日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)
- 講談社 (2007年11月16日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062879187
作品紹介・あらすじ
ターニングポイントは1965年だった! 私たちの自然観、死生観にそのときどんな地殻変動がおきたか? 「キツネにだまされていた時代」の歴史をいまどう語りうるのか? まったく新しい歴史哲学講義。(講談社現代新書)
感想・レビュー・書評
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1965年を境に日本人は「キツネに騙される能力」を全国的に失くす。昔、民俗調査をしたことがあり、その村へ行きたくなった。
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この薄い書籍にこれほどの情報量、文句なし!天晴れ!
本書で言う狐に騙されるとは、ただそこで生きている木や花や水を何気なく美しいと思える無垢さであり、抑揚のない物語に趣を見出す感じやすさであり、与えられた秩序の中でだれもが楽しむ柔軟さだ。
すなわち、「狐が人を騙すわけない」と言いたい諸君はそもそも前提が誤っているので議論に値しない。
スピリチュアルなニュアンスを多分に含んだタイトルながら、かなり現実的かつ社会的な内容で構成されているのだ。
戦後史、教育史、そして「科学的な知」への問題提起。
なお極端な善悪の基準としてではなく、問題あらゆる社会問題の原因についての一考察としてお勧めしたい。
もっと詳しく聞きたいと思わせられる書き方は、まさに入門書としてあるべき形だと思う。 -
自然とともに、自然を恐れ敬いながら生きてきた日本人が、何故自然を自己の利益のための道具としてしか見られたくなってしまったのか…。そんな問いに本書は答えてくれる。
地球の資源は人間のためだけにあるように考える人が大多数を占め、そして自然を支配することを続ければ、詰まる所、自分の首を絞めることになることに早く気づいて欲しい。
キツネに騙されていた頃の日本人の精神に少しでも戻ることができれば、子供たちが未来に希望を持って生きられる世の中になるのだろう。
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魅力的な論考。さらっと読めるかと思いきや、とても濃密で時間がかかってしまった。ライフワークである各地での聴き取りはもちろんのこと、数々の伝説や信仰、死生観や自然観、森林やそれを取り巻く生業・生活のあり方、そして、歴史学の流派と変遷、あるいは知性と直観(!)といった論点までを詰めきり、緻密に構築されている。
そしてとうとう、「近代化」というものの大きな意味と、「つかみどころなさ」までをも、生き生きと浮かび上がらせるのだ。 -
数ヶ月前、日経夕刊のプロムナード欄で取り上げられていた本です。買って読んでみました。新書というスタイルから想像したよりも、かなり専門的な内容となっており、いい意味で裏切られました。さらに網羅して、単行本で出してもいいのでは?と思ったほどです。
キツネにだまされなくなった(転換点となる)年を過ぎてから、日本は変わったのでしょう。おかげで経済発展を遂げることができた。
だとしても、キツネにだまされながら経済発展することは、本当に不可能だったのだろうか。ついそう考えてしまいます。 -
戦後しばらくの間、日本の田舎には「キツネにだまされる」という伝承が残っていたが、1965年ごろを境に、その手の話をぱったりと聞かなくなったという。著者自身によるこのような経験にもとづき、「知性の歴史」からは見えない「身体性の歴史」と「生命性の歴史」について思いを馳せている本。著者は、この本の企画に「歴史哲学序説」という隠れた副題を付けているそうだが、普通なら民俗学や文化人類学として扱いそうな話題を、視点を変えた「歴史」として扱おうとしているところに、著者の強いこだわりを感じた。
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1965年を境に、日本人はキツネにだまされなくなったようだ、なぜか、という問いから始まる本。
キツネにだまされていた頃とだまされなくなった今、何が違ってしまったのか、日本人の歴史観とか宗教観、客観的事実とは何か、とか、そもそも知性とは、という話がどちらかというとメインで、もうちょっとエピソードが多かったらもっとよかったのにな〜とも思うけれど、でもとてもおもしろかった。
キツネにだまされなくなってしまった今、知性を介するととらえられないものをつかむことが苦手になってしまった、というのはとても悲しくて残念なことで、私がキツネにだまされることもたぶんもうないんだ。
途中に出てくる「山上がり」という話もとても興味深いです。 -
キツネにだまされたかどうかというより、歴史と主観についての論考を主に論じている。それと絡めて日本の社会と思考の変化を追うが、著者の他の森林に関しての本と読めばつながりが良いかと。
著者プロフィール
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