漢字を楽しむ (講談社現代新書 1928)

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著者 : 阿辻哲次
  • 講談社 (2008年2月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879286

作品紹介

「比」の画数は?「口腔」「垂涎」「憧憬」の読みは?「環」「校」は間違い?知らなかった漢字の常識。

漢字を楽しむ (講談社現代新書 1928)の感想・レビュー・書評

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  • 漢字を書く際に細かなトメハネでバツを食らったことはよくあったので(特に小学校)、「そうそう!そうなんだよ!」と心の中で叫びながら読んでいた。
    確かに杓子定規で採点したほうが楽だし、そうしないと君たち入試で困るでしょ、という言い訳もあるだろうが、是非全国の先生方にはこの本を読んでいただきたい。
    現在大学で中国語を第二外国語として選択しているので、漢字を通して、より中国を身近に感じることができた。
    最近はもっぱらスマホやPCしか使わないからか、いざペンを握って紙を目の前にすると漢字が書けないことがある。中学生以来ごぶさたな漢検を久しぶりに取得するのもいいかもしれないな……。

  • 202頁:『漢語大辞典』(上海辞書出版社)
    ・発音が同じだから「詞典」を「辞典」になおしたのか?

  • ≪目次≫
    はじめに
    第1章   漢字を読む
       1   難読漢字を楽しもう
       2   力士の「しこな」を読む
    第2章   漢字を書く
       1   漢字の「書き取り」を考える
       2   時代ごとの漢字の規範
       3   さまざまな漢字を楽しもう
    第3章   漢字を作る
       1   漢字を作った人びと
       2   アイディア漢字を楽しむ
    あとがき

    ≪内容≫
    京都大学の漢字文化史に詳しい教授の著書。いろいろと初耳の話が多く、蘊蓄が増えた。
    たとえば、「剽軽(ひょうきん)」は、「軽はずみ、浮かれ者」ではなく、中国では「すばしこい」なのだとか、「閖上(ゆりあげ)」(宮城県名取市の地名、東日本大震災の津波でよく出てきた)は、伊達の殿様(綱村)が一存で決めた国字ぽいが、実は中国でも漢字はあった(唐の則天武后が作った「則天文字」。因みに「水戸光圀」の「圀」もそうだとか)など。
    でも、著者の一番いいたいのは、小学校では漢字の書き取りの際に「とめ」「はめ」にやたらうるさいが、その根拠は実はない(つまり、「とめ」「はね」にそんなにこだわる必要はない)。書き順も同じ、との部分。自分もそう思っていたので、納得した。

  •  どの章も面白いが、この本の膽は、「漢字を書く」だと思う。
     その中で、2007年の(株)ビクター主催「東京ビデオフェス
    ティバル」においてビデオ大賞を受賞した、長野県梓川高等学校放送部の「漢字テストのふしぎ(http://www3.jvckenwood.com/tvf/archive/grandprize/tvfgrand_29a.html)」を紹介しておられる。小中高200名の先生にアンケートを実施して漢字テストの採点のバラツキや基準の曖昧さを明らかにし、その要因を解
    明していきく力作です。その結果、高校生たちがたどり着いた結論は、「漢字テストは図形認識力テストである」ということ。また、 また、このドキュメンタリーの中でも、文部科学省(文化庁国語審議部)の見解として、絶対的な基準を示してはいないという旨の発言がありますが、それに対する教師の反応は、困惑の後否定するという愚かなものです。
     高校生の素朴な疑問に対する探究心が、図らずも教師の不勉強と傲慢さを炙り出しています。
     阿辻氏も本書の中で、「トメ・ハネ・ハライ」や「筆順」にやたらに厳しい先生について、「その先生は教育に『きびしい』のではなく、漢字に関する正確な知識がなく、どのように書くのが正しいのか自信をもって指導できなから、単に教科書や辞書などに印刷されているとおりでないと、安心して『正解』とできないだけののことなのです」と述べておられます。
    「末」と「未」の長短の違いは成り立ちに基づくもので、厳密に区別しなければならないが、そうでない場合はあまり気にする必要がないというのが、氏の意見であり、私も同感である。「天」も上が長くないと×というのが小学校では一般的だが、下が長いのが本来の形である。『康熙字典』以降印刷物では、つまり明朝体では上が長いものが多いが、楷書体では隸書の伝統を受けているのか、上が短い方が多い。そういうことでは、どっちでも○が適切だろう。

  • 漢字の読み書きの方法と作られ方を説明している。説明の根拠として古代から現代までの漢字に関する文献を多数引用しており、とても内容が詳しい。書き方の説明では、学校の書き取りテストを題材としている。書き取りテストでは「ハネ」などの筆遣いまで厳しく採点されることがある。しかし、筆者は細かな筆遣いにこだわる必要はないと主張している。さらに、細かな点にこだわりりすぎことで、漢字嫌いの子供が増えるのではないかと心配してもいる。僕も子供の頃、漢字テストの採点の厳しさが嫌だったので、筆者の意見に共感できる。

  •  最近テレビなんかでみかけるおもしろ漢字の覚え方とか、漢字のなりたちについての豆知識とかそういう本かなと思ったのですが、むしろ漢字についてのエッセイという雰囲気でした。作者は中国語学を専門とする大学教授なのですが、漢字を研究する人の立場で見ると、現在の漢字をとりまく環境はどううつるかというような。

     やっぱり面白かったのは、漢字の書き取りについての章ですね。
     漢字テストの採点基準について色々書かれています。採点基準はどうやって決められているのか、高校生が調べた結果を紹介しながら作者の考えも述べられているのですが、結論としては現在の漢字テストはおかしいというものでした。

     国が使っていい漢字を制限したり、活字を作るときはこの字体を使いなさいという基準を出したことで、それこそが唯一絶対の正しい漢字だという認識を広めてしまったのだそうです。常用漢字とか当用漢字体表というものがそれだそうです。
     そして、そうした表には、これは活字であって手書きする分には必ずしもこのようにはならないという注意書きがあるのだとか。その例として、木の縦の画をハネたものとトメたものと両方が載っているのだそうです。確かにお習字だと、糸も縦をハネて書いたり、保険の保の木の部分をカタカナのホみたいに書いたりしますね。
     活字と手書きを同じレベルでとらえるのが間違いだし、だから漢字テストで木をハネて書いたら×なんてとんでもないし、そうしたことも知らずに教育に携わるなんて、とんだ怠慢ではないかという批判的な論調で終始すすむこの章。

     字というのは情報伝達の手段なんだから、読めればいいんだと。土と工のように少しの違いが意味のちがいになってしまう字は厳格に区別するべきだが、木の縦の線をトメようがハネようが木は木としか読めないんだから、そんなことに目くじらたててテストするほうがおかしいじゃないかと書かれてします。
     高校生の調査でも、採点基準は先生によってバラバラだったんですよね。

     小学生の時の先生がトメハネハライにうるさい先生だったので、私もそれに拘るようになってしまったのですが、そもそもの基準が怪しかったなんて、頭を殴られたようなショックですよ。

     学校で習ったからとか、本で読んだからとか、手にした知識を鵜呑みにするのは危ないことなんだと改めて思いました。

  •  漢字を楽しむ
     この4月からNHKラジオの中国語講座を担当している。その4月号の最終ゲラが出た段階で、校正者の一人から、「テキストの漢字と辞書の漢字の字体が違うが、どうしますか」という質問がきた。たとえば、“买”の字の最後の画の点は、辞書では上にくっついているのに、テキストは離れている。“月”や“真”の中の短い横棒は辞書ではくっついているのに、テキストでは離れている。“女”の横棒と最後の画とは辞書では接しているだけなのに、テキストでは交差している。“了”の縦棒は辞書ではまっすぐなのに、テキストではゆるやかにカーブしている等々いわれてみればそうで、一般の辞書をみる限り、テキストで使った字とは違う。どうしようかと考えあぐねていたときに出逢ったのが本書。とりわけその第2章には、漢字の書き取りテストで間違いとされた字が実はまちがいではなく、非は明朝体という活字の字体を金科玉条のごとく振りかざし、生徒たちの字を間違いとした先生たちの方にあるという話が紹介されていた。これは実は明朝体という活字がデザイン的にあまりに発達したため、手書き文字との間に齟齬を生じ、手書き文字があたかも誤字であるかのような錯覚を与えているという問題である。「明朝」というのがフォントの一種であることは知っていても、それがどうやって生まれ、手書き文字との間にどのような差が生まれているのか、本書は音の問題、国字の問題も含め、漢字というものを再認識させてくれる好著である。


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