー)が、いつの間にかみんなの仲間に入っていて、代わりにいじられていた糸川くんをかばった姿を見て、オレンジも決めた。お姉ちゃんに言われた自分の武器は根回しだ。オレンジは陽菜ちゃんをいじめている何人かに声をかけていった。・・・
著者が教師、という事で、いつも学校内の人間関係とか教師の姿のリアルさにどきりとしてしまう。
こんな風に、子どもたちの中から気づいて行動してくれるといいのだけど。 -
「ふたり」を読んで福田さんの本をもう少し読みたいと思ったんだけど、なかなかよかった。すっきり解決しないところがいいよね。実際はこんなとこ、それでもちょっとの勇気がちょっとのいい方向に向かう、いい話だった。
-
この手のいじめ作品は苦手。読んでいて息苦しくて楽しくない。でも、いじめの実態を見るようで勉強になる。
私は伊藤くんの立ち位置だったな。あんな人気者ではなかったけど。後ろを振り向きもせず一番前を歩いていたから。後ろで笑われてても気付かないで。
子供達だけでなく大人も読んだ方がいい作品だと思う。