お嬢様探偵ありすと少年執事ゆきとの事件簿 古城ホテルの花嫁事件 (講談社青い鳥文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062853620

作品紹介・あらすじ

消えた花嫁伝説が残るドイツの古城。そこで結婚式を挙げた花嫁は不幸になるという。伝説の真相をあばくため、ありすはドイツへ!

感想・レビュー・書評

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  • “「だが、くれぐれも忘れるな。最初に、おまえを拾ってやったのが、だれかということを。おまえは、どこに属するものか、ということを。……以上だ。」
    翁の話が終わったので、ぼくは深く頭をさげると、座敷をあとにします。
    来たときとおなじ通用門をくぐって、どこもかしこもそうじの行き届いた敷地の外に出て、やっと、全身から力がぬけました。
    翁のまえでは、表情には出しませんでしたが、ぼくは内心、とてもショックを受けていました。
    ぼくの役目が、スパイだったなんて……。
    そんな、まさか……。”[P.25]

    5巻目。
    ちょっとわくわくする展開……!
    これが落ち着いたら終わってしまいそう。

    “「ああ、そうだ。致命的な欠点だ。弱点、と言いかえてもいいだろう。あの子は、めったに他人に心を開かない。だが、一度、自分のふところに入れてしまうと、すっかり信じてしまう。」
    そこで、秋麻呂氏は手をのばすと、びしっとぼくを指さします。
    「あの子は、きみをうたがわない。」
    ぼくは一瞬、ぎくりとしました。しかし、もちろん、顔には出しません。
    秋麻呂氏はいったい、どこまで気づいているのか……。
    「たとえば、この古城ホテルで、連続殺人事件が起きる。はね橋が壊され、よそからだれもおとずれることもできなければ、この場からだれも逃げることもできない。閉じられた空間、クローズドサークルだ。そんな状況で、ひとりずつ、だれかが殺されていくとしよう。」
    どこか楽しげな口調で、秋麻呂氏は語ります。
    「そして、ふたりだけになった。」
    秋麻呂氏がつきだした片手では、二本の指がぴんっと立っています。
    「次々に犠牲者が出て、ついに生きのこっているのが、あの子ときみのふたりだけになったとする。それでも、あの子は、きみのことをうたがわないだろうね。」
    ぼくは表情を変えません。
    どのような表情を作ればいいのか、わからなくて、石像のようにかたまっています。
    「きみが刃を向けて、あの子におそいかかったそのときになっても、真相にはたどりつけまい……。」
    秋麻呂氏は、ぼくの顔を正面から、じっと見つめます。
    名探偵のふたつの目が、ぼくを観察しています。
    「そんなことで、名探偵といえるかい?」”[P.130]

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