奮闘するたすく

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 231
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062832458

作品紹介・あらすじ

年をとって何かができなくなる苦しみ、誰かを支えたいという情熱。小学5年生が介護現場で感じたことを坪田賞作家が物語にしました。

感想・レビュー・書評

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  • 小4の娘に薦められて読んでみた。

    認知症の始まった元警察官のおじいちゃんを、ショートの老人ホームに、連れて行くところから始まる物語。

    素直な小学生「たすく」と「一平」が、夏休みの宿題として、先生からその老人ホームでのことをレポートさせられることになる。

    イヤイヤながらも、心優しいたすくは周りの老人たちの中にも楽しく溶け込んでいく。

    人との触れ合いは、人への思いやりから始まることをやわらかく伝える作品。

    読んでてホッコリした。

    オチは、、、

  • 小学校高学年課題図書

    介護の問題を真正面から描いている
    高齢者と少年
    もっと身近に感じるべきなのでしょう
    デイサービスというだけで距離を取ってしまいます
    子どもたちに読んでもらいたい本です

    表紙はイマイチだなあ
    迫力はあるけれど

    ≪ しわしわで 年寄りの手 ふわふわだ ≫

  • 5年生の野沢佑(たすく)は、担任の先生に頼まれて、夏休みの自由研究として、祖父が通うデーサービス“こもれび”のレポートをすることに。先生の圧に押され、親友の一平とともに渋々“こもれび”に通い始めた佑だったが…。

    “こもれび”に通う個性豊かなお年寄りたち。
    とにかく明るいベテラン職員の林さんや、インドネシアから介護福祉士の資格を取るために勉強に来ているおしゃべりのリニさん、お年寄りの食事にとろみをつけるのが得意なとろみさんなどの職員さんの面々。
    そして、元刑事で妻に先立たれ、最近物忘れが激しくなってきた佑の祖父。
    様々な人を描きながら、佑と一平の二人は介護の現場に触れていきます。

    わざとらしく感動的なことが起こったりドラマがあったりするわけではない描写は、私たちの生活の一コマとしてリアルではあるけれども、読み手に興味や関心を持続させるのが難しいとも感じる。
    “花のへや”の存在にフューチャーし、佑と一平がその存在について考えるところなどは、過剰に書きすぎず、ちょうどよい温度感だと感じた。
    核家族も増える中で、現代の小学生が日常で「死」について考える機会は少ないのかもしれないが、このようなテーマの本が子供たちに、人間や、日本の社会が避けては通れない「死」や「介護」の問題について考えるきっかけとなればよいと思った。

    他の方の感想でも多々見ましたが、柔道有段者の先生が眼力で夏休みの自由研究のレポートを強制させるという設定は、別に必要がなかったような?そこに強制力が働くことをなんとなく気持ち悪く感じた。でなければ、祖父がデイサービスを利用する佑はともかく、お調子者の一平が共同研究に加わることはなかったのかもしれないが、それにしてもなんかすっきりしない。

    この年になって、認知症もデイサービスも死さえも、遠い世界の出来事ではなくなって、その中で読む本書には、色々と「わかる」とか「うちも」とか、「そうだったのか」とか思うことがあったのだが、老人さえも身近に感じることのない子どもが本書を手に取っていたら、果たしてどのような感想を抱くのだろうか。

    最近は、まず、「読めるか?」ということを念頭に考えている。
    どんな良書でも、読んでもらえなければ存在しないのと変わりはしないのだから。

  • 僕のおばあちゃんも認知症になってきているけれどこの本を読んで前向きにおばあちゃんと向き合っていこうと思った。

  •  18年度の課題図書。子ども達に読んでもらっている関係で,読んでみました。
     認知症を患った祖父とその孫・佑(たすく)の話。
     友達といっしょに老人介護施設を訪問した佑は,様々な老人や施設の職員と出会います。その中で,老人に対する見方がすこしずつ変化していきます。
     老人介護という難しい問題を、小学生でも分かる目線から書かれた本書は,なかなかいい出来映えです。
     大人が読んでも,「こんな風に老人とつきあっていきたい」って思います。

  • 自由研究で祖父のデイサービスについて行った佑。そこで高齢者のこと、介護のこと、認知症のこと、介護に従事している人たちのことを学ぶ。誰しもが老いて死んでいく。デイサービスで繰り広げられる高齢者と小学生との対比が鮮やかだ。そしてリニちゃんのキャラがまたいい。インドネシアの高齢者に対する考え方が素晴らしい。日本ももうちょっと優しくなれたらいいのにね。小中学生にぜひ読んでもらいたい本です。

  • 祖父のデイサービス通いに付き添い、その内容を自由研究としてリポートすることになった佑。
    認知症が出て来た頑固な祖父、海外からの研修生、様々なお年寄り。老いるとはどういうことかに向き合い、知ろうとすることを小学生の目を通して描かれる。

  • 祖父の通うデイサービスの様子をレポートにまとめる、という宿題を課された主人公が、祖父や介護施設のお年寄りと関係を築いてゆく様子が、軽快なテンポでつづられています。介護をテーマにしていますが、児童書らしく、明るくまとめられています。高齢の方との接点が希薄なお子さんも多いかと思いますので、介護や高齢者への理解を深めるきっかけのひとつとして、良いかもしれません。

  • 随所にちりばめられた介護あるある。小学生が「老い」や「共生」について段階的に学ぶ様子が、自然に描かれています。読み終えて思わず、鼻の奥がつーんとする感じを覚えました。まはら先生の表現力に脱帽。

  • 小学5年生の佑(たすく)のおじいちゃんは、佑の家の近所で一人暮らしをしている。
    元刑事だったおじいちゃんはしっかり者だったはずなのに、最近は何か様子がおかしい。
    どうも認知症になったようだ。

    それを認めようとしないおじいちゃんを何とかなだめて、デイサービスの施設で入用介助を受けるために通うことにするのだが、それをレポートにまとめて夏休みの自由研究の課題にするよう担任の先生に言われる佑。
    おじいちゃんも佑も気が進まないまま「ケアハウスこもれび」に通うことになる。

    児童書ですが、介護される人と介護する人の気持ち、介護の工夫、様々な個性のお年寄りなど、わかりやすく誠実に書かれています。

    佑にとっては世間一般のお年寄りと自分のおじいちゃんとは当然別物で、まさかおじいちゃんがぼけてしまうなんてとショックを受けるのですが、おじいちゃんも苦しんでいることを知り、そのまなざしは優しくなります。
    自分の考えていることをあまり口にすることのないおじいちゃんの行動を見守ることによって、おじいちゃんがどれほどおばあちゃんのことを大切に思っているかを知る佑。

    お年寄りたちもそれぞれに見せ場が与えられ、読後感はとでもいい。

    ただ一つ違和感を覚えるのが担任の早田先生。
    クラスの子に、おじいちゃんのデイサービスをレポートして夏休みの自由研究にしろと勝手に決めるのは現実的ではない。
    まず両親に話をしないと。
    嫌がる家庭は絶対にあるだろう。
    ましてや、さっさと施設と話をつけて子どもたちに手伝いをさせたり、自分までボランティアとして通うだなんてちょっと強引すぎて鼻白む。

    とはいえ、子どもだけではなく大人も、この本を読んで感じるものは、立場に応じてきっとあると思う。
    良書。

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著者プロフィール

福岡県生まれ。講談社児童文学新人賞佳作『カラフルな闇』でデビュー。作品に、『青(ハル)がやってきた』、『鉄のしぶきがはねる』(坪田譲治文学賞、JBBY賞)、『たまごを持つように』 、『伝説のエンドーくん』、『思いはいのり、言葉はつばさ』『日向丘中学校カウンセラー室1・2』『零から0へ』『かがやき子ども病院トレジャーハンター』など。

「2023年 『つる子さんからの奨学金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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