- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062832311
作品紹介・あらすじ
舞台はアラスカの小さな町、バラード・クリーク。ゴールドラッシュ後の1920年代後半です。20世紀初頭には、ゴールドラッシュで鉱夫や様々な人が押し寄せていましたが、いよいよ金の採掘も終焉を迎え、次々と鉱山から人が消えていく、そんな時代の物語です。
ボーは5歳の少女で、血のつながりのない2人の「父さんたち」の手で育てられています。ボーの母親は娼婦で、船着き場ですれちがったアービッドに子供を押し付け、逃げてしまいました。でもボーはさみしくありません。仕立て屋のスウェーデン人アービッドと、アメリカ南部出身で黒人の料理人・ジャックが、ボーの「父さんたち」としていろいろなことを教えてくれます。ボーは、ジャックからスコーンの作り方を習い、金鉱労働者に出す食事作りの手伝いをしています。外国からきた鉱夫たちや、引退した老人やエスキモーの家族、娼婦等、たくさんの人に囲まれてボーは明るく、天真爛漫に育ちます。
1年の美しい自然の描写と共に描かれるボーの日常は、驚きや喜びに満ち溢れています。
日本ではまだあまり知られていないアラスカが舞台の、一種の開拓物語。ヨーロッパからの移民や黒人、先住民族たちが言葉の違いを超え、互いの文化を尊重しながら暮らす様子には、様々な知恵が詰まっています。
今こそ読んでほしい、新しい、家族の物語。
スコット・オデール賞受賞作!
感想・レビュー・書評
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フォローしている方のレビューを読んで、図書館で借りました。
今回も素敵なお話と出会うことができました、ありがとうございます。
アラスカ。米ソ冷戦時代にアンカレッジ経由の飛行機に乗ったことがある。
トランジットで降りたアンカレッジの飛行場には、大きなクマの剥製があり、そこから見えた景色は、どんよりとした空、ぬかるんだように見える地面には木もなく、丈の短い草が生えているだけの漠としたものだった。これがツンドラか〜、だけどここ本当にアメリカなの?と思った(なぜアンカレッジを経由するかも知らないおバカな子どもだった)。
その景色は、まさしくこの物語の夏の風景だったのだと、読みながら思い出した。
この物語は、20世紀の初頭、ゴールドラッシュも下火となる中、アラスカの小さな町で金の採掘を続ける鉱夫たちと先住民であるエスキモーの人々の暮らしを描いたもの。
大きな事件はないが、当時の彼らの暮らしを丁寧に綴っている。
アメリカだけでなく、様々な国から集まった鉱夫たち。年をとり、この地に骨を埋める者もいるが、多くはまた新たな金鉱を求めて移っていく。
厳しい環境に一時を共に暮らす人々は、皆おおらかで暖かく、家族のよう。まさに今言われている多様性を実現している。
主人公のボーは5歳の女の子。
赤ん坊の時、孤児院に入れられるところを、偶然から南部出身のジャックとスウェーデン出身のアービッドという2人の鍛冶屋である大男に引き取られた。
ジャックは料理が上手く、ここでは料理人。アービッドも裁縫が得意で、ボーはもちろん町の人の服も縫う。
2人の父さんや、鉱夫やエスキモーの人々に愛され、守られてボーは伸び伸びと育つ…だが、そんな穏やかな暮らしにも変化が訪れる…。
全部でエピソードは28。一つ一つは短いが、当時のアラスカの人々の暮らしぶりが良く分かる。
寒すぎると雪は降らない、今日は暖かいから雪が降るだろう…という会話にびっくり。さぞかし夏が楽しみなのだろうかと思ったが、冬の方が道も凍っていて移動しやすいし、外は天然の冷凍庫で便利なので、皆冬が楽しみという…これにもびっくり。
飛行機が飛んでくるという電報から、町中が沸き立つ話では、以前、飛行機史の本を読んでいたのでその背景もよく分かり、どこで繋がるか分からんな〜読書って、と思わず唸る。
ボーが大好きだが、父さん達は苦手なアクタックというエスキモーのアイス(乳製品ではなく、アザラシなどの脂とベリーを混ぜたシャーベット)なども、どんな物なのか思わずググった…見た目は美味しそうだぞ…?
著者はアラスカ出身の小学校教師。アラスカへの誤った理解を説くためにこの物語を書いたそうだが、充分その効果はあるだろう。絵も素敵。心が暖まり、涙もじんわり浮かぶ物語だった。
小学校高学年向けかな。ページ数はあるが、中学生には物足りないかもしれない。
2020.7.3詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アラスカは炭鉱の町、バラードクリーク。ゴールドラッシュの賑わいも終わり、採掘できる金は少なくなってきた、小さな町。
ボーは二人の父さんと暮らしています。
もともとは、気晴らし女が産み落とし、そのままだったら孤児たちが集まる教会へ送られてしまう赤ん坊だったボー。
引き取ったのは、アービッドとジャックという大男の鍛冶屋の二人。裁縫が得意なアービットは炭鉱夫の作業着からボーのオーバオールを作ったり、料理が得意なジャックと一緒に料理の手伝をしたり。
小さなボーは、血はつながらなくても、あたたかい家族に、そしてバラードクリークの人々に囲まれて元気に育ってゆく。
物語の終わりには、金は採れなくなってしまったので、炭鉱は閉鎖が決まり、ボーたちは新しい町へと向かう。
町の人々、自然。貧しいだろうけど、明るく、楽しく、普通の毎日。『やかまし村』みたいに、読んで、ちょっと幸せな気持ちになれる。 -
寒すぎると逆に雪は降らなくなるのね。
私のように、雪が降るのはとても珍しいところでも、子供たちは雪を心待ちにするけれど、寒すぎるところでも、やっぱり子供は雪を心待ちにするんだな。
「これだけあったかけりゃ、雪が降るだろう」ってセリフが衝撃的です。
日常の様子を、ひとつひとつ映し出していくことで物語は進んでいきます。とっても凄い事件が起こるわけでも無いし、スリルあふれる展開が巻き起こるわけでもありません。日常が過ぎていく。
そのスタイルが好きな人もいるでしょうけど、これではつまらないと感じる人も多いかもしれませんね。
私も、すごく引き付けられるお話し、という訳ではありませんでした。
でも、毎日がとても楽しそうだなとは思いました。
楽しいことばかりではないのだけど、大変なことも多いのだけど、それはそれとして、楽しいことを見つけながら、日々を輝いて生きてる。子供ってものは、だいたい輝いてるものですけどね。
高学年から中学生向け。大人気になる本ではないかもしれないけど、悪くはない。 -
ゴールドラッシュ後のアラスカで、スウェーデン人とアメリカ南部の黒人の2人の父と暮らす娼婦の捨て子ボーの物語です。
辛い過去を持つのは彼らだけでなく、登場人物全員が厳しい人生を逞しく生きています。
各人の生き抜く強さと人種を問わない周囲との強い絆が、眩しいくらいでした。
過去の人々が持っていたものを、現代人はどこで失ったのでしょうか。
人間にとって大事なものは何か、教えてくれる一冊。 -
1930年代、アラスカの鉱山を渡り歩く鉱夫達や現地のエスキモーたちとたくましく明るく育つ少女の毎日を描いた物語。エスキモーの暮らしの様子、その変化の様子なども興味深い。
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アラスカで金を掘る、フィンランド人のアービッドとルイジアナ出身の黒人のジャック、そして親に捨てられた少女ボーのお話。最後に孤児だった弟グラフトンも加わって、奇妙な家族ができあがります。
誰も、誰一人として悪いやつが出てこない。いやなヤツはボーを産み捨てた母親ミリーだけど、嫌なやつで勝手なだけで、悪いって感じでもない。
nothing lasts forever、ほんとに。泣くわ。 -
お母さんがいなくてお父さん二人に育てられてる女の子。ゴールドラッシュでアラスカに来た人とエスキモーの人たちの日常が、こと細やかにかかれている
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アラスカの鉱山に小さな女の子がいました。名前はボー。ボーには父さんが二人いて、母さんはいませんでした。でもボーにとっては鉱山にすむみんなが家族でしたから、ちっともさびしくなんかなかったんです。はじめて鉱山に来た人は、ボーになぜ二人の父さんがいるのか教えてもらいます。それは、驚くべき、そしてとても幸せな物語なのです。そんなボーの家にこんどは弟がやってきて…。
男たちの愛情をたっぷりうけて、のびのびと育つ子どもたちのおはなし。幸せな気分になりたい人はぜひ読んでくださいね。
著者プロフィール
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