探偵チームKZ事件ノート 初恋は知っている 若武編 (講談社青い鳥文庫)
- 講談社 (2013年7月12日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062853675
作品紹介・あらすじ
「ついに初恋だぜ、すごいだろ。」探偵チームKZのリーダーの若武が、メンバーを前に堂々の「初恋宣言」! 若武の初恋の相手というのはいったい誰なのか!? そんな時、飛び込んできた事件は、超・大事件の予感が・・・。大ハリキリの若武! それぞれが特技を生かしつつ、協力しながら進める捜査と、若武の「恋心」の行方は!? ますます目が離せない展開です!
感想・レビュー・書評
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今回の事件名は「若武初恋事件」。いつも通りれっきとした「犯罪」も起こり、その捜査と解決もするのだが、それよりは主人公アーヤの気持ちの方に焦点が合っていて、一作目を読んだ時に感じたこのシリーズの魅力を再確認できた。
アーヤを通してストレートに語られる、この年頃の女の子の心の内。天才少年たちに囲まれてすごい事件に巻き込まれて大人顔負けの捜査をすることにリアリティはないが、アーヤの気持ちには「わかるわかる」。アーヤがまた憧れちゃうような素敵なヒロインでないところも絶妙。
以下、備忘メモ。
・どうしたらいいかわからなくなったときは、白いノートに書いて気持ちを整理。
・「私の生きがい」であるKZがなくなったり変わったりしてほしくないけれど、他のみんなにとってはそれほど大事ではないのだと思い落ち込むアーヤ。黒木君が「今とても安定して充実しているKZを守れるように努力する」と言ってくれた時、嬉しかっただろうな。
・黒木君と二人で話して事情を打ち明けるシーン、黒木君が仲間たちの気持ちを“解説”してくれてアーヤが自分の態度がどう見えていたかに気づくところも、黒木君さすがすぎる。さらに「大事なものがなくなっても進み続ける勇気を持たなければいけない」なんて台詞を言う。この子は一体何を経験してきたのだろう…。
・そこからまた、男子たちをひとりずつ乱暴に呼び出して、大した説明もせずに聞きたいことだけ聞く黒木君。男の子同士だなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
▼レギュラー・イケメン秀才が若武、黒木、上杉、小塚の4名で、なぜか紅一点で主役アーヤ。この5名の中学一年生が「カッズ探偵事務所」を名乗り勉強の合間に難事件を解決していくシリーズ。
▼今回は若武が一目惚れした女子が、アーヤの学校のクラスの同級生で、しかもアーヤをちくちくイジメる「クラスの権力者イヤなやつ女子」だった。武田さんだったか。
▼どーしたもんかとしているうちに、武田さん(とその家族が)が
・万引常習の心病む不良女子であり(本人)
・両親は離婚準備中で罵り合い
・さらにどうやら知人に家を貸して大麻と覚せい剤の製造所に使わせている(親が)
という疑惑が浮上してそれを証明し、警察沙汰になって万事めでたいという終わり方。
▼ただ、こうなるともう武田さんの人生は大変だ。家庭崩壊&心理療養施設入りになるようたということはなんだか前向きに示されるけれど、前向きになかなかなれたもんじゃないよなあ…。
▼そんなダーク&ハードなことも「事件簿」としては厭わずに、でも主役アーヤの、煮えきらない自分探しや友人関係の悩みとか劣等感とかを、割にグリグリと一人称で描くという主題は相変わらず。
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若武編ということは全員分出る!?となりました。嬉しい!もっとやってください!公式様が神!
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主人公の家庭環境のインパクトが強すぎて…。
本当にどんな洗脳教育なんだろうな…。
「美味しそうでしょ?」と問われたら、家庭の平和のために必ず「うん」と答えなければならないとか、どんな家庭だろう。
子供がそんなことを感じながら食べてるって、親にとっても不幸なことじゃないかと私は思うのだけど…。
お母さんはどう思っているのかな…。仮面夫婦ならぬ、仮面親子みたいだよ…。
武田さんのおうちもとても大変だと思うけど、主人公のおうちも負けず劣らず大変だと私は思うよ。
でね、そこに通う生徒にこんな問題が起きていたのなら、それは学校としてもすごく問題なことだと思う。
この世界、どうかしてるよ、本当に。 -
若武編!? 若武編ってどういうこと!? もしかして若武目線で語られるとか!?
と、だいぶん期待したんやけど、なんのことはない若武の初恋話ってことやった・・・。
ま、面白かったからいいけども・・・。(;^ω^)
そもそも若武の初恋よりも(ゴメン)
う、え、す、ぎ、クーーーーーン!!!
(前回同様)
前作で、上杉クンの目の病気について明らかになって、フランスへ手術をしに行くってことになってたのに、この巻でアッサリ
「手術成功」
「完全復活」
ですってよ!! 別にええけど、全然ええねんけど、早っ!!
ここ、藤本氏設定ならさらっと流すところとちゃうと思うねんけどどうなんかなあ。
とりあえずフランスを舞台にひとつふたつ話があって、帰国したあとも術後が思わしくなく・・・、とか、山あり谷ありやりそうやのに!?
さてさて、今回は若武の初恋なんやけど、それがまさかの武田菜穂。えー、武田菜穂。
大丈夫か若武の女子を見る目。武田菜穂ってかなりアレな感じするけど、まあたんなるわがままお嬢様なのかな? などと思ってたら、まさかのヤンキー・・・。
ヤンキーやったの、この子・・・!!
ご両親の離婚問題から大麻問題まで発展するという、今回も大変面白い展開でした。
べつに若武が初恋せんでもええんちゃうんと思うけど(こだわるな)、まあ、ええんかな・・・。
新たな立ち位置の子が増えたことによるKZの存続の危機みたいな、みんなのKZに対する思い入れもちょこっとうかがえたから、いいのかも。
初恋にキャッキャキャッキャしてるように、こういうところは等身大の中学生なんだよねえ、この子たち・・・。
まだ「子ども」であり、周囲の「大人」に庇護される立場である以上、自由が利かない。
周囲の大人の都合という外的要因で自分の世界が壊れることだってありうるという危うさが、
「いつまでもこの状態が続けばいいのに」
と、いう気持ちも生むんだよね・・・。
なるほど、彩ちゃんたちが中学生である面白さがだんだんわかってきたよ。
黒木クンはハイパー中学生やけどね・・・。この子・・・。
塾を休むよう連絡して、と、誰かに渡りをつけてたけど、何やろう、そもそもこの塾の経営者一族とか、そんな?
そういえば、今回から塾をカタカナでなく漢字で書いてくれてたね!
「いみちぇん」とか「こちパ」などなど、つばさ文庫でもカタカナの羅列なのである程度慣れてはきてるけど、やっぱり多用されると
「うっ」
って引いてしまう。(;^ω^)
この話ではやたら登場する「塾」が漢字になってくれたら、そのあたりがだいぶストレスフリーになるな!
そういえば、「上杉くん」の「くん」も、平仮名やったような・・・?
あとは、その上杉くんが、(主に若武の行動に対して)
「ウエッて顔をして云々」
と、書かれるのがな~! いいたいことはわかるけど、その表現はなんとかならんもんかといつも思っててんけど、そこらへんもどうやろう。
「しかめ面をして」
とか、そういう表現でお願いしたい!
さて、案外ヤンキーな武田菜穂やけど、今後登場することはないのかな。
武田菜穂の秘密を一人で抱えるのは、さすがに彩ちゃんじゃなくても重いと思う・・・。黒木くんがいてくれてよかったね~・・・。
そして夜の公園の尋問な・・・。
ああいう言い方やと、若武でなくても、
「彩が万引きの常習!?」
と、疑いたくなる気持ちもわからんでもないけども、KZメンバーを電話でひとりずつ呼びつけて聞きたいことだけしゃべらせた挙句、
「ごくろ。行っていいよ」
とかいうとか、黒木くんやから許される行動やんね!?
これ、若武がやってたらギャアギャアうるさいでー(主に彩が)。
そうやねんな、彩モノローグで、若武をこき下ろすから
「なんかもう、若武、もっとかっこいいよね・・・」
と、藤本氏原作からのファンとしては毎回思っちゃうんやけど、案外その願いが届いたのか、最近ようやく若武のカッコよさも書かれるようになってきた!
今回は、若武のことを
「自分の利害にこだわらず、自分のことより他人のことを考える力を持っている」
などというていて、
そうそうそうそう!!
と、激しく膝を打ったわ。
そうやねん、この子は(ちゅうか藤本氏設定のヒーローは)そういうわかりやすいヒーローやねん。騎士道精神の代名詞みたいな感じやねん!!
ただ、若武の場合は目立ちたがり屋なのが玉に瑕・・・、くらいのはずやったのに、それがなんでか
他人を蹴落としてでも自分が一番になりたい
みたいな書かれ方をしてたから、
「くー、違うねん違うねん・・・」
と、思ってたのよね。
若武はかっこいいよ。
黒木くんや小塚くんだけいればKZは成り立つんじゃ・・・、と、言いたくなるけど、やっぱりまとめる人がいないとね!
そしてリーダーは、みんなの能力を使えるという能力に長けている必要があって、決して、自分自身の能力が(メンバーの誰より)長けていないとあかんというわけではないねん!
みんなでチームやもんね。
彩ちゃんが
「他人の行動を想像するとき、自分がどうするかで想像していると思う」
と、いうのも、ああそうかもな、と、思った。
その後、KZのメンバーが彩ちゃんを心配して来てくれたのに対して、
「文句を言いに来たに違いない」
と、想像する彩ちゃんも、大概、大概やと思うけど・・・。(;^ω^)
上杉くん復帰おめでとうパーティでなんで楽器の演奏なのか
「・・・?」
と、なってしまったけど、まあいいか・・・。作曲したのって、若武ってこと・・・? イヤもう若武、すごいやん。
法律関係の知識をスラスラしゃべるところも、すごいよ。
かっこいいよ・・・・。
そして演奏を初見でできない、と、いう彩に対するみんなのリアクションもよかった。
こういう、みそっこ扱いよね、藤本氏のヒロインって。
でもへこたれない図太さがあるのがええねん。
そして武田菜穂としゃべる若武が関西弁やったような気がするのも、なんで・・・? 気のせい??
しかしクラブZかぁ・・・。
ダブルゼータとか・・・。もうなんやろ・・・。エリート養成軍団ちゅうか、そのままロボットに乗っちゃうのかなとか思ってスイマセン。
たぶん、青い鳥版KZをリアルタイムで読む世代にはわからないネタやから、ええんやろうね・・・(笑)。
彩ちゃんがどうのこうのいう立花家の事情も、いいと思います!
母親に反発したくなる気持ちも、お父さんとの会話に時間を使うならKZに使いたい、っていうのも中学生らしくていいね。
ママに料理のことで文句を言ったらいけない、とか、いい育ち方をしてると思います。
(2016.11.06) -
続けて読みました。ほぼ刊行分追いついてきましたが、
所持してる2冊(卵ハンバーグ、天使)だけ遅れてます;
今回もなかなかどうして。
やっぱり掘り下げが足りないとは思いますが、
今回はまぁ児童書としてはこんなもんかな?て感じでした。
必要以上に重くなりすぎずで。
初恋の流れが、賢い子らしいなぁと(^^♪
初恋もですが、傍に見るだけでなく、実際に
話したり他の側面を見ないとわからない部分は多いので
(実際関わっても氷山の一角といっていいくらい)
ろくに知りもしないでわかった気になってはいけないなぁ
というのは何歳になっても課題ですね。
そういう部分が今回は書かれてたのが嬉しい。
おまけで、シャリの小塚君が光るエピが出てくると
「おおお藤本先生節だ~」です。
近年ではフランスなどの歴史系の印象が強いですが、
確か大昔にエッセイかで元々は理系の研究かと
されてたと伺った記憶があるので、旧KZ時代も
それでお詳しいのか、と思った覚えがあります。 -
女子からのリクエスト多い。
かつてコバルトレーベルでいのまたむつみ画伯で、3巻まで出版されてて、めっちゃめちゃ好きだった。少年探偵団が好きだったんだ。続きを待ち続けて幾星霜。
青い鳥文庫から、デター!と喜んでいたら、あっという間に追いかけられないほど巻数が。
コナンくんみたいなミステリーものと違って、一人一人の特技を発揮しつつ、地道に張り込みとか聞き込みとかするのも、児童書では新鮮な気がする。
恋愛、友情、家族、お受験事情なども、盛り込まれています。
この巻は若武編だけど、主人公の彩ちゃんががんばった。 -
それを果たして初恋というのかはよくわかりませんが、ま、いいです。深みにはまられると、逆につまらないなぁと思っていたので。
若武編ってことは、他の人のもいつかでるのかな?楽しみです。
個人的には上杉くんの公園での一幕がツボでした(笑)そんなにホッとしたんですね。