ベートーヴェンの交響曲 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879156

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  • ベートーヴェンの第1交響曲から「第九」まで、9つのすべての交響曲を扱っている。1つの交響曲について、本の1章が割り当てられており、最初と最後には、金聖響氏と玉木正之氏の対談が収録されている。つまり対談の間に、交響曲の解説を挟むという形になっており、構成としてはバランスが良い。

    内容は楽曲解説というよりも、楽曲をテーマとして、様々な話に展開するという、よもやま話といった色の方が濃い。雑記ではなく、よもやま話と書いたのは、本書が気楽な語り口調で書かれているためである。まるで、雑談のように、話は脈絡なく展開している。明記されていないが、さながら語り下ろしのような感じである。解説書のように、楽曲を深く理解することを目的とし読むと肩透かしを食らってしまう。

    広く、浅く、様々な情報を提供しているとも言える反面、まとまりがなく、深さが足りないとも言える。読者の経験値によって賛否が分かれそうである。

    内容のほとんどの部分は、熱心なクラシック音楽ファン(私もその一人である)なら、ほとんど見たり聞いたことのあるような話で、入門者向けの内容であると言える。しかし、この指揮者がどのように考えて音楽を再現しようとしているかというような部分では、新たな発見はあるかもしれない。

    特にお勧めの本というわけでもないし、お勧めできないとも言えない。読みやすいという利点はあるので、著者の雑談に付き合うという感じで、気楽にさらりと読むのが正解だろう。


    最後に一つ。些細なことかもしれないが、私は気になったことがある。著者のこだわりなのか、あるいはミスなのかわからないが、「見事」を「美事」と表記していることである。「びじ」ではなく、「みごと」という文脈で使われているので、最初は「美しいこと」に、よほどのこだわりを持って意図的に使っているのかとも思ったが、「美事な作品」、「美事に」などというように、何十回も使われているので、特に美しいことを強調するためではなさそうだ。見慣れていない表記が何十回も出てきたため、この表記を目にするたびに気になってしまった。

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