幽霊魚 (文学の扉)

著者 :
  • 講談社
3.38
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本棚登録 : 81
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062832342

作品紹介・あらすじ

小学6年生の知希は、父さんの転勤で、父さんと二人、都会から離島に引っ越してきた。転校して初めての夏休みを迎える。
 港で一人魚釣りをしていると、柄の悪い二人の同級生が話しかけてきた。最初は距離を置いていた知希だが、乱暴そうながらどこか通じ合うものを感じ、仲間として過ごすようになる。
 そのうちの一人、英治は、巨大な「幽霊魚」の伝説を信じ、それを見つけて釣り上げることに情熱を傾けていた。「釣り上げれば、大事なものをぜんぶ取り返せる」と言って……。

 幻の「幽霊魚」をモチーフに少年の自立と成長を描く、正統派児童文学作品。

感想・レビュー・書評

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  • 都会から島に移り住んだ少年が、そこで出会う友人達とのやり取りを、今までの家族や友人との関係と絡ませながら描く。
    命を救ってくれた老人から聞いた幽霊魚の話をかたくなに信じる友人は、その魚を釣り上げた時には、自分の抱える問題がすべて解決すると一方的に思い込んでいく。
    少年もまた、疑わしいと思いながらも否定できず、最後には信じて、その魚と闘う。

    少年が幽霊魚を信じるいきさつがあまりに突飛で共感できない。
    また、少年の友人にしても、幽霊魚と言う非現実的なことを信じ込み、釣り上げる努力をするというのは、あまりにも病的に感じられる。
    さらに、最後の幽霊魚との戦いの場面はわかりにくく、著者の意図が見えない。
    エンディングにも希望がなく、児童に薦める本としては不適切であると感じる。

    今回このようにアクばかり強い作品になったのは、前回の「ふたり」が、あまりにもよい子たちだったことへの反動なのか?
    理解しがたい作品である。

  • ふむ

  • 娘を愛せない母親、という話は読んできたけれど、息子を愛せない母親、という設定は初めてだったと思う。
    そして、父親と引っ越した島で出会った同級生の母親は、突然家を出て行ってしまっていた。

    タイトルを見て、中をパラパラ見たときは「幽霊魚」というちょっと不気味な言葉から釣りの話がメインかと思ったけれど、読み終わったあとは、まだ小学生の子どもがこんなに家族問題で本心を表せないで生きている、という内容が心に突き刺さりました。

  • キャラクターの葛藤がじわじわと伝わってくる本作。「幽霊魚」に自分の願いを込め、釣竿をふる男子たち。それぞれの過去にもの悲しさを感じつつ、一緒に釣竿を握りたくなります。まっすぐなアツさっていいなぁ。

  • 面白かった!

  • 幽霊魚を釣りあげたら、願いが叶う

    頑なに信じて、一人釣りをする少年
    自分ではどうしようもない問題を抱えている。

  • 父親の転勤のため、島へ渡った小6の知希。母親との間に距離を感じていた知希は、隣のクラスの英治・正人と親しくなる。幻の「幽霊魚」を釣り上げようとする英治の執念に引かれた知希は英治と自分の共通点に気づく。家族との葛藤、無力な自分へのいら立ちを通して成長していく少年たちの姿が描かれているが、決して明るい未来を見せてはくれない。厳しい現実を生きることを考えさせる。

  • コワイ………………………

  •  父の転勤で島に転校してきた知希。妹は喘息の持病があり、母と妹は元の家に住み父と2人で島に来た。釣りを通じ、隣の組の英治と正人と親しくなる。英治は幻の大魚「幽霊魚」を釣り上げたいのだと言うが、正人は幽霊魚の存在を信じてはおらずけんかになる。知希は、英治に幽霊魚がいるという秘密の場所を教えてもらうのだが・・・。
     どこの離島か分からなかったけど、対馬?

  • いい雰囲気だったけど、尻すぼみかな。
    主人公と幽霊魚の話だとすると、いいのかこれで。

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著者プロフィール

長崎県の特別支援学校勤務。『この素晴らしき世界に生まれて』(小峰書店)で、日本児童文学者協会長編児童文学新人賞受賞。
『熱風』で、第48回講談社児童文学新人賞佳作受賞。
『ひみつ』(講談社)が第50回野間児童文芸賞最終候補作に、
『ふたり』(講談社)が2014年青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、
『幽霊魚』(講談社)が2016年読書感想画中央コンクール指定図書に、
『香菜とななつの秘密』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれる。
『たぶんみんなは知らないこと』で第60回野間児童文芸賞を受賞。
その他、『おなべの妖精一家シリーズ1.2』『おはなしSDGs 人や不平等をなくそう 明日香さんは負けない』(講談社)など





「2022年 『たぶんみんなは知らないこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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